華氏451度
どこか、近未来の世界。モンターグは、本を焼きすてる仕事についていた。ここでは、ひとになにかを考えさせようとする書物を持つことは禁じられていた。生きることの意味をみいだせなくなっていたモンターグは、不思議なことをいう少女にであい、話をするようになってから、この世界に疑問を感じはじめる。
国家権力による言論統制として語られることも多いのですが、焦点は、ひとびとが考えることを望まなくなったことにあてられています。いつもたのしげで、かんたんに問題の答えをだしてくれるテレビと、いつも耳にさしこまれている無線式のイヤホンからながれてくる癒しの音に没頭し、ひとびとは幸せに暮らしています。問題に正面から立ちむかうことをすすめ、その結果、この世の矛盾にもがきくるしむことになる思想はだれも望んでいません。——幾人かをのこして。かれらは世界が困難をむかえ、ひとびとがまた自分たちがもっているものを望む日がくることを信じています。
永遠の命、生まれかわりの象徴であるフェニックス(不死鳥)のもう一方の面が寓意として会話のなかでつかわれます。自分自身を火葬にしてもういちど、そっくりそのままのすがたに生まれかわるフェニックスの行為の愚かであると、われわれ(人間)はそれが愚かだとわかっており、いつか燃えあがる炎のなかにとびこむことをやめるときがくると。
紹介文を書くためにひさしぶりに読みかえしましたが、序盤が読みにくいですね。モンターグの陰鬱なモノローグがやっかいです。50ページぐらいまでいくと小説で描かれる世界にもとけこめるようになり、文章のテンポもあがってくるので、ちょっとがまんが必要です。



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