2006年1月26日

新・トンデモ超常現象56の真相

4872335988.09._OU09_PE0_SCMZZZZZZZ_.jpgちまたに広まっている超常現象のうわさの真相をあきらかにする「トンデモ超常現象99の真相」の続編です。前作とくらべて、俎上に載せる題目の数が減り、その分、解説がながくなっているために、軽快さが失われています。読み物としては前作のほうができがいいでしょう。しかし、創作の資料としてつかうには解説がくわしいこちらのほうが役立つでしょう。

読んで印象に残ったのは、バイオリズムがぜんぜん根拠がないものだということ、それから、江戸が風水による霊的防衛都市として作られたというのはあやまりだということ(ちなみに平安京が四神相応した土地を選んで建てられたというのもあやまりで、山や道などを四神にたとえるようになったのは10世紀からで、平安京は8世紀に建てられている)。

意外だったのが、"幻視や幻聴があらわれるのは、超能力者だからでも、精神異常者だからでもない"(p.319)という項目があったことです。ほかがテレビ番組や本、雑誌などで話題になったものなのに対してこれはかなり一般的なことがらです。この幻視、幻聴は、自分が想像した空想の世界をリアルなものとして五感で体験できる能力で、人口の4パーセントはいるのだそうです。異常でもなく、特殊能力でもなく、「性格」だということです。

"新・トンデモ超常現象56の真相"
皆神龍太郎、志水一夫、加門正一
太田出版
1554円
Amazonアソシエイト

2006年1月21日

トンデモ超常現象99の真相

4896912519.09._OU09_PE0_SCMZZZZZZZ_.jpg世間に広まっている超常現象のうわさの真相をあばいています。
オカルトっぽいストーリーをつくるときの参考書にしようと思って買いました。ネタがそろっていてなかなか良いですね。

読んでいてけっこう知らないことがありました。
アメリカで牛の異常な死体が多くみつかって話題となったキャトル・ミューティレーション。目玉や性器がきれいにくりぬかれ、体内には血が一滴ものこっていなかった、これは宇宙人によるしわざではないかといわれていたのですが、じつはこれは、死骸の自然な変化なんだそうです。
それから、気を放って他の人を倒したりするのがありますが、あれが中国の歴史にはじめてあわわれたのは1970年後半なんだそうです。意外に歴史が浅いんです。中国本来の伝統的な気功は体内の気の流れをよくして健康になるという考え方にもとづいて瞑想や体操をするもので、あの気をだしてなにかするというのとはまったくのべつもの。異端なんです。どうやら、自己暗示やプラシーボの域をでるものではないようです。

ざんねんだったのは、超常現象のほとんどが、うそや大げさだということでした。
眼をとじなくてもみられる夢がロマンだと思う。まだ見ぬ確かなふしぎがこの世界のどこかにないものかなー。

"トンデモ超常現象99の真相"
と学会(山本弘、志水一夫、皆神龍太郎)
洋泉社
1575円
Amazonアソシエイト

2006年1月16日

げんしけん

4063211517.09._OU09_PE0_SCMZZZZZZZ_.jpg4063211444.09._OU09_PE0_SCMZZZZZZZ_.jpg大学のおたく系サークルに所属するひとたちの生活を描いているマンガです。

1、2巻がとくにおすすめです。
それまでおたくに接することなどなかった春日部咲さんが、大学でおさななじみの高坂くんと再会、すごい美少年になっていたのもあって、運命の再会? これはアタックでしょうと、もりあがりますが、恋した高坂くんはおたくでした。おたくじゃないひとからみた、おたくのひとのわからなさかげんや、自分はもしかして彼の心に入り込めないんじゃないかという焦燥、恋しているだけにギャップというだけじゃすまない距離感が描かれています。気の強い女性である咲さんがまた一途でかわいいのです。

それから、このマンガを読んでわかったのですが、おたくのひとは女の子のキャラクターが好きだったりするじゃないですか、そのときエッチな興味からじゃなくって、性格だとかそういうのが大事みたいにいうんですよ、生身の女にはない純粋さがあるというひともいるんですよ、でも、なんだ、やっぱりエッチなんじゃん、けっきょく性欲の問題じゃんというのが、よーくわかりました。もー、きれいごとばっかりいいやがってー、って感じです。

"げんしけん"
木尾 士目
講談社 アフターヌーンKC
各巻530〜540円,
Amazonアソシエイト

2006年1月13日

アンダカの怪造学I

404481001X.01._OU09_PE0_SCMZZZZZZZ_.jpg虚界(アンダカ)という異世界からモンスターを呼びだすことを怪造といい。その怪造を専門的に教える古頃怪造高等学校の新入生の女の子、空井伊依(すかいいより)の活躍をえがくシリーズの1作目。

