太陽
今日は、昭和天皇を描いた映画「太陽」をみてきました。
非常に静かな映画です。イッセー尾形が演じる昭和天皇のちょっと変わっていて、ときとしておもしろく、そして鋭さもみせる言動に見入ってしまいました。
ブログ「映画喫茶」さんのレビューでは、"戦後責任の問題など、新たな議論が生まれない"と批評されていましたが、自分の意見だと、この映画の焦点は"神"が"人間"になることに向けられているので、これでいいのではないかと思います。
戦争責任を問うと、そこばかりに眼がいってしまい、この映画が持っているていねいな視線が犠牲になってしまいます。小泉純一郎の郵政解散・総選挙のときの「民営化かそうでないか」の選択みたいなのにも似ていて、わかりやすさ議論になりやすさがせっかくこしらえたすべてをこの小さいもののなかに押しこんでしまう。
それに、この映画で、戦争責任について言及されていないかというとそうではなくて、それを描かないことは戦争責任が問われなかったことを示すことになるし、昭和天皇も(悪くいえば)戦争責任を回避していたことをセリフに取り入れているので、当時をきちんと描写しているといえます。(これはまた日本の姿でもあります)。
これがヒトラーの映画だったら人間として描くだけでスキャンダルになるのですが(ドイツはヒトラーとナチスにすべてを押しつけたから。ドイツ人にとって彼はモンスターでなければならない。くわしくはこの本を参照)、昭和天皇の"人間"を描いてもスキャンダルにならないのはその存在にかなり大きな違いがあるからです。
しかし、派手ではないが、静かに影響をあたえる映画であるとわたしは思います。雑草のように、うごきは眼に見えず遅いけれど、いつのまにか庭を埋めつくしていることでしょう。
イデオロギーに回収されきれない、感じるところの多い、非常によい映画だと思います。
見て損はありません。



コメント
うわー、右翼のひとは、だめそうですか。
ネットの右のひとたちは、根っこが違うから、楽しめると思うけど。
そうなると、時代に置いてきぼりになりそうですね。
ご意見ありがとうございます。桜樹さん。(年齢近そう)。
Posted by しまくま at 2006年8月30日 22:18
>イデオロギーに回収されきれない、
>感じるところの多い、非常によい映画だと
>思います。
まったく同感です。「イデオロギーに回収されきる」ものしか見たがらない日本の右翼にとっては、非常に難物な映画ですね(笑)
Posted by 桜樹ルイ16世 at 2006年8月30日 01:32
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