2010年3月 5日

バットマン:ダークナイト

DARK KNIGHT バットマン:ダークナイト(ケース付) (SHO-PRO BOOKS) (大型本) 引退して10年、ブルース・ウェインは、トラウマにつきうごかされ、バットマンとしてよみがえる――。国家はしかし、かつてのようなスーパーヒーローの存在を望んではおらず、多くのヒーローたちは引退するかもしくは捕まって監禁されていた。もっとも有名なヒーローであるスーパーマンは政府と契約を交わし、その配下となることでヒーローとして生きながらえていた。……

 バットマンのコミックです。『バットマン:ダークナイト・リターンズ』と続編の『バットマン:ダークナイト・ストライクス・アゲイン』が収録されています。『ダークナイト』というバットマンの映画がありますが、直接的な関係はありません。このコミックが発表されたのはティム・バートンの『バットマン』の前で、映画シリーズはこのコミックが人気を博したことによります。

 『バットマン:ダークナイト・リターンズ』は、反社会的とみなされながらも揺らぐことなく正義を遂行するバットマンと、政府の意向にそって行動するスーパーマンの決戦を描きます。
 社会の底辺に押しやられ犯罪集団となっていたミュータントたちに力を示し束ね自分の部下としていくバットマンは、部族の族長のようで頼もしく、腐敗した王朝に反旗を翻す古代中国の英雄のようでもあります。タフであり、幾多の妨害を受けながらも粘り強く正義の火をともし続けるすがたは、もはやすっかり諦めきられてしまったこの世界のヒーローにふさわしい。

 後半の『バットマン:ダークナイト・ストライクス・アゲイン』は、15年後に作られた『バットマン:ダークナイト・リターンズ』の正式な続編です。作品の出来は良くありません。
 絵柄はポップで、それ自体はよいのですが、コマが大きくなるほど単純化され、さらに構図もまずくなっていくので、かなり残念な絵になります(一部、彩色に救われているが)。
 ストーリーは、DCコミックのたくさんのヒーローたちが説明なしで入れ代わり立ち代わり登場してくるため戸惑わされます。知識があればまた評価が違ってくると思いますが、知らないとわけがわからなくなっていきます。推測もこれほど短期にたくさんでてくると追いつきません。窮地の打開策が伏線なしに新兵器・新たなヒーローの登場となる場合が多く、ほとんどその場での処理となり、
展開が非常に直線的です。内容も、『ダークナイト・リターンズ』にみられる社会との軋轢から正義が悪とみなされてしまう複雑さとそれとの戦いだったものが、今回は、政府を裏で支配している「悪者を倒す」という、一周まわってもとにもどってきてしまったもののとなっており、さらに作者がもそのことを自覚してないようにも思えるので、いささか退化してしまった印象をうけます。
 できれば『ストライクス・アゲイン』を読まずに本を閉じてしまうことをおすすめします *1

"バットマン:ダークナイト"
『バットマン:ダークナイト・リターンズ』 脚本: フランク・ミラー、作画: クラウス・ジャンセン、彩色: リン・ヴァーリイ
『バットマン:ダークナイト・ストライクス・アゲイン』 脚本・作画: フランク・ミラー、彩色: リン・ヴァーリイ
小学館集英社プロダクション
3990円
Amazonアソシエイト
*1: ヒーローたちの知識があればこれもまた評価が違ってきそうです。古いヒーローたちの復権と読めないこともないからです

コメントする