ユーモア小説もいけます!(平面いぬ。)
4篇からなる作品集。
表題作の「平面いぬ。」は、肌にいれた小さな刺青が生きているように勝手にうごきだすお話。
さいしょは怖い話かと思っていました。
刺青というと、私はブラッドベリの短篇を思いうかべます。全身に彫られた入れ墨がぐらんぐらんうごきだす。思いうかべるわりにぜんぜんその短篇のストーリーが思いだせないんですが、ギラギラしたまなざしの筋肉質の男性の肌にうごきだす刺青がー、のイメージだけはつよく思いうかびます。
胸が悪くなるようなおどろおどろしい話のイメージで読みはじめたんですが、とんでもない。
主人公で、話者でもある、高校生の女の子が、すごいすっとぼけた能天気な性格なので、さいしょからさいごまで、笑える、ほのぼのとした小説になっていました。屈折しているけれど、それだけに心暖まる家族愛も描いていたりして、いい作品です。
ほかには「石ノ目」。これは、民話にでてくる妖怪をモチーフにした作品。
そして「はじめ」。想像の中だけにいた女の子が実際にあらわれて、というホラーにありそうなモチーフを、せつない青春小説にしあげています。とても仲良かったけれどもう会えなくなってしまった幼いころの友だち、のストーリーですね。
それから「BLUE」。なにかのきっかけで命があたえられ生きるようになったぬいぐるみのお話。ぬいぐるみの設定、ぬいぐるみが買われていく家族の設定、とくに弟のキャラ設定が乙一さんらしいと私は思います。前半がちょっと同人小説ぽい冗談とキャラ設定がありますが、後半はしっかりしています。
なかなかバラエティーに富んだ作品集になっています。
さつないのもあるし、怪奇趣味+トリックもあるし、ユーモアもあるしで、さいしょに読むのにいいかもしれません。



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