2006年11月26日

ソウ3

saw3.jpg 「ソウ3」を観てきました。

 3はよいとの評判を聞いていたのですが、2作目を観ていなかったので、どうしようかと、ほかのまだ観ていない映画と見比べながら、売り場前で迷いました。R-15指定がかかっているし、この映画のほうが先に上映期間が終わってしまうだろうからというのが、この映画を選んだ理由です。

 出だしはよくわからないうちに始まります。1でみた"ゲーム"がいきなり始まっています。この"ゲーム"が「ソウ」シリーズの特徴のひとつとなっています。苦痛を伴った試練を乗りこえると生きのこることができる死のゲームです。

 ストーリーは練りこまれ、犯人"ジグソウ"が仕組んだ意外な結末へと導かれます。これがシリーズのもうひとつの特徴です。先読みができても、そこにピシッとはまるのがまた快感なので、マニアさんにもうけています。

 人物設定は、あるていど映画が進むとエピソードシーンが挿入されているので、これまでのシリーズを観ていなくてもなんとかなります。
 新しい会社に入ってそこの人間関係を把握しながらる仕事をするような感覚です。
 映画などの創作物は人間に役割と意味を強くあたえているので、現実生活よりも簡単に推測がつきます。現実での人間の役割や意味は表面的で型押ししてつくったようなものにすぎませんが、創作ではそれは本質的なものだからです。

 人体を切ったりつぶしたりする表現が露骨にでてくるので、それが大丈夫ならば、非常にできのよいミステリーとしておすすめします。
 ためしに「ソウ」の1作目をレンタルして観るのがいいかもしれません。

2006年11月21日

蜘蛛の瞳

Amazon.co.jp: 蜘蛛の瞳: DVD: 黒沢清,哀川翔,ダンカン,大杉漣,菅田俊,寺島進 「蛇の道」にでていた哀川翔演じる新島が本編の主人公です。新島は娘を殺した犯人捜しをまだつづけていましたが、めぼしい人物はすべてあたりつくし、行き場がなくなっていました。惰性でむなしく生きているだけになりつつある新島に、昔の友人、岩松が声をかけてきました。貿易会社を経営していて、いい人材をさがしていたのだと、新島を仕事に誘います。新島はそれにのりますが仕事は退屈ですぐにやめることにします。岩松は、新島が必要なのだとまた誘いにきます。そして、自分の仕事の本当の部分を新島に明かします。それは、殺しのビジネスでした。

 岩松に仕事を持ち込んでいるマフィア的な政治結社の幹部に大杉漣。そして結社のトップには菅田俊。大杉漣は右翼っぽい神懸かり的なところがちょっとあるクールなキャラ。菅田俊は化石掘りが趣味で素朴な田舎オヤジっぽさをみせますが要所要所の口調が完全な命令形で恐ろしさを感じさせるキャラを演じています。ひじょうによいです。

 印象的な映像がいくつかあらわれ、なにやら、ふつうじゃないです。娘の幻影のような、その後の黒沢作品の幽霊ものにつながるような映像もでてきます。

 戦場のノイローゼというのがこんな感じなのか、殺しの現場では機械的でありながらも生きているんだけど、それが終わると落ち込んでいく、闇がつづいていくようすが描かれていきます。

 仮に、娘を殺した犯人が確定して殺せたとしても、すべてが元通りになるわけでもないから、無駄なんだよね。だからといって、許すのもばかばかしい、この悲惨な現状がさらに暗闇に変わるだけ。どうにもなりません。

"蜘蛛の瞳"
監督 黒沢清
出演 哀川翔、ダンカン、阿部サダヲ、梶原聡、佐倉萌、大杉漣、菅田俊 ほか
 - 円
Amazonアソシエイト

2006年11月19日

プラダを着た悪魔

 きのう、「プラダを着た悪魔」を観てきました。

 ジャーナリストになる足がかりとしてまずファッション誌トップの「RUNWAY」の秘書になったアンディ(アン・ハサウェイ)。それは伝説的編集長ミランダ(メリル・ストリープ)の独善的な仕打ちに耐えなければならぬ地獄のポストだった。——そんなふうに始まる、ファッション業界の内幕を描いた映画です。

 映画全体にわたるストーリーは、犠牲になっていく私生活なのですが、映画のおもしろみは編集長ミランダがもたらす"問題"。演じるメリル・ストリープが、小林幸子と美輪明宏を足したような風貌の強烈なキャラにみごとになりきっています。奇妙なほどの執着など、クセの作り方がうまいです。終盤、アンディにちょっとだけ打ち明けてみせる弱い部分の演技がまたよくて、ずっとファンだったひとはあらためて魅力に感心するはずです。

 ストーリー的にはもっとスリリングにでもできたと思うのですが(終盤で展開するエピソードを全体に絡めるとかして)、それはやらずに、筋はあっさりめです。そのため、観ているときはおもしろかったのに、終わってからの印象がかなり弱くなっています。"ミランダ問題"だけで充分たのしめるので、必要ないと判断したのでしょうか?

