2011年9月30日
『ギャング・オブ・ニューヨーク』
ギャングといってもマフィアのようではなくて、山賊とか海賊をみているような格好ででてきます。
まだ南北戦争をしているころ、創世記のアメリカ。移民がたどり着く港町、ニューヨークのうまれたての物語です。
物語といっても、ストーリーっぽいストーリーはなく、状況があるだけ。父親をころされた男が大きくなってその親の敵の手下になっている、という状況。
想像するようなできごとが起こりますが、想像したような結末は、ややだらしなく、かっこ悪く、訪れます。
もう、そういう時代ではないのかもしれない、……とも思うですが、この時代以後もギャングはたくさん生まれるし、ギャング映画も山ほどあるんですよね。決闘とかそいうことがじゃまされてできなくなってしまった時代になったということなのでしょう。
やはりスコセッシ映画の主人公はかっこ悪く結末を迎えるのでした(それを恐れると映画にでてくるサブキャラたちのようになってしまうという)。
『ワールド・オブ・ライズ』
アラブ諸国で現地にもぐって活動するCIA工作員を主人公としたサスペンス映画です。
ディカプリオ演じる工作員にたいして、本国から指示を送る上司がいるのですが、その上司は全編にわたってかかわってくるのですが、どんな事件にも巻き込まれないまま映画が終わってしまうのに、物足りなさを感じました。
なんかおなかいっぱいにならんのです。
安全なところにいる彼、もまた映画のテーマのひとつなんでしょうが、でも、そういうふうに描いていないので不満なのです。
これだったら、工作員を死なせてしまう結末にでもしなければ……。
残された上司は、なにもいわなくても、もしくはすぐに忘れてしまってべつの工作員に指示を送るでも、その演出がなんであっても、形はついたと思います。
2011年9月16日
『そして、ひと粒のひかり』
コロンビアの田舎町の農園で、花束をつくる仕事をしている17歳の女の子が主人公です。
彼氏にも不満、この生活にも不満。工場の主任にたてついて仕事もやめてしまいます。
彼女は、麻薬を飲み込んでアメリカまで運ぶ仕事を紹介され、それをうけることにしました。
でも、行って帰って、何も問題ありませんでいた、というわけにはいきませんでした。……
ふつうの女の子が麻薬の運び屋になっている話と、女の子が故郷を離れる話が、ひとつになっています。
尖りすぎず、かといって、それほど甘くもない。
コロンビアのふつうの女の子の青春映画を撮ろうとすると、麻薬の運び屋の話にもなってしまうという凄さ。
おとなしい日常のなかにあるできごとだからそこ恐ろしいのだと気づかせてくれます。
巧みな手さばきです。
2011年9月 9日
『マーターズ』
ネタバレありです。
また、ネタバレ無しだと、なんの話もできない映画なので、ネタバレされたくなければネットを検索してはいけません。
何者かに監禁され暴力のかぎりをうけていた少女が、成長して大人になってから、自分を監禁していた人物を見つけたと思い、その家族を皆殺しにします。
ここまでが序盤。
彼女の唯一の友達である女性が連絡を受けて現場にいきます。死体を見てのショックや、本当にこのひとたちが監禁事件の犯人なのかという疑いが生じます。
その他のやりとりを含めて前半終了。
後半は、なぜ監禁されていたのか、理由がわかります。
それは、聖人を作りだす試み。……まじキチです。
多かれ少なかれ、聖人とは、こういう狂気だし、それは宗教でなくても同じ。ヒーローとかね。アイドルもかな。
みごたえある映画です。
奇貨です。
宗教に対して皮肉をいうことさえ飽きてしまったらどうぞ。
(あ、そのころにはもう必要ないかな)。
ホラー目当てだと、だめだと思います。
2011年9月 6日
『インセプション』
他人の夢の中に入って秘密を盗むことで金を稼いでいる男が、秘密を盗むのではなく、特定の意識を植え付ける仕事を依頼されます。
夢の中でさらに夢をみる、さらに、その中に入る――夢からさめて、個々は現実、かと思ったらまだ夢だった――そんな、世界が、階層構造になっているのが特徴です。それをおもしろく使ってくれています。
ただ、こうした物語のメタ構造は、ラストで現実にもどったかと思ったら夢だった、というオチがすぐに予想されてしまう&期待されてしまうのが欠点ですが、それは、織り込み済みで結末をつけているのだと思います。
まあ、映画自体もまた夢なんだよなと思い、この思っているということもまた一つの階層の下なんだよなと思うと、結末についての思いも複雑……になりそうなんだけど、そんなことにはならないよね。意外と。
とてもおもしろいです。おすすめ。
2011年8月28日
『オーロラの彼方へ 』
父の形見の無線機をいじってみると、30年前のまだ生きているころの父親と無線がつながってしまう。主人公は、消火活動中に事故死してしまう父にメッセージを送り、その命を救おうとします。……
タイムマシーン(タイムパラドックス)ものです。
センチメンタルでハートフルに進むお話なのかなと思っていたら、あれれ? 連続殺人がからんでくる? スリルある展開にながれていきます。意外なおもしろさです。
Amazonでは評価が高く「今まで観た映画の中で最高」という方までいるほどでした。特に心にうったえるものがあったのでしょう。自分としてはそこまでではないものの高得点の映画でした。
なお、現在は中古のDVDしか出まわっていないようです。
監督: グレゴリー・ホブリット
出演: ジェームズ・カヴィーゼル、デニス・クエイド ほか
2011年8月18日
『シャッターアイランド』
孤島に隔離された精神病院に、連邦保安官のテディ・ダニエルズは捜査のためにやってきます。完全な密室から、ある女性患者がこつぜんと姿を消したというのです。表面上は親切でもけして協力的とはいえない病院関係者たちのために捜査はなかなか進みません。ダニエルズは頭痛になやまされ、トラウマとなっている個人の過去のできごとがフラッシュバックするようになります。
物語は、ダニエルズの過去と絡んできて、そして別の側面を見せはじめます。
終盤では、ふたつの面のどちらかに転びそうで転ばないような展開も見せるのですが、最終的にはもうひとつのほうへ転んでしまいます。これは、個人的に残念。どちらなのだろうかわからないまま終わるのが好みです。しかし、原作つき
*1
でスコセッシの作品ということなので、この結末がベストでしょう。墜ちた人間がとる行動をラストにさっと描いてみせるのはスコセッシらしいと思います。
また、仕掛けが多く、2度目がとてもたのしい映画です。
2011年6月16日
『ワイヤー・イン・ザ・ブラッド 2008スペシャル』
『アナザークリムゾンの祈り(Prayer of the Bone)』
舞台は、いつものイギリスの架空の都市ブラッドフィールドではなく、アメリカのテキサスです。トニーは自分が鑑定した男について裁判で証言するためにアメリカに行きました。その男は、イギリスで未成年者への性的暴行を行いましたが、イラク戦争でPTSD(心的外傷後ストレス障害)になったためという米軍の主張により罪は問われず、本国へ送還されました。しかし男は、もどってきてすぐに自分の妻と子を殺してしまったのでした。トニーは自分の診断にもとづいて男がPTSDではないと証言をしますが、弁護側の話術にのせられ失敗。べつのアプローチで検察に協力することにします。
映像がだいぶうるさくていらいらさせられます。フラッシュバック的な映像効果を重要でないところでもやたらつかいまくるんで本当につかれます。
映像は無駄がおおくて残念なのですが、ストーリーは良いです。見ごたえのある推理ドラマになっています。
2011年6月 8日
『告白』
年度末、これで学校を辞めると宣言した教師は、自分の娘の死を語り、娘を殺した犯人であるふたりの生徒について語り始める。……
登場人物それぞれの告白によって、その登場人物とこの物語の別の側面が見えていくというタイプの映画です。告白には、ウソもあって、ウソがばらされることで物語に別種の変化がつきます。
映像は綺麗で、シュールレアの絵画のように現実的で、しかし微妙におかしい感じが物語とよく会っています。
ダーティーで茶番だらけだけど、とてもいい映画です。
復讐劇なので、例のごとく「復讐は何も生まない」と批判されることでしょう。(そんなことをわざわざいわれなくても、やっちゃいけないことだとみんな何となく知っているんだけど)。
戦争と同じで、何かを生みだすためにしてるんじゃないんだけど。(ああ、でも、何かは生まれているように見えます。まったく何も生みださないわけではありません)。
それに、加害者の人権ばかりが守られる社会なのだから、復讐者となってこちらも加害者になれば、みんなに守ってもらえます。
守らなくてはいけない大切なものがそこにあるんでしょう?
復讐にも、その始まりの行為にも。


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