2006年3月27日

おおきく振りかぶって(6)

4063144089.01._OU09_PE0_SCMZZZZZZZ_.jpg 6巻は、夏の甲子園地区大会初戦のつづきです。1点リードするも、敵は優勝候補の強豪、盛りかえしてきます。
 スポーツとしての単純なおもしろさと、あいての先を読んで作戦を仕掛けていくゲームとしてのおもしろさが描かれ、試合はスリリングに展開していきます。
 われらが西浦高校は勝てるんでしょうか?

 毎回、野球について解説がついているのがうれしいです。今回は、一塁と三塁のところにいるコーチについて。なにをしているのかやっとわかりました。

"おおきく振りかぶって(6)"
ひぐちアサ
講談社 アフタヌーンKC
540円
Amazonアソシエイト

2006年3月24日

写真で読む 僕の見た「大日本帝国」

4795831238.09._OU09_PE0_SCMZZZZZZZ_.jpg かつて日本は広大な領土をもっていた。日本が存在していた外国の土地を実際にたずね、その痕跡を見、ひとの話を聞いた紀行文『僕の見た「大日本帝国」』の姉妹篇。新たに書き下ろした文章と、前作を上回る量の写真でつづられています。

 文章中に語られる著者の歴史認識はいわゆる反日とよばれるひとたちに近いものがあり、わたしの意見とはちがっていますが、実際にその場にいって見て感じたことを記したルポルタージュ部分はとても力強く、主張の異なる者が読んでも得るところが大きいと思います。前作を読んだときもそうでしたが、やっとほんとうの日本の歴史にふれることができた気持ちです。

 比較して、読みごたえは前作の方があり、ちょっとものたりなさを感じました。写真も、より大きいサイズで、もっとたくさんあればと思いました。まだまだ日本を足あとを探っていくそうなので、将来はぜひともアルバムを刊行していただきたい!

"写真で読む 僕の見た「大日本帝国」"
西牟田靖
情報センター出版局
1680円
Amazonアソシエイト

2006年3月22日

華氏451度

f451.jpg どこか、近未来の世界。モンターグは、本を焼きすてる仕事についていた。ここでは、ひとになにかを考えさせようとする書物を持つことは禁じられていた。生きることの意味をみいだせなくなっていたモンターグは、不思議なことをいう少女にであい、話をするようになってから、この世界に疑問を感じはじめる。

 国家権力による言論統制として語られることも多いのですが、焦点は、ひとびとが考えることを望まなくなったことにあてられています。いつもたのしげで、かんたんに問題の答えをだしてくれるテレビと、いつも耳にさしこまれている無線式のイヤホンからながれてくる癒しの音に没頭し、ひとびとは幸せに暮らしています。問題に正面から立ちむかうことをすすめ、その結果、この世の矛盾にもがきくるしむことになる思想はだれも望んでいません。——幾人かをのこして。かれらは世界が困難をむかえ、ひとびとがまた自分たちがもっているものを望む日がくることを信じています。

 永遠の命、生まれかわりの象徴であるフェニックス(不死鳥)のもう一方の面が寓意として会話のなかでつかわれます。自分自身を火葬にしてもういちど、そっくりそのままのすがたに生まれかわるフェニックスの行為の愚かであると、われわれ(人間)はそれが愚かだとわかっており、いつか燃えあがる炎のなかにとびこむことをやめるときがくると。

 紹介文を書くためにひさしぶりに読みかえしましたが、序盤が読みにくいですね。モンターグの陰鬱なモノローグがやっかいです。50ページぐらいまでいくと小説で描かれる世界にもとけこめるようになり、文章のテンポもあがってくるので、ちょっとがまんが必要です。

"華氏451度"
レイ・ブラッドベリ
ハヤカワ文庫
630円
Amazonアソシエイト

2006年3月16日

ソフト会社はてんてこまい - 「Joel on Software」

4274066304.01._OU09_PE0_SCMZZZZZZZ_.jpg プログラマーなんてものは、性格ワルーなひねくれ者、あきらかに善人なんていないんじゃないか思われる人間の巣窟で、あるいは逆に善さそうなひとはめっちゃくちゃ内気でどうしようもない、どちらにしても外交能力にかけるひとばかり。そんなひとたちをうまくうごかして、お仕事をやってかなくちゃならないチームリーダーのための本です。
 
