2011年5月25日

ある日のことです。

 地元のショッピングモールへ買い物に行ったとき、車を降りて店の入り口にさしかかったところで年配の女性に声をかけられ、あやまられました。
 「?」
 どうやら、自分の息子とまちがえて声をかけたことをあやまっているらしい。たしかに、駐車場で、なんども大きな声を出していた女性がいました。しかし、自分は完全スルーで、店に向かっていたのでした。
 買い物をすまして店をでると、女の人がいて、自分が進んでいる方向と同じ方へ進んできました。あまり近づいてしまうのは失礼なのでちょいと避けつつ、自分の車に乗り込むと、その女の人も車のすぐ横に立ち、ウインドウからこちらをのぞき込んできました。こちらをはっきりと確認するとハッとしたようです。あやまってきました。
 弟さん似ていてと間違えたのだそうです。
 「!」
 おい、おまえら親子そろって人違いかよ!
 どんだけ似てたんだろう?
 ドッペルゲンガー? 


2011年5月19日

『ガルシアの首』

ガルシアの首 [DVD]  メキシコのある有力者の娘に手をつけた男に多額の賞金がかけられます。そのゴッドファーザー的な有力者いわく「首をもってこい」。つまり「殺せ」「殺した証拠を持ってこい」というわけです。
 映画の主人公となるベニーはバーのピアノ弾きです。落ちぶれてメキシコにながれてきたアメリカ人です。とりあえず、肝は据わっているようで、店のある界隈ではわりと顔が利きます。賞金がかけられた男が、自分の今の女と昔つきあっていて、つい最近も会っていたことを知ります。
 女につめよると、その賞金がかけられた男は、酔っ払って車を運転して事故死してしまっていると教えられます。ベニーは、首をとってきて、賞金のおこぼれを頂戴することを計画します。その顛末が映画のストーリーとなっています。

 銃撃戦などアクションシーンは、ほしいと思うところで、ガツっときます。「すげえ」と圧倒されます。

 ストーリーは、負け犬たちの物語ですが、今までなんの問題もなくうまくやってこれた「幸せな人」というわけでもなければ、見ごたえあるでしょう。ほどよく重たく、深く、苦いです。
 すてき。

"ガルシアの首"
監督: サム・ペキンパー
出演: ウォーレン・オーツ、イセラ・ベガ ほか
Amazonアソシエイト


2011年5月14日

『箪笥』

箪笥 [DVD]
 父親に連れられて郊外の一軒家に遊びに来た姉妹は、若い女性の歓迎を受けます。姉妹はそれぞれ明に暗にその女性に敵意を見せます。やがてその女性は父親の再婚相手で、この家にかつて姉妹も来たことがあることがわかってきます。そして継母と連れ子のぎくしゃくとした関係だけではない隠された「過去」が歪んだ幻影のむこうに見えてくることになります。

 ホラーというよりはサイコスリラー。幽霊もでてきますが、それは登場人物の心理をあらわした表現様式です。

 ネットでは中ぐらいの評価だったので、――ホラーの評価で「中くらい」というのはダメな部類に入るので(「上」でも結局ダメが多いくらいですから)、自分も観ようかなとは思っていたものの先送りしてましたが、けっこうおもしろかったです。
 不満といえば、結末ぐらいで、もう一回転、小さくてもいいので物語のらせんを描いてほしかったと思います。ラストだけストレートすぎです。

"箪笥"
監督: キム・ジウン
出演: イム・スジョン、ムン・グニョン、ヨム・ジョンア、キム・ガプス ほか
Amazonアソシエイト


2011年5月 5日

宮城谷昌光 『三国志』 第7巻

三国志〈第7巻〉 劉備は本当に変わった人だなあと思います。
 歴史のなかには変わった人物が数多く存在しますが、劉備ほど君主とか国家というものと関係しなさそうだったひとはいません。いづらくなるなにもかも投げ捨ててあっさり逃げていってしまいます。時間をかけてつくりあげていくということができません。
 そして行動の遅さがあります。作中で指摘されていますが、数カ月、何をしているのかわからない空白期間がいくつか見られます。また戦略も進行の遅い方を選びます。『三国志演義』ではそれは劉備の美徳のように描かれていますが、現実をみると、それはどうなんだろうかと疑問に思うこともあります。 *1
 執着のない、のんびりした人生。――一般人(とくに現代の一般人)ならそれは好ましい生き方のひとつでしょう。しかし、あの時代に、これから君主になろうというひととしては無茶な性格です。無茶ゆえに、そんな劉備を物語の主人公にしようというのはいいことだと思います。おもしろそうです。
 ただ、『三国志演義』では、劉備を理想的な君主として描こうとしたため、劉備の特殊さを消してしまいました。
 それを再び見いだしたこの宮城谷版三国志の価値は大きいと思います。

"三国志〈第7巻〉"
宮城谷昌光
文藝春秋
1700円
Amazonアソシエイト

ちなみに追いかけなかった奥さんはそのまま捨てられてしまったようです。

*1: とりえといえば、意外にも軍はきちんと動かせるほうで、強いといってもいいでしょう。下手をして兵を損なったことはありません。