2006年10月18日

日本怪談大全 第1巻 女怪の館

Amazon.co.jp: 女怪の館: 本: 田中 貢太郎 巻末の解説によれば、大正末から昭和初頭にかけての1920年代は、怪談が文学の表舞台にたちあらわれ、芥川龍之介、谷崎潤一郎、佐藤春夫、室生犀星などの文壇の旗手、江戸川乱歩、小酒井不木夢野久作など探偵小説誌「新青年」で活躍する鬼才、自然主義、白樺派、新感覚派、プロレタリア文学、児童文学にいたるまでさまざまなジャンルの作家が筆をとっていたそうです。(リンクは青空文庫。田中貢太郎も読めますよ)。田中貢太郎もその時代に活躍した怪談の名手です。

 田中貢太郎の小説は、事が進むにつれ、心理描写が減り、巻き起こる事態のみ視点が集中するようになります。描写がざっくりとしてくるほどに、なまなましさ、奇怪さ、違和が強調されてきます。
 
 ネットで怖い話のサイトへいったことがあれば、たくさんある怖い話を読んでいるうちに、本当に体験したであろう話と、それらしく作られた話の違いがわかるようになってくると思います。本当に体験したであろう話は、うわ、変だ、という感覚をそのまま書こうとしているので、違和感、説明のつかない感じがあるんですよね。ジグソーパズルのピースがたりない、あわない、というよりもともとあるはずのないピースがむりやりはめ込めたような構成を持っています。一方の作り話は怪奇現象を話しているんだけれど、ピースがぜんぶ合うんですね。説明がついちゃっている。田中貢太郎は、体験談の感覚をうまくつかんで書いているんですね。だから、読んでいて、うわ、と思う。

 さて、このシリーズは、日本怪談全集としてまとめられてかつて出版されていたものを、テーマごとに再構成して復刊したものです。テーマごとというのには悪い面がひとつありまして、それは似かよった話ごとにまとめられてしまっていることです。
 それでもこの1巻はバラエティに富んでいるのでおすすめです。

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"日本怪談大全 第1巻 女怪の館"
田中貢太郎
国書刊行会
2447円
Amazonアソシエイト

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