2006年12月24日

007 カジノ・ロワイヤル

 「007 カジノ・ロワイヤル」を観てきました。

 "寅さん"もそうですが"007"も子どものころ退屈で観ていられない映画でした。外人のおとながすましてくっちゃべってるシーンしか印象にのこっていません。こういった先入観があったので、いままで映画館に観に行ったことも、映画情報をのぞくこともしてきていませんでした。

 今回観に行くことにしたのは、タランティーノがらみのゴシップを事前にきいていたからです。カフェかどこかで映画関係者が歓談、そこに007のプロデューサーとタランティーノがいて、次回の007はどうするかっていう話になったときタランティーノは"カジノ・ロワイヤル"をやるのはどう? いいアイデアがあるんだよといい、おおそりゃいいかもとひとしきり盛りあがり、タランティーノはこれがモノになったら監督やらしてもらえるかもなと思っていたら、ぜんぜん声すらかけられず、あれはもともと俺のアイデアだぜとしばらくプンプンだったそうです。
 それがどんなものになったんだろうと興味がでたので今回初体験の007です。

 とにかくアクションはすごいです。すごい映像をみせてくれます。アクションが映画の王道だとよくいわれますがこういうことかと思いました。

 ストーリーも、ユーモアのテイストがたっぷりとあるんだけど、一瞬先は死のサスペンス、味方がじつは敵?のスパイ物ならではの展開。おなかいっぱいにさせてもらます。(自分としては、その展開ならこいつがぜったい怪しいじゃないというのがしっかり敵につながっていたというところまでストーリーがのびていったのに満足しました)。

 主役のダニエル・クレイグは前にみたときは野暮ったいなーという感じだったのにすっかり精悍でクールになっていました。後半に相棒になるエヴァ・グリーンは細いのにおっぱいが大きかったです。(って、おっぱいで終わるのね、この感想)。

2006年12月17日

エラゴン 遺志を継ぐ者

 「エラゴン 遺志を継ぐ者」をみてきました。

 ドラゴンとの感応で魔法さえも操れるようになるという強大な力をもつドラゴンライダーはかつては世界の平和のために活躍していました。しかし、そのなかに私利私欲のためにその力を使うものがあらわれ、ほかのドラゴンライダーたちを倒して、世界を支配する王になりました。
 いったん、滅びたかにみえたドラゴンライダーでしたが、ひとりの青年が竜の卵を得て、生まれたドラゴンと感応をかわし、新たにドラゴンライダーが誕生します。王は手下の魔術師に青年の命を奪うよう命令します。

 ファンタジーは、もうすっかり食い倒れ、食傷気味でしたが、予想よりもずっとよくって、いい拾いものでした。

 ストーリーはめんどくさくならないていどにうまく厚みをましおもしろくなっていきます。
 ただし、エピソードのつなぎに、話しを進ませるためだけの、だいぶ、ご都合主義的な場面があって、それがもったいないと思いました。
 映画の冒頭で大事なものを運んでいた娘はすぐ居場所をつきとめられてしまったのに、若きドラゴンライダーはなかなか敵に追っ手に見つかりません。これなどは、反乱分子と接触するだろうから、わざと泳がしているということに最初からしておけばいいのに、それをしないんですよね。もったいない。もしくは、追いつ追われつで緊迫したストーリーにしておけば、説明っぽかったり、青年のドラゴンライダーとしての成長が早すぎたりしても、ストーリーの速い流れに急かされて不自然さが緩和されるのに、そういうこともしない。ほんと、もったいないんですよ。

 映像は凝っていて、迫力満点です。ドラゴンが縦横無尽に飛びまわります。魔法でつくられた敵キャラが、きもかっこよくて、これもGoodです。

2006年12月10日

硫黄島からの手紙

 「硫黄島からの手紙」を観てきました。

 南の海の孤島で、アメリカ軍に完全に包囲され、圧倒的に不利な状況で戦った日本軍の兵士たちの生きるようすを描いています。

 「父親たちの星条旗」と同じく、戦争の表と裏を組みあわせたストーリーになっています。
 史実に基づいていますが、実在の人物(栗林中将、バロン西)もだいぶ脚色もされています(史実については→「硫黄島探訪」)。

 日本軍にあったと思われる特徴をうまくストーリーにちりばめます。
 たとえば、陸軍と海軍の対立。映画では序盤、司令官として赴任してきた栗林中将が、こんな小さな戦場でも別個に防衛準備をしていた両軍をいっしょに活動させようとする場面になってでてきます。
 それから、バンザイ突撃。これは戦い方としてはよくないことは当時からも知られていたようです。映画でも行き詰まった兵隊がむやみにおこなって生きのこりの兵をかえって危機に陥れる場面で使われています。
 そして、自決。ストーリー後半は、防衛拠点が壊滅、自決していく仲間たちから逃れていくふたりの兵士から始まっていきます。ひとりは、戦争なんてもともとイヤだったし、現状も絶望的、とりあえず命令にはしたがってはいるが……という感じ。二宮和也が演じています。奥さんもいて戦地にきてしまったのでまだ姿は見ていないけれども子どももいるという設定なのですが、童顔なのでちょっと違和感があります。もうひとりは憲兵隊あがりでガチガチに精神論を叩き込まれていますが、理不尽なことには従えないという、純朴な青年です。彼は、加瀬亮が演じています。