伊依の特別授業の担当教師となった錬ノ島了信はかつて安易な怪造により妻と子を失っていた。みずからの過ちを償い、ふたりをとりもどすために、「生と死を分かつ」という禁忌の怪造生物"フェニックス"をよびだそうと長年研究していた錬ノ島は、伊依の言葉から、怪造の重大ヒントを得る。しかし、"フェニックス"には錬ノ島が気づかなかったある恐ろしい事実が隠されていた。

日日日は、言葉選び、がうまいですね。選んだ漢字のおもしろさとリズムにセンスがあり光ります。章の扉のデザインにもつかわれている怪造の呪文はこんなです。

現界カナイの扉を打ち開けて、虚界アンダカの闇に歩を進め、死人漁りの魔窟を越えて、剣の山をかきわけつ、墨を塗りこむ小川を泳ぎ、砂利の重なる渚を走り......

いいなー。きもちいい。
通常の本文も同様、リズムがよいので飲み込みやすい文章です。語り口も、ぼけやひとりつっこみがあったりで、おもしろいんですよ。

"アンダカの怪造学I ネームレス・フェニックス"
日日日
角川スニーカー文庫
580円
Amazonアソシエイト

2006年1月 9日

もう牛を食べても安心か

4166604163.09._OU09_PE0_SCMZZZZZZZ_.jpgアメリカ産牛肉の輸入が再開されましたが、ようすをみるんだったら10年は食べちゃいけないね、潜伏期間が長いから。

BSEの原因がどれだけわかっていて、どれだけわかっていないかについて、この本はくわしいのですが、それ以外にも新鮮な視点がだされていて、読み物としておもしろいんです。

ひとつめは、食べ物が体でどうつかわれるか、です。一般的な考え方だと、食べ物は分解され、血液をとおって体の各部分に運ばれ、そこでエネルギーとしてつかわれ、体を修理したり成長させたりするためにつかわれ、あまったものは脂肪として蓄積されたり、便として排出される、となるのですが、実際には、そんなふうに食べ物の分解された分がそのままつかわれたりするのではなくて、分解された栄養素は体の各部分にすべて吸収され、いれかわりにもともとあった部分がでていくという、"入れ替え"がおこなわれているんだそうです。これはシェーンハイマー(1898-1941)というひとの研究によって知られるようになりました。この入れ替えシステムの利点は出入りの量をコントロールしてダイナミックに繊細にエネルギー量をコントロールできることです。
体の各部分がつねに新しいものに入れ替わっているっていうのはおもしろいですよね。
ただしこれは想像による飛躍の部分が大きいので注意が必要です。古い実験研究でもあるし、原典にあたり、再研究しなければいけません。
でも、物語つかうのには、おもしろいアイデアですよね。

ふたつめは、分子によるセンサー機能です。モニター分子とよばれるものが、特定の物質をかぎつけて、適切な消化液を分泌させたりします。こういうモニター分子になるものが体の中にはたくさんあって、ひとつの生物は、そのまま、複雑な情報処理システムでもあるといえます。
食べ物の消化が徹底して食物を分解するのは吸収利用しやすくするためだけではなく、自分の情報処理システムが異常をきたさないようにするためでもあるわけです。
ひとつの肉のかたまりがひとつの情報処理システムでもあるため、機械部品のように交換はできません。本の中では、臓器移植の危険性をもうったえています。

"もう牛を食べても安心か"
福岡伸一
文春新書
756円
Amazonアソシエイト

2006年1月 4日

元気があるひとは、元気をあたえるね

1281681159.jpg「WiLL」は右よりの雑誌ですが、ずっと左よりの教育をうけてきた世代(いまもそうかも)にはバランスのとれた思考をするために最適な雑誌です。むちゃなことはいってないしね。とにかく、左よりの教育は平和、平和いうけど、その平和をえるための方法がやけにとぼしい。折り鶴つくる? 平和を祈る? ほかのところでは戦争しているのに火の粉がふりかからないようにみて見ぬふり? それじゃあだめでしょう。人事を尽くして天命を待つ、天は自ら助くるものを助く、です。

昨年さいごの「WiLL」の日垣隆さんのコラムは読んで活力となりました。ご自身の仕事についてなんですが、
"たいていの場合「質」云々は、「量」をこなせないことの言い訳になっている"
とおっしゃる。
質は"読者の評定に委ねるしかない"から、"現役の走者としてはひたすら増量を目標に歩んでいくしかない"。
そして、
"大切なことは、自分の鑑識眼と道徳心が合格印を押す範囲内で、たとえ小さなものでも完成させ続けることだ。完成させずに、本来もっと良いものができるはずだ、と自分を騙してその場に留まるのは明らかに幻覚を見ているのである。"
うおー。
たしかにそのとおり。
燃えましたよ。
今年はこの言葉を胸に刻んでやっていきます。

(単純? そうかも (*'-'*)エヘヘ