わが悲しき娼婦たちの思い出
90歳をむかえた老人が、処女、抱きて〜、と、かつてなじみの娼館の女主人にたのんで娘を用意してもらいます。通された部屋のベッドに横たわる若い娘。老人は、娘に手をださず、そっと添い寝をして一晩をすごします。老人は、眠れる美女に思いをよせることに執着し、薬で眠らせた娘に添い寝する行為をくりかえします。
その女の子の幻影に恋し、娘が眼を覚まして自分の想像の彼女が壊れてしまうことを拒絶します。生身の彼女と向きあおうとはしません。
痛々しい恋は、初恋や純愛に、とてもよく似ています。
たしかに、こんなもんですよね、初恋って。
告白しないケースが多いし、まれにつきあっても相手に幻滅したりする。
勝手に恋して、勝手に破れる。
"萌え"っていうのもこんな感じなのかな?
ガルシア・マルケスの小説って、自分が読んだかぎりでは、恋はあふれんばかりにあるけど、愛はすっぽりとぬけおちています。
"無い"と思ってるのかもしれないし、書くと"嘘"になってしまうと思ってるのかもしれません。
"愛"に短絡しないぶん、多種多様な心の機微があらわになっているのは魅力的だし、心の痛みがリアルで、ちょっとひねちゃったひとにも受け入れやすい作品になっているんですよね。