 精神論と合理主義の対立として、硫黄島防衛隊の指揮官たちと新しく赴任してきた栗林中将(渡辺謙)との意見の対立が映画の中で描かれます。彼は、合理主義者としてだけではなく、アメリカとカナダに赴任していた経験があり、親米派です。欧米の観客からみても親しみやすく、理解しやすく、そして、日本から見てもこういう軍人もいたのだと教師に教えられてきたものとは違う視点に立つことができるので、今、大東亜戦争・太平洋戦争を描くのに本当にいい人物だと思います。

 それから、二宮くん演じる西郷の友だちのヒゲはやしてにこやかなひとがすごくよかったんだけど、誰なんでしょう。うーん、パンフレット買っておくべきでした。

2006年12月 3日

武士の一分

 「武士の一分」を観てきました。

 子どものころ、「男はつらいよ」シリーズが苦手で5分ともたなかったので、山田洋次監督の映画はずっと敬遠してきたのですが、初トライしてみました。

 いやー、よかったです。

 まずは、カメラ位置が不必要に高くなくて好感を持てたのがよかった。いらない苦手意識が薄れました。最近はなんでもかんでも上から撮るんで、居心地悪いったらありゃしないんですが、この映画は違います。

 それから、せりふまわしがいいですね。木村拓哉演じる三村新之丞は冗談が好きで、奥さん・加代(壇れい)とのやりとりがおもしろんいんです。徳平(笹野高史)という三村家の雑役をするおじいさんがまたたのしいひとで笑いがたえません。

 毒味役であった新之丞はある日、毒にあたって倒れます。高熱からは回復するものの視力が失われました。
 不安な生活がつづき、やがて暗雲が垂れこめます。

 剣に関する部分は、藤沢周平作品らしい、凄味があります。自分は小説はまだ読んだことがなく、だいぶまえあったラジオドラマのシリーズしかしらないんですが、剣の部分はすごいですよね。単純だけれども強烈に鬼気迫る。それがこの映画にもありました。

2006年12月 2日

軽蔑

Amazon.co.jp: 軽蔑(デジタルニューマスター版): DVD: アルベルト・モラヴィア,ジャン=リュック・ゴダール,ミシェル・ピコリ,ジョルジュ・ドルリュー,フリッツ・ラング,ラウル・クタール,ジャック・パランス,ブリジッド・バルドー 「メトロポリス」「M」などで知られる映画監督フリッツ・ラングが制作中の「オデュッセイア」の脚本の書きなおしの仕事の依頼を受けたポールは愛する妻カミーユとともにローマ郊外にある映画撮影所チネチッタへとおもむく。ポールは、アメリカ人のプロデューサー・プロコシュとの会合中、妻のとの関係がぎくしゃくし始めたことに気づく。「映画とつきあい始めてから、あなたは変わってしまった」。べたべたに熱愛していた夫婦が、急激にうまくいかなくなる瞬間を描いています。

 ゴダールは良くも悪くもオタクなので、さまざまな映画や古典文学などいろいろな知識を引用して映画を組み立てていきます。
 オデュッセイアをテーマとした映画に関わっているので、オデュッセウスとその妻ペネロペ(Wikipedia:ペネロペ)の話題は、ポールとカミーユの関係に対比されます。そして、当時のギリシアの精神と現代の精神の違いも言及されます。
 映画撮影所では貼られている映画のポスターが意味深長なメッセージを送ります。

 また映画製作そのものへの皮肉もこめられいます。この中にでてくるプロデューサーは、むずかしいのは大衆は好まない、作品にもっと裸を入れろ、などと注文をつけますが、この「軽蔑」自身も、裸を入れろと注文を受け、ベッドに寝そべったバルドーの裸体のショットが後から挿入されています。

 こういったトッピングがほどこされているので、マニアのひとの衒学的な好みにも応えているし、映画自身は実は込み入ったものではなくてシンプルにストーリーが流れていくので元ネタがわからなくても充分たのしんでいけます。恋愛の映画なんですよ。もう単純に、ポールが妻カミーユに嫌われるのは当然なんですよね。プロデューサーがカミーユに気があるのでご機嫌とりのように、まるで枕営業でもしろといっているかのような態度をとるし、自分の仕事なのに君が決めろよと責任逃れのようなことまでいいだす始末。なさけないんです。

 映像は美しく、とくに色彩のセンスがすぐれています。
 演劇的な、一瞬にして切り替わる場面転換が効果的に使われています。
 ゴダールのすぐれているところは、ありのまま、ということにこだわらないところでしょう。ゴダールの若いころは、自然主義やリアリズムが主流だったようですから、その表現はとても革新的でヒップホップ的なヒーローであったように思われます。

 それから、映画の中にゴダール自身もでています。映画のクルーの中に、ねずみ色のジャケットと帽子と赤いシャツで、ちょこちょこと目障りに動きまわる、ひょろっとした男がいます。彼がゴダールです。

 この映画はゴダールの最高傑作ではありませんが、自分はいちばん繰り返し観ていて、またなんどでも観たい映画です。

"軽蔑"
監督 ジャン=リュック・ゴダール
出演 ブリジッド・バルドー、ミシェル・ピコリ、ジャック・パランス、フリッツ・ラング ほか
2625円
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