プライドと偏見
タイトルと予告をみたときには、文芸作品かなと思いましたが、いやいや恋愛をストーリーの軸にした楽しめる要素たっぷりの映画でした。人間描写がこまかく、それがユーモアをもって語られるので、全編を通じておもしろく、最後まで飽きさせることがありません。
出会ってすぐになんとなくひかれるところがあったふたりですが、エリザベス(キーラ・ナイトレイ)は気が強くて口が達者、ダーシー(マシュー・マクファディン)は無愛想なのでうちとける機会があまりなく、あっても軽く皮肉をいいあって終わるようで、なかなか接近できません。そのうち、うわさや誤解、誤解から生じた行動がまた誤解を生み、遠ざかる理由ばかりできてしまいます。こんなふたりがどうなっていくのか、スリルある恋の行き先がたのしめます。
「プライドと偏見」の舞台は18世紀後半のイギリスです。ちょっと古風な衣装、室内装飾がまたたのしい。風景も豪華です。
映像もおもしろく、キーラ演じるエリザベスが舞踏会のひとのたくさんいる部屋から退場するシーン、キーラの上半身をとらえながらカメラもおなじ動きで後ろへ引いていきます。キーラが通りぬけたあとが道のようにみえるんですね。すーっと通りぬけたようすがよくわかります。
またもっと大きい場所で開かれたべつの舞踏会では、部屋と部屋とをカメラが移動しつづけて、会場のいろいろな場面をみせていきます。これは昔の「去年マリエンバートで」という映画であったものです。マリエンバートは実験的な映画が撮られていたころのもので、このカメラのうごきは、カメラがとおりぬけるそのつどのエピソードのつらなりを形成するだったので、"評価してもいいけど退屈でないとはいわせないよ"なものでしかありませんでしたが、この「プライドと偏見」では複数の登場人物のうごきに目がいくことになり良い効果をあげています。また、どちらの映画の場合でも会場のにぎやかなようすをうまく表現しているのはたしかです。
この映画は宣伝にうまくつかえそうなずばぬけた特徴がないためあまり話題にならずに終わってしまうかもしれませんが傑作なのでぜひとも観てください。いいですよー。



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