網野善彦
網野善彦さんを知ったのは教育テレビでやっていたNHK人間大学という番組でした。網野さんは1996年の1月から3月まで「日本史再考」のタイトルでお話をしていました。
「日本は単一国家ではなかった」
「日本は島国だからという孤立イメージ(島国根性、独自文化)があるが、島国というのはけして孤立しているものではない」
「百姓=農民ではない」
「一向一揆の主力は都市民で、貧しい農民の反乱ではなかった」
など、静かだけれども確実な手さばきで、新しい歴史像をみせてくれました。とてもたのしい番組でした。
それから、網野さんの本を読もう読もうと思ってきたけれども、気がつけば一冊も手をつけてきませんでした。
網野善彦さんは2004年2月27日に亡くなられました。
網野さんの甥にあたる中沢新一による網野善彦さんの人物像と彼が考えていたことが書かれた本が「僕の叔父さん 網野善彦」です。中沢新一さんは宗教学者として有名です。現代思想の新しい流れにいる人です。
権力が手を触れられないアジール(避難地)。幕府など権力の発展史・盛衰史としてしか描かれてこなかった歴史をアジールの立場からみる。そうすることがどうして必要なのか。そうするとどういう歴史がみえてくるのか。
そして、もうひとつ天皇制について。なくせる機会がなんどもあったのにかかわらず、なぜ天皇制はつづいてきたのか。すべては天皇を維持する・高めるためめの発展史だという物語を語る戦前の皇国史観を批判してできあがってきたはずの歴史観でもその謎解きはできませんでした。天皇制への挑戦。
アジール、天皇制、このふたつを主要なテーマとしてとりあげています。
また、中沢さんの父親がコミュニストであったということから、戦後まもなくのコミュニストがどういった人間だったのかがわかるのもおもしろいところです。



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