2011年5月 5日

宮城谷昌光 『三国志』 第7巻

三国志〈第7巻〉 劉備は本当に変わった人だなあと思います。
 歴史のなかには変わった人物が数多く存在しますが、劉備ほど君主とか国家というものと関係しなさそうだったひとはいません。いづらくなるなにもかも投げ捨ててあっさり逃げていってしまいます。時間をかけてつくりあげていくということができません。
 そして行動の遅さがあります。作中で指摘されていますが、数カ月、何をしているのかわからない空白期間がいくつか見られます。また戦略も進行の遅い方を選びます。『三国志演義』ではそれは劉備の美徳のように描かれていますが、現実をみると、それはどうなんだろうかと疑問に思うこともあります。 *1
 執着のない、のんびりした人生。――一般人(とくに現代の一般人)ならそれは好ましい生き方のひとつでしょう。しかし、あの時代に、これから君主になろうというひととしては無茶な性格です。無茶ゆえに、そんな劉備を物語の主人公にしようというのはいいことだと思います。おもしろそうです。
 ただ、『三国志演義』では、劉備を理想的な君主として描こうとしたため、劉備の特殊さを消してしまいました。
 それを再び見いだしたこの宮城谷版三国志の価値は大きいと思います。

"三国志〈第7巻〉"
宮城谷昌光
文藝春秋
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ちなみに追いかけなかった奥さんはそのまま捨てられてしまったようです。

*1: とりえといえば、意外にも軍はきちんと動かせるほうで、強いといってもいいでしょう。下手をして兵を損なったことはありません。

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