天帝妖狐
ふたつの小説がおさめられています。
ひとつめは「A MASKED BALL」。
高校のトイレの落書きから見知らぬ学生との交流がはじまる。やがて、この落書きのきっかけをつくったカタカナだけで文章をつづるひとりが狂気をはらんだ過激な行為を構内でくりかえすことになる。
もうひとつは「天帝妖狐」。
ひとりで〈こっくりさん〉をしていた少年がであった霊〈早苗〉に死への恐怖から永遠の命とひきかえに自分の体をゆずりわたしてしまう。
「A MASKED BALL」の犯人(カタカナの落書きのひと)は、結末近くで明かされたそのひとなのか、それともべつのあのひとなのかとちょっと考えてしまいました。考えすぎかな。
また、巻末の解説にありますが、ネットワーク物の小説でよくつかわれている匿名性は、こういうトイレの落書きを題材にして充分に書けてしまうんですね。ネット物のさらなる発展を望みたいものです。
「天帝妖狐」の結末の会話のすばらしさ。胸をしめつけられました。




