2007年3月29日

ホリデイ

stub-holiday.jpg 都合のいい女になっていたのは充分わかっていたけれど、それでも男のことを信じていたアイリス(ケイト・ウィンスレット)は、クリスマス直前、とどめとばかりに彼が別の女と結婚することを聞かされ、絶望のどん底に突き落とされます。時を同じくして、アマンダ(キャメロン・ディアス)は、浮気をした旦那にぶち切れていました。いやな気分を吹き飛ばしたいアマンダはここじゃないどこか遠くで年末の休暇をすごそうと思い、ホーム・エクスチェンジ----お互いに家を貸しあって旅の宿泊先にするシステムを利用、アイリスの家を見つけました。そこでの新しい出会いを描いたラブ・ストーリーです。

 最初の方は、ふつう、って感じなんですが、中盤からものすごくおもしろくなっていきます。恋愛がうまくいかなくてちょっと屈折した登場人物ですから、恋はしたいけどしたくない、やっぱり同じように失敗して傷つくのはわかっているとあきらめ半分なんですね。ぎくしゃくとしたところがよいスパイスになっています。
 笑いのシーンもたっぷりあり、新しい出会いのドラマがまたうまく、たっぷり盛りあげてくれます。かなりおすすめできる映画です。

 ケイト・ウィンスレットがすごく好きになりました。いいですねー。「タイタニック」のヒロインを演じたひとです。それは見ていないんですが、「エターナル・サンシャイン」という映画で、うわ、と思い、今回もすっかり魅了されてしまいました。(「エターナル・サンシャイン」については、ここここに書いています)。

2007年3月18日

デジャヴ

 フェリーの爆破テロを調査することになったATF(アルコールたばこ火器取締局)の捜査官ダグ(デイゼル・ワシントン)は、川岸に打ち上げられた死体のうち、事件の2時間前に殺されていた女性がいることを知ります。クレアというこの女性(ポーラ・パットン)が事件を解くの鍵となることを直感したダグは調べ初めてすぐに、それ以上のなにか不思議な因縁を彼女に感じます。FBIを中心とする事件の同捜査本部に呼ばれたダグは、政府の秘密機関の装置にアクセスすることが許されます。それは過去の映像を映しだす装置でした。そこに映しだされるクレア。ダグは死んでしまったクレアを助けることができるのでしょうか。

 この過去の映像をうつしだす装置が、ストーリーをうごかしていきます。映像はちょうど4日と6時間前のもの。どんなアングルも可能。家の中まで入っていけます。ただし、巻き戻しは効かず、一回だけしか見られません。見られる範囲は決まっていて、それ以上は、別の装置をそこまで持っていかなければいけません。
 この映像は、複数の人工衛星からの各種データをコンピュータで再構成したものだということ。再構成に4日と6時間かかり、巻き戻しがきかないのは、映像をぜんぶ保存しておくだけの記録媒体がないからだそうです。いま見ている分だけは別途、録画することができます。
 ちょっと無理矢理な設定ですが、この装置はじつは、というもうひとつの設定があります。装置の本当の正体がわかってから、本格的にストーリーが回りはじめるのです。

 設定を二段置くというのはストーリーテリングの技術です。本当の設定を受け入れてもらうために、ニセの設定をあらかじめ用意しておきます。推理小説で、真相があきらかになる前に、いくつもべつの推理が語られるのとおなじです。ちょっと無理だなーと思うところを納得させる別の説明をだして、本当に納得させたい説明をスムーズに受け入れてもらえるようにするんですね。

 さて、この映画の監督のトニー・スコットは、オシャレ映像が特徴なのですが、もうひとつ重要な特徴があって、それは映画全体の緊迫感です。張りつめた糸を途切れさせません。この映画でも、その緊迫感が生かされています。単純なストーリーだとその緊迫感が勇み足になってずっこけた印象をあたえることもあるんですが、今回はやや複雑な筋立てとちょいと屈折したラストによってバランスがとれています。

2007年3月 4日

パフューム ある人殺しの物語

 すぐれた嗅覚をもって生まれてきたお兄さんが、自分の大好きな匂いのためにどんなことでもやっていく映画です。
 おしゃれ映画だと思って見にいって、主人公の異様さに気分が悪くなったひともいたのではないかと思います。
 特別に怖かったり、目を背けたくなるようなグロテスクな場面はほとんどありませんが、「うわ、このひと、やばい」と気づいたときにわきあがる恐怖心を何度も感じさせられました。

 映像は、匂いの描写というよりは、視覚的にフェティッシュなものです。臭いそうなものを至近距離で見せてくれますが、だからといって臭う気分にはさせられませんでした。しかし、それが臭いの演出だと思わなければ、かなりたのしめるんですね。アダルトビデオとはちがうヌードはすばらしく官能的です。通常のセックスとはちがう部分をくすぐられます。

 ラスト近く、この映画のクライマックスに、広場にいる無数の人たちがくんずほぐれつするするシーンがあります。大袈裟で、とってつけたような場面だなと思っていたのですが、あとで雑誌のレビュー記事を読んだら、この場面があってこそ、この場面のために作られた映画と書いてありました。でも、自分は、このシーンより、ここにいたるまでの話のほうがはるかにおもしろかったです。