2008年8月11日

カポーティ

Amazon.co.jp: カポーティ 田舎町で一家を皆殺しにする残酷な強盗殺人事件が起こり、小説家のトルーマン・カポーティはそれを題材に小説を書こうと取材をはじめます。その過程を描いた映画です。
 カポーティはこの本で、ノンフィクション小説というスタイルをこの世に産み出すことになります。

 本の題名について刑事がカポーティにたずねる場面があります。どんなタイトルをつけるのかと聞くと、カポーティは『冷血(In Cold Blood)』と答えます。刑事は「その冷血というのは、この残酷な事件そのものについてのことなのか、それとも、この事件をのぞきこんでいるあなたのことをいっているのか?」と聞きかえします。
 印象的な場面で、映画のテーマもほぼこの一点に絞られています。
 カポーティは、犯人(のひとり)に友情を見せ、好意を持って接していますが、同時に犯人の死刑を望んでいたりします。本の題名も教えませんし、内容についても「まだ書いていない」といって秘密にしています。

 利己と利他、この二面性は、誰にでもあるといってもいいほどけっこうふつうな"愛情の二面性"なのかもしれません。カポーティは、『冷血』の後、きちんと完成した本を出すことはありませんでした。映画では、この映画で描かれた出来事が原因であるという印象でそのことを語っています。耐えきれず壊れてしまったという感じがあります。
 でも、現実のカポーティには『冷血』のあと、社交界の有名人の個々のスキャンダルを描いた小説『叶えられた祈り』を計画、上流階級の人々に反発をくらい没落したというエピソードがあります。才能はあったが同時に詮索好きで利己的な人間だった、というだけのことなのかもしれません。それとも、体の中に冷たい血が流れている者同士ということか。(未完ながら『叶えられた祈り』は翻訳もでております)。

"カポーティ"
監督 ベネット・ミラー
出演 フィリップ・シーモア・ホフマン、ハーパー・リー、クリフトン・コリンズ・Jr ほか
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