2009年9月12日

自民党はなぜ潰れないのか

自民党はなぜ潰れないのか―激動する政治の読み方 (幻冬舎新書) (新書) 『参議院なんていらない』に続く政治ウラ話対談集。自民党は先日、壊滅的に負けていますが、書いてある内容はまだまだ役に立ちます。特に細川政権の成り立ちと潰れていく過程がくわしく書かれているので、これから民主党政権がどうなっていくのかを見るのにちょうど良い参考書となるでしょう。

 細川政権の終焉については、亀井静香がゲストに招かれ、政権打倒の工作を披露。なかなかの策士です。テレビの討論番組で竹中平蔵を追い込んだことがあるそうですが、けっこうな切れ者だったんですね。

 このところ、テレビ朝日が、細川政権をつぶしたのは小沢だ、小沢がいたら民主党も二の舞だ、とやっていて、武村正義を呼んで発言させたりしていましたが、武村さんあなた犯人じゃないですか。細川さんも「武村は最初から倒閣を狙っていた」と言っていたそうです。小沢バッシングは、自民党が、小沢をやれば民主党はおしまいと考えて始めたもののようですが、朝日の小沢叩きはどういう意図があるのでしょう。
 今の政界再編、二大政党制のもとになったのは、リクルート事件で退陣することになった竹下内閣が去り際に残した「政治改革大綱」という政治改革案で、これを実行していったのが自民党の羽田、小沢です。
 小沢を評価するならともかく、叩く方向へいくのは、筋が通らないと思います。
 しかしながら、ここまでやってきたのは結局ほとんど自民だった‥‥というのはおもしろい話ですね。

 こういうウラ話の本が出ると、新聞記者などは、そんなことは最初から知っていたよ、というんだそうですよ。それならなんで、最初からそれを書かなかったのかをお聞きしたい。まったく、ジャーナリズムはだめですよね。

"自民党はなぜ潰れないのか―激動する政治の読み方"
村上正邦、平野 夫、筆坂秀世
幻冬舎新書
819円
Amazonアソシエイト
オンライン書店ビーケーワン

2009年9月 8日

ワイヤー・イン・ザ・ブラッド サードシーズン

 ほっそりやさ男の犯罪心理学者トニー・ヒルと、刑事課の強気なリーダー、キャロル・ジョーダンを主人公とする犯罪捜査ドラマシリーズです。
 現代的な異常犯罪をしっかりとした推理ドラマの手法で描き、みごたえある作品に仕上げています。

『シークレット・ガーデン(Redemption)』
 映像がかなり洗練されました。セカンドシーズンあたりだとカメラワークに凝ろうとしてるのはわかるんだけ、犯人視点や演出としてのアングルなどが整理されず乱雑につかわれていて、さわがしいばかりだったものが、きれいで、見て楽しめるものへと変わりました。
 今回は、少年を狙った連続殺人事件です。鎮静剤を過剰に吸わせて安楽死させられた少年の遺体が展示でもされているかのように配置された状態で見つかります。被害者がひとりふたりと増えていくと、被害者に親から虐待されていた事実があきらかになります。やがては、この犯行が数年前に行方不明になったべつの少年たちと深く関わりがあることもわかってきます。
 事実がひとつずつあきらかになっていくごとに、殺人者の心の闇に近づいていき、緊迫の度合いを増していきます。そしてストーリーも、犯人を罠にかけるスリリングなラストへと向かいます。

『バッド・シード(Bad Seed)』
 前回、映像が良くなったと思ったけど、今回は、あれ? と思う場面がちょっとありました。一番目だったところでは、トニーが立ち去るラスト近くのシーン。やりすぎです。アクションヒーローじゃあるまいし、大げさで、いいところなのに興ざめです。
 ストーリー的には、犯人となる人物が終盤に突然出てくるタイプで、推理物としては破綻していますが、犯人の人物像はそこまでの話でたっぷりと語られているので、ドラマとしての問題はありません。
 そのお話ですが、元・殺人鬼が精神治療を受けて出所、本を書き、さらには心理学の学位を求めてトニーの元にやってきます。トニーはいま関わっている殺人事件の手口が、その男のやり方を真似ていることに気づきます。

『9 P.M.(Nothing but the night)』
 原題とおなじ題名の映画(日本では『デビル・ナイト』というタイトル)がありますが、どうやら関係はなさそう(参考リング→アマゾン紹介ブログさるさる日記)。
 ひとりぐらしを狙った凶暴で残虐な殺人事件が続きます。トニーは犯人が同一であると見ますが、まるで別人のように犯行の特徴が違っていることに困惑します。そうしているうちにつぎの事件が起こります。被害者は若い男性、池の岸辺で完全にバラバラにされていました。
 トニーは、犯人はふたりいて、互いに妄想で刺激しあった結果が、犯行の非同一につながっているのではないかと予想します。視聴者が見ている映像には犯人が映しだされます。若い男女です。男性は高圧的で、女性に日常的に暴力をふるっているようです。
 ここから、犯人まで、どうたどり着くのかが楽しみな作品になっています。犯人像は見る側にはわかっているはずなのに、さらにもうひと展開させて、われわれを存分に楽しませてくれます。
 このメインの事件とはべつにトニーにストーカー的な女性が迫ってきます。飛行機で隣りあってちょっと会話を交わしただけだったのに、行動はどんどんエスカレートしていって、自分がトニーの妻であると考えるようになります。そして、キャロルの存在をかぎつけ、彼女の排除へと乗りだします。こちらはシンプルなストーリーですが、ラストまでとても怖いものになっています。

『シンクロニシティ.(Synchronicity)』
 ドラマ冒頭の事件で犯人になぐられてしまったトニーは病院の検査で脳に腫瘍が見つかります。言い間違えをしたり、怒りっぽくなったり、症状は急速に悪化していきます。最悪のコンディションのなか、連続狙撃事件の犯人を追いかけます。
 この連続狙撃事件、被害者の共通点をたどっていっても犯人にはたどり着きません。犯行現場に残されたトランプのカードから、どうやらは犯人はカードを引いて狙撃対象を選んでいるらしいとわかります。ランダムなんです。いつか犯人がミスをして逮捕につながることは予想できますが、それを待っていては被害者が一方的に増えるばかりです。推理して、先回りしなくてはいけません。
 最後には、トニーは現場を予想して、犯人を追いつめることができるんですが、これが最初、なぜなのかがわからないんですよね。そこで、よく見なおして考えてみると、一見、完全なランダムで被害者が選ばれているように思えても、カードをどう解釈するかで犯人はしぼられてくるわけです(トニーもそのようなことをいっています)。複雑に見えて、これは意外に単純な事件でした。あまり書きすぎるとネタバレにもほどがあるのですが、理解のためにあとひとつだけ、――最後の事件の現場は最初の狙撃事件の現場と同じ場所です。
 ところで、ドラマ冒頭の事件は、ドラマ全体と関連性があるのでしょうか? ほんとうに無関係の事件なんでしょうか? ふつうだと暗示的な仕掛けを凝らしますよね。うーん、自分にはそうだともちがうとも判断がつかないんです(TωT) ウゥ・・・


参考リンク
「Nice to meet you!」サイト内ワイヤー・イン・ザ・ブラッドのレビュー
Wire in the Blood - 英語版Wikipedia