アンダカの怪造学IV 笛吹き男の夢見る世界
こちらとはちがう生物が棲むあちらの世界アンダカ。その生物を呼びだし使役する技術=〈怪造学〉を学んでいる高校生・空井伊依のストーリー第4弾です。
伊依は、アンダカの生物を"お友達"と思ってますが、まわりの大人たちや同級生も呼びだした生物を"道具"とみています。なにかをさせるために呼びだして目的を終えたら元の世界に戻すのだから素朴にそう思うのはふつうです。しかも、アンダカの生物は強い超能力を持っているので、扱いをまちがえるとかなり危険です。命を落とした怪造学者は多数いて、街ひとつを瞬時に廃墟と化した大惨事も起きています。みな心してアンダカと関わっているわけです。
シリーズはだんだんと、この伊依の、みんな仲良く"お友達"理論がテーマになっていきます。"お友達"理論を崩れさせていくような事件にまきこまれていきます。そばにいる相手を食いつくすことでしか存在していられない生物が現れますが、そんな生物と仲良く一緒に暮らすなんてことは実際には不可能です。伊依は悩み、挫折し、深く傷つきますが、がんばって立ちあがります。そして、"お友達"理論を改良、みがきをかけていくわけです。
こういうのっていまの日本にぴったりのテーマなんですよね。
9.11のテロ事件、アメリカの戦争、北朝鮮のミサイルや核実験による脅し、中国・韓国の過激な反日運動。戦争・防衛について考えさせられる出来事がいくつもありました。
戦争反対、みんな仲良く、というだけでは、"平和ボケ"と非難されます。前の世代のひとたちのように"平和、平和"といっているだけじゃダメだってことはわかってきています。
そっちがやる気ならこっちもやったるぜ、ってひとたちだって、戦争のリスクの高さはわかっていて、追い込まれたらやるけれど、そうでなければべつに戦いなんて好まないひとたちばかりでしょう。
どうしたら平和でいられるか。昔のように御題目をならべるばかりの"平和教"でなく、実践的な平和の手法が求められています。
そんな時代の空気をきちんと感じとって書いている作品だと私は思います。




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