 へんといえばそれはプログラマーばかりではなくて、つくるほうからしてみればお客さんも変わっていて、なにをしたいかよくわからないけどとにかくコンピュータをつかいたいひとたちなわけで、さて彼らをまんぞくさせるにはどうしましょう。著者のジョエルさんによれば、お客さんがなにがほしいかわかっていると期待することをまずやめる。お客さんの問題を自分で調べて解決方法をデザインする。また、お客さんとのやりとりで重要なのは、お客さんは画面しかみていないこと。どんなに役に立つ機能がそろっているか説明したところで、ここ見やすくならないかな、とか、もっとかっちょよくして、とか、そういうところにしか注意がいかないってこと。

 開発環境については、まず、仕様書のたいせつさが多くかたられています。プログラマーは仕様書なんかめんどくさくって書かないひとが多いけれど、仕様書として各段階でプログラムのデザインについて考えれば、プログラムをいっぱい書いてから、ありゃこれはまずいかもとなって無駄になってしまう時間が大幅にさけるし、仕様書があれば、自分の会社のマニュアルやヘルプファイルをつくるテクニカルライターや広報やセールスの担当になんどもなんどもなんどもソフトについての説明をしなくてもすむ。でも、書いてもよまないじゃん、っていうのなら、ユーモアをたっぷりもりこめばいいし、セールス用とかマニュアル用とかほかのプログラマー用とか関係ないひとはとばし読みできるようにコラムをわけておけばいい。
 そのほか、ソース管理をしよう、とか、スケジュールのたてかた、とか、バグ対応の実際的な方法など、役にたつことがけっこうたくさん書かれています。

 コンピュータとは関係ないや、ってひとにも、コンピュータ業界のことがいろいろ書いてあり、おもしろく読めます。なんでいまInternetExplorerの開発がとまっちゃってるんだろう?、とか、Microsoftの文句をいっているひとが多いのはなんでだろう?、なんでやたらあんなにたくさん文字コードの種類があるんだろう?とか、コンピュータ業界のさまざまななぜだろうの答えが書いてあります。

 ユーモアたっぷりなのでたのしく読んでいけます。エッセイとしての価値も高く、おすすめです(コンピュータの知識がなければわからないこともでてきますが、それは、"そういうものなんだな"とてきとうに読みとばせばよろしい)。コンピュータ業界の人たちのことを書くネタ本にもなるでしょう。

"Joel on Software ジョエル・オン・ソフトウェア"
ジョエル・スポルスキー
オーム社
2940円
Amazonアソシエイト

2006年3月 6日

アンダカの怪造学II

4044810028.01._OU09_PE0_SCMZZZZZZZ_.jpg異世界アンダカからモンスターを呼びだすことを怪造という。その怪造を学ぶ古頃怪造高等学校の新入生、空井伊依(すかいい・いより)の活躍を描くシリーズの2作目になります。

今回は、戦橋舞弓(たたかいはし・まいゆみ)という女の子が主人公クラスで登場します。子供の名付け(命名)DQN度ランキングにでてきそうな名まえです。この子も変わった性格の持ち主で、自分は正義の味方なのだと信じており、行動はすべて正義の味方らしいかどうかで決めています。その彼女は実の親を幼いころに亡くし、形見として大振りの日本刀を肌身離さず持ち歩いています。彼女の不幸はそれだけではなく、慕っていた義兄をなにものかによって殺害され、いままた義母も傷つけられてしまいます。義母に傷を負わせた謎の男はみずからを"神"となのり、世界の運命をかけたゲームを彼女に突きつけます。

イラストの伊依の雰囲気がちょっと変わってしまいました。やつれて神経質な顔になりました。イラストレーターの絵柄の変化でしょうか。物語で伊依も悩むことが多くなってきたので、その影響もあるかもしれません。

"アンダカの怪造学II モノクロ・エンジェル"
日日日
角川スニーカー文庫
600円
Amazonアソシエイト