暗いところで待ち合わせ
視力を失った若い女ミチルの家に、殺人事件の犯人として追われている青年アキヒロが逃げこむ。音を立てずにひっそりと気配をころして部屋の隅にうずくまる。ミチルはひとの存在に気づいたが、知らないふりをしてやりすごす。
ミチルが視力を失ったのはまだ数年、ずっとふたりっきりで暮らしていた父親も去年亡くなってしまっていた。元来、引っ込み思案で、親しい友だちはひとりいるきり。アキヒロも孤立しがちな青年だった。仲間がつくれず、いまの職場でも誰ともうちとけず、いつもひとりでいた。
孤独を知るふたりが、おたがい気づいていながらも、ほんとうはミチルの家にはほかにはだれもいないんだよという約束があってそれを守らなければいけないというかのような、微妙なふしぎな関係をつくりあげてゆきます。
人間関係、生き方、そして発端となった殺人事件について、揺れうごく感情、状況をたんねんに書いていっているところがとてもいいです。





