Wikipediaで発癌性のページをみると、「WHOの下部機関であるIARC(国際癌研究機関)」の発癌性リスクの一覧のページがリンクされています。そこをみると、アルコール飲料は「グループ1 :人に対して発癌性がある」に載せられています。
アルコールと発癌性についてネットを検索するとその理由は、アルコールが喉の表面を荒らすからと書かれているものが多く見つかります。それも理由としてあるのでしょうが、じつは体内で分解されるときに発癌性のある物質がつくられています。
アルコールは体内で「アルコール→アセトアルデヒド→酢酸」の順番で分解されていきます。アセトアルデヒドは二日酔いの原因となっている物質ですが、これに発癌性があります。
どれくらいの発癌性のリスクがあるのか知りたくてネットを検索してみたのですが、いい情報は得られませんでした。
そこで、アルコール飲料に発癌性があることを最初に知った本から参考になる数値を載せてみましょう。その本は「環境危機をあおってはいけない」です。以前、紹介したことがあります(→こちら)。ページは378ページから。
発癌性のリスクを評価する数値は、マウスやラットの実験から算出されます。たとえば、コーヒー一杯を飲むと4.2mgのカフェイン酸を摂取します。成人の平均体重を72キロとすると体重1キロあたり0.1mgのカフェイン酸摂取量になります。ネズミの群れに毎日カフェイン酸を飲ませてその半数がガンになる量は約285mg/kg(これも体重1キロ当たりに換算してある)。そこから一杯のコーヒーは、0.1/285=0.035パーセントの影響をおよぼすと考えます。これは「HERP」(推定ヒト暴露量/ネズミ有効投与量)とよばれます。
本にも記されていますが、この数値は問題があって、ネズミの発癌性リスクをそのまま人間にあてはめていることと、毒物には閾値(しきいち)というものがあって少量ではまったくなんの害をおよぼさない量というのが存在しています(Wikipedia:毒性学:毒性学の基本概念)。がんがんに物質を投与されたネズミと、少量摂取する人間とでは発癌性は変わってきます。摂取量が少ないものほど過剰なリスク値が算出されます。
さて、アルコール飲料のHERPリスクですが、アメリカ人は平均してアルコールを一日ビール1.7本分相当飲んでいます。それはHERPリスク3.6パーセントとなります。コーヒーの36倍です。
ちなみに、この本のこのページは、農薬の発癌性リスクについての内容です。いちばん発癌性がつよいETU(エチレンチオ尿素)でも0.002パーセント。日本で有名どころの発癌性のある農薬DDTも0.002パーセントです。ふつうにレタスを食べても0.04パーセント、リンゴだと0.02パーセント。農薬の発癌性リスクはじつはこんなに低いんだよ、という内容になっています。
さてさて、アルコールのHERPリスク3.6パーセントって、実際にはどれくらいのリスクなんでしょう。
その答えはどこにも書いてありませんでしたが、参考になることはあります。
コーヒーの発癌性は人間においては「膀胱ガンを引き起こすという可能性は排除できない」そうなのですが、しかし「臨床的には大したことはない」のだそうです。臨床的というのは意味がわかりにくいですが、実際的という意味です。理論的には否定できないが、実際は大したことがない、ということです。
さて、どう考えましょう。お酒はもう飲まない? それとも、大したことはない?