ブックストア —ニューヨークで最も愛された書店
読書家をよろこばせるめずらしい本をとりそろえ、作者による朗読の会をひらくという、夢のような書店ブックス・アンド・カンパニー(Books & Co.)の始まりから終わりまでの20年間を、オーナーであるジャネット・ワトソンの回想を中心に、たくさんの人びとのコメントを交えて再現しています。
ジャネット・ワトソンはお金持ちの家(IBMの初代社長が祖父で、父がその後継者)に生まれ、その財力がなければ、この書店は一瞬で吹っ飛んでいたでしょう。なんとか経営が成り立つような見通しが立ちますが、建物を自分の物にせず賃貸契約していたため、値上がりする家賃に堪えきれず閉店となります。閉店に際しては建物の所有者である近隣の美術館とのトラブル(支援してくれる約束だった、いや約束はしてないなど)がスキャンダルとなります。ごたごたは悲しいけれど、騒ぎになってしまったんだから、しかも美術館が一方的に悪者になってしまったから、実際はこうだったということもちゃんと書くことにしたのでしょう。
書店業界および出版業界というのはもともとさして儲からないもののようで、その当時、マンモス級の巨大書店がチェーン展開し始め、そこはディスカウント(値引き)もしているので、独立系といわれる小型書店はなかなかうまくいかない状況ではあったようです。
たしかに、特殊で趣味のいい本を厳選してとりそろえてある書店もいいですが、やたらめったら本がたくさんある書店というのも魅力がありますよね。これは書店だけの問題ではなく、日本でもよくきく、町の商店街と大型のショッピングセンターの関係とおなじものでもあります。大型店はたくさん売れる物がどうしても中心になってしまうので、手薄になってしまう部分ができてきます。たくさんは売れないけど、少数でも確実に売れるものをあつかっていけば小型店でも生き残ってはいけます。あるいは特殊な場所としての存在を確立することでも(映画館とDVD・レンタル・テレビの関係のような)。それでも、もちろん、荒波にはもまれますが。
しかし、この書店、ほんとうにいいですよねー。うらやましい。作者との交流ってネットでちょっとあるくらいですよね。それが書店であるというのは本当は理想なような気もします。サイン会をする書店はありますが、書店がひとつのコミュニティにまで発展するというのは、あまり想像がつきません。マンガで同人誌は即売会などでちょっとはそんな感じにもなるのかなとも思いますが実際は知らないのでどうなんでしょう。



コメントする