黒田硫黄「茄子 1」
ナスをテーマにした短篇集です。ナスをテーマといってもちょいとでてきたりするだけのものもあります。そういうのってでもよくあるからべつにふしぎでもないでしょう? つづきものもあれば単発のものも入っています。
1巻には、以前アニメ化された、自転車レースをあつかった「アンダルシアの夏」が収録されています。これはドラマ性が強く、夢中になります。自転車レースってよくわからなかったんですが(競輪じゃなくて、ツール・ド・フランスみたいなやつ)、順位は個人で決まるんだけど、チーム性がかなり強いゲームのようです。エースを優勝させるために、ほかのメンバーがいろいろ仕掛けるわけです。先行する逃げの集団にまじって流れをコントロールしたり、ただの風よけになったり。優勝したらみんな賞金を山分けだそうです。
好きな話は、田舎にひっこんで農作をしている元教授(?)のシリーズ。このおっちゃんの親しい女性が睡眠をとるだけに訪ねてくるんですが、このひとの性格がまた女性独特で、なんかふしぎーな、一本だけゆれている花のようなわからなさかげんがうまく描かれています。
また、このおっちゃんが、ほかのひとから、なんで農家なの大自然のなかのほうがいいか?と訊かれたときに「なんだよ大自然て」「畠(はたけ)は最初の工場だぜ」と答えるセリフに共感しました。自分の住んでいるところは田んぼだらけなんですが人工的だと思います。昔は、鉄筋コンクリートの建築物がたちならぶところを"墓場"という表現がよくありましたが、それが墓場なら、これも墓場だよ、とわたしは思います。



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