2009年6月17日

コミック 知られざる北朝鮮史

コミック 知られざる北朝鮮史〈下〉独裁国家の歩みと現在 (単行本)コミック 知られざる北朝鮮史〈上〉戦禍からの国家誕生 (単行本) 朝鮮の共産主義の運動の始まりから、戦後の小泉訪朝あたりまでが描かれます。
 地の文が主で、描かれた人物が適宜つっこみ、補足をいれる、といった典型的な学習マンガのスタイルをとっていて、一般的なマンガとは感じが違っています。
 翻訳上の問題としては、コマ運びは日本とおなじく右から左に読み進めていくのですが、吹き出しは左から右へ読んでいくようになっているため、ちょっとややこしいです。自分の予想では、韓国のマンガは欧米と同じく左開きで、日本のマンガにならった右開きにするために、コマの左右を入れ替えまではしたけれど、吹き出しの入れ替えは絵に影響するためにできなかったのではないかと思います。元のコマ運びなどはどうなっているのでしょうか。

 北朝鮮こと朝鮮民主主義人民共和国が誕生するまでは、ひとが入れ替わりたちかわり、ものすごいことになっています。共産主義者のはげしい主導権争いがくりひろげられます。共産主義は、指導者がその他のすべてをコントロールする独裁体制を敷くため、権力争いは必至です。共産主義国家はどこもかしこも独裁体制ですが、これってマルクスの思想とおんなじものなんでしょうか? 資本の動きを停めるための共産主義だけれども、それに独裁は必須なのでしょうか? なんだかよくわかりません。「みんな馬鹿ばっかりだから俺が正しいことを教えてやらなければいけない」と思ってる頭の良いひとたちにとっては理想なんでしょうが。

 隣りあっている中国よりも少し離れたソ連(ロシア)のほうが北朝鮮への影響力が強い理由も歴史をみるとはっきりします。
 ソ連は、大戦末期に朝鮮に進行し、アメリカとの協定で38度線から北側を占領することとなります。そして、こいつはいうことをきくだろうと選び出した金日成をすえて人工的につくりだしたものが北朝鮮だったというわけです。
 ただし、金日成は、ソ連と中国とのあいだをうまくわたりあるいて、強国の影響力をできるかぎり排除します。
 交渉能力が高かったのは確かでしょう。自分よりも影響力がある人物がそのころは国内にまだたくさんいました。ソ連の後ろ盾があるものの自分勝手には動けません。そのひとたちをうまく利用し、機会を選んで追い落とし、段階を踏んで独裁体制をつくっていきます。
 独裁体制ができあがると、つぎには自分を偶像化。あることないこと自分の経歴を美しくつくりあげ、国民に披露します。
 自己保身が、結果オーライで愛国心につながり、民族の独立へもつながりました。
 まあ、すごいひとです。金正日の生涯、映画化されないかなと思います。

 最近の北朝鮮についての本は多いけど、その歴史はまだまだ知られていないので、こういう本が出るのはいいことです。
 原作も翻訳されているそうなので、そちらを読んでもいいでしょう。ただ、マンガだと人物の似顔絵があるので、登場人物の多さからくる混乱がだいぶ防げると思います。

"コミック 知られざる北朝鮮史〈上〉戦禍からの国家誕生"
原作: 金 学俊、画: 李 東宇、翻訳: 李 英
幻冬舎
1300円
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"コミック 知られざる北朝鮮史〈下〉独裁国家の歩みと現在"
1300円
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《原作》
"北朝鮮五十年史 「金日成王朝」の夢と現実"
金 学俊、翻訳: 李 英
朝日新聞社
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