憂国
三島由紀夫の小説「憂国」は、切腹とそのまえの夫婦の情交を描いた短篇です。不謹慎ですが、自分の子どものころにはエッチな文学作品のひとつでした。
映画化は三島由紀夫本人の主演・監督・脚本によります。公開時は話題をよび、興行的にも成功しましたが、三島自決のあとは三島夫人によって公開が禁止されました。上映用フィルムはすべて回収され焼却処分となったそうですが、夫人の死後、ネガが茶箱のなかに保管されていたことがわかり、このたびDVDの発売となりました。
上映時間28分の短篇です。
巻物をといて文章をみせていくのがテロップのかわりになっていて、状況説明をすべてそこでしてしまいます。文章にしろ音声にしろナレーションはうるさくて好きではないのですが、この映画だとそれをぜんぜん読まないで、映像で情交と自害だけをみていってもこまらない、完全に切り離せるので苦痛にはなりませんでした。やっぱり映像を説明しちゃうとだめですが、そうでない場合にはあまりこまりません。
出だしに、安っぽい合成があって、うーん、と思ったのですが、それ以降は見ごたえのある映像になっていきます。情交のシーンはポルノにはならず、でも、好きな相手の体に欲情する、あの視覚をうまくつくりあげています。切腹場面はちょっとグロです。能舞台をさらにシンプルにしたセットが素敵でした。
観ただけの甲斐はありますが、三島ファンでなければわざわざ買ってみる必要はないと思います。しかし、観る機会があるなら、ぜひおすすめします。



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