ワイヤー・イン・ザ・ブラッド 4thシーズン

心理学者トニー・ヒル博士が活躍する犯罪捜査シリーズの4。
キャロルが突然転勤となり、捜査チームに新しいボスとしてアレックス・フィールディングが登場します。
『Domin8(Time to Murder and Create)』
いきなりキャロルがいなくなってトニーだけじゃなくて見てるこっち側もほんと「おいおい」とつっこんでしまいたくなる回です。
セットも一新されました。警察の取調室が、妙に広くて無機質になって、ちょっと怖いです。トニーの家は変わったのかな? 自分にはおなじように見えましたが、散らかっている部屋という印象が強いのでよくわかりませんでした。
新しいボスのアレックスは、トニーはいらんなーっていう態度でした。部外者扱いされたトニーは熱心に自分の分析(プロファイル)を売り込みますが、かえってアレックスのかんに障り、拒絶されてしまいます。
今回の事件は、若い女性を狙った連続殺人です。
調べを進めるトニーは、犯人と被害者の接点がSMの出会い系サイトであることに気がつきます。女性が逃げだそうとすると殺してしまうらしい。
やがてトニーの分析にも一理あると気づいたアレックスは捜査への協力を申し出、ぎくしゃくとしながらも新たなコンビがここに誕生、事件解決をめざします。
『VOICE(Torment)』
今現在進行中の連続殺人事件が、すでに服役中の男の犯行とまったくおなじ手口だった‥‥これとおなじとっかかりの話が前にありましたが、ストーリー全体の展開はもちろん前の話とはちがっています。犯人は何者かに操られて殺人を重ねているのでした。これもまたサイコドラマの典型ではありますが、それでもけっこう楽しませてくれます。「物事を陰で操る存在」というテーマはサイコもののジャンルがでてくる以前からありました。使い古された題材ですが、何度も見ているはずなのに、なお興味を引かれてしまう強い魅力があります。ただ、その陰の存在とちゃんと戦ってくれないと興味を引かれた分だけ、がっかりなストーリーになってしまうきらいがあります。このストーリーでは、ちゃんと対決してくれるのでその点は安心です。
これまでずっとこのシリーズを観てきた人ならわかるでしょうが、犯人である人物の病気を少しも癒せなかったことに対する落胆が、今回も印象的です(もちろん、殺人鬼を平気で野に放してしまう日本のように、罪を許してしまうわけはありません)。
『HEA7EN(A Hole in the Heart)』
カルト宗教による連続殺人を描きます。カルトの指導者は、生きることに意味や価値を見いだせない自殺願望の強い人たちに、殉教という意味をあたえます。教えにしたがい、罪深き人を殺し、死体に象徴的な意味をあたえ、そして自らの命を絶つわけです。指導者の支配欲は充たされます。
フリーメーソンのように、メンバーの中だけで秘密を共有することがすでに腐敗である、とトニーのセリフにありますが、的を射ていると思います。
ドラマ的には中クラスですが、トニーの悩みを描いている部分はシリーズ中、トップクラスです。
『SPIRAL(Wounded Surgeon)』
かつてトニーが尋問し自白へと導いたレイプ殺人犯が仮釈放される。その犯人の手口そのままの事件が起こり、再犯かと思われたが、彼にはアリバイがあった。しかも、さいしょの逮捕はマインドコントロールによる、ねつ造された自白によるものだと主張する記事がマスコミにとりあげられ、一転してトニーの過ちではないかと疑いが起こる――。
追いつめたと思ったら手ひどく逆襲されるあ、というストーリーなだけではなく、心理学者が犯人を仕立てあげてしまうことはないのか? さらには心理学者がモンスターをつくりあげてしまうことはないのか? というテーマをも盛りこんであります。いい題材です。これで話が他にいくつも作れそう。
日本版はここで刊行がとまっちゃっているんだけど、つづきは出してくれないのかな?
参考リンク
→「Nice to meet you!」サイト内ワイヤー・イン・ザ・ブラッドのレビュー
→Wire in the Blood - 英語版Wikipedia