 脇を固めるスタンリー・トゥッチがいい味をだしていて好きです。ハゲのメガネのおしゃれさんのあのキャラです。アンディのいい相談相手であり、ださださのアンディをきれいにするアドバイザーにもなっています。

 ふしぎに思ったのは、映画のサントラに、オープニング曲でもあり、予告篇にもつかわれていたケイティー・タンストールの「Suddenly I See」が入っていないこと。最近はこうなのか昔からこうなのかわかりませんが、「マイアミバイス」もLinkin Park&Jay-Zの「Numb-Encore」が入ってませんでした。ビジネス上の事情か、CDは先行してでているようなので急遽使われることになったせいなのかわかりませんが、ファンをないがしろにしている感じがあります。

2006年11月12日

7月24日通りのクリスマス

 「7月24日通りのクリスマス」をみました。

 恋でも仕事でもきらびやかでお姫さまのような生活を送れる"むこう側"のひとと裏方さんになってそれをうらやましくながめているぐらいしかできない"こちら側"のひと。自分はこちら側だと思っているOLの小百合(中谷美紀)はそれでもすてきな恋も王子さまの登場もあきらめてはおらず、空想の中でいろいろ夢見ている、ひとりっきりが長い女の子。ずっと想いつづけてきた自分の中の王子さまランキング397週ナンバー1の奥田聡史(大沢たかお)が帰郷し、OB会で再会。なぜだか、なぜだか、運命のいたずらか、ふたりは急接近していくのです。

 長崎が舞台となります。主人公、小百合が子どもの頃からずっと好きだった、いがらしゆみこのマンガ「アモーレ・アモーレ」の物語の舞台となっているリスボンに、この街が似ていると思っているので、風景がときどきリスボンに見えます。実際のリスボンでロケをしているのですが、だからってそれ以上のことはなく、贅沢なお飾りです。でも、やるからには本物の画をつかうだけの根性みせないとだめですよね。

 あこがれの王子さまと、さえない女の子の恋はうまくいきすぎて、先行きの不安感がどんどん高まっていきます。それとダブらせて、主人公の弟(阿部力)がミスター長崎大学のかっこいい男なんですが、彼がこんどつれてくる女の子が主人公と同じタイプのさえない子(上野樹里)で、主人公の恋の行方だけでは語りつくせないことをこちらで描きます。

 主人公のいつもそばにいる男性を佐藤隆太が熱演。また、主人公の父親の恋人役をYOUさんが演じています。YOUさんはたしか大沢たかおのファンだったから、すっごいうれしかったんじゃないでしょうか。

 コメディタッチでなかなかおもしろい映画でした。

2006年11月 4日

蛇の道

Amazon.co.jp: 蛇の道: DVD: 黒沢清,哀川翔,香川照之,下元史朗,柳ユーレイ 宮下(香川照之)は、たまたま知り合った新島(哀川翔)といっしょに、男を拉致し、町の廃工場へ監禁した。鎖で壁につないだ男の前にテレビを持っていき、ビデオをみせる。画面には女の子が公園でたのしそうに遊んでいる場面が映しだされている。宮下は男にいった。「俺の娘だ。殺された」。そして娘の検視報告を読みあげていった。「おまえが殺したんだな?」「おれじゃねえよ」何度目かの応答の後、男はべつの男の名を口にした。その男が知っているはず、と。新島と宮下はその男を捕らえにいった。

 そうしているうちに、宮下と、つかまえた男たちの関係があきらかになっていきます。 誰が女の子を殺したのか、なにが行われたのか、なぜ新島は宮下を助けるのか、その謎でストーリーをひっぱっていきます。

 神経症的で、おもわせぶりな映像が随所にでてきて、刺激をあたえてくれます。

 やはり黒沢清監督の作品はストーリー性が強い方がいいですね。ストーリー性が弱いと、個々の場面が関連しないで、映像がきれいなだけの散漫な映画になってしまいます。

"蛇の道"
監督 黒沢清、脚本 高橋洋
出演 哀川翔、香川照之、柳ユーレイ、下元史朗、翁華栄 ほか
- 円
Amazonアソシエイト

ナチョ・リブレ 覆面の神様

 「ナチョ・リブレ 覆面の神様」をみてきました。

 修道院で孤児として育ったイグナシオは大人になり給仕係として働いていた。修道士にばかにされる生活にいやになり、小さい頃から好きだったルチャリブレ(プロレス)のルチャドール(レスラー)になることを決意します。

 お調子者で、トホホな失敗をくりかえす、だけど熱い魂だけは誰にも負けないイグナシオを、「スクール・オブ・ロック」や「キング・コング」でおなじみのジャック・ブラックが演じています。ジャック・ブラックの個性まる出しの、ちょっとクドいけれども憎めない、かわいらしいキャラになっています。

 修道院に新しく先生として赴任してくるシスターにメキシコっぽいきれいな顔立ちのアナ・デ・ラ・レグエラさん。典型的な清純派、ちょっぴり強気なところもある、いいマドンナ役を演じています。

 イグナシオの相棒としてリングにあがるやせっぽちのレスラーにヘクター・ヒメネス。いい相方をつとめます。

 忘れてはならないのが、イグナシオを応援する、ふとっちょの男の子。いい味をだしていて、ジャック・ブラックよりも大人の雰囲気があるのも面白いところ。

 シンプルなストーリーですが、細部にアイデアがつまっていて飽きさせません。構成もまた巧みです。盛りあがりの上下の波は完璧です。プロレスシーンのできばえもすばらしく、相手役がプロなのでしょう、スピード感あふれる見ごたえたっぷりの試合を展開します。

 ボリュームとしては小品ではありますが、なかなかよいですよ、これは。