ワイヤー・イン・ザ・ブラッド サードシーズン
ほっそりやさ男の犯罪心理学者トニー・ヒルと、刑事課の強気なリーダー、キャロル・ジョーダンを主人公とする犯罪捜査ドラマシリーズです。
現代的な異常犯罪をしっかりとした推理ドラマの手法で描き、みごたえある作品に仕上げています。
『シークレット・ガーデン(Redemption)』
映像がかなり洗練されました。セカンドシーズンあたりだとカメラワークに凝ろうとしてるのはわかるんだけ、犯人視点や演出としてのアングルなどが整理されず乱雑につかわれていて、さわがしいばかりだったものが、きれいで、見て楽しめるものへと変わりました。
今回は、少年を狙った連続殺人事件です。鎮静剤を過剰に吸わせて安楽死させられた少年の遺体が展示でもされているかのように配置された状態で見つかります。被害者がひとりふたりと増えていくと、被害者に親から虐待されていた事実があきらかになります。やがては、この犯行が数年前に行方不明になったべつの少年たちと深く関わりがあることもわかってきます。
事実がひとつずつあきらかになっていくごとに、殺人者の心の闇に近づいていき、緊迫の度合いを増していきます。そしてストーリーも、犯人を罠にかけるスリリングなラストへと向かいます。
『バッド・シード(Bad Seed)』
前回、映像が良くなったと思ったけど、今回は、あれ? と思う場面がちょっとありました。一番目だったところでは、トニーが立ち去るラスト近くのシーン。やりすぎです。アクションヒーローじゃあるまいし、大げさで、いいところなのに興ざめです。
ストーリー的には、犯人となる人物が終盤に突然出てくるタイプで、推理物としては破綻していますが、犯人の人物像はそこまでの話でたっぷりと語られているので、ドラマとしての問題はありません。
そのお話ですが、元・殺人鬼が精神治療を受けて出所、本を書き、さらには心理学の学位を求めてトニーの元にやってきます。