2006年9月23日

CURE

Amazon.co.jp: CURE キュア: DVD: 黒沢清,役所広司,うじきつよし,中川安奈,萩原聖人,洞口依子 警報が鳴っている踏切の遮断機をついくぐり抜けていきそうになるような、フラフラっとさそわれる瞬間が、黒沢監督のつくる映画の中にはあります。好きな映画監督です。この「CURE」も"お気に入り"に入れたい映画で、DVDを買ってから、繰り返し観ています。

 ジャンルは、サイコ・サスペンス(一般的に、ゲームのように行われる殺人、殺害方法は猟奇的で、そして人間精神に視点をむけた物語描写が特徴です)。
 被害者には、耳の下から首をぬけて胸もとまで斜めに切り裂き、左右両側、×印を描く深い傷が残っています。加害者はべつべつ。みんなぼんやりしたようになっていて、なぜ殺人にまでいたったか自分でわからなくなっています。そういった事件が連続して起こります。
 間宮(萩原聖人)という記憶障害がある青年がこの事件の本当の加害者として浮かびあがってきます。
彼は医大生で催眠術の研究をしていたようでした。それはまだ魔術として見られていたころの初期の催眠術。彼はなんのためにこんな殺人を犯しているのでしょう。

 リアルな犯罪物に、後半は幻想的な表現が加味されます。全体の雰囲気は壊さず、いいバランスで、昔の探偵小説のような味わいをだしてきます。

 黒沢監督は、ひとつの場面が終わって、登場人物がつぎの動作をしはじめた、というところでカットして、つぎのシーンにつなげることをよくやるのですが、これが残像として累積して不思議な効果をあらわします。

 結末は、少々、わかりにくく、すっきりしません。ここで評価がわかれているようです。小説としての「CURE」も監督自身が書いており、そこには細かい説明があったりもするので参考になるかもしれません。

 とりあえず、わかっておくといいのは、犯人・間宮の催眠術は、憎しみの対象を殺すことによって被験者を癒しているということ。タイトルの「CURE」ですね。だから、各事件の加害者は、あとでどうして殺したのかわからなくなります。ほぼ完全に憎しみが消えてしまったからです。

 なお、現実の殺人では加害者の心はぜんぜん癒されないようです。いくら憎いひとがいても傷つけたりしないようにしましょうね。

"CURE"
監督 黒沢清
出演 役所広司、萩原聖人、うじきつよし、中川安奈 ほか
- 円
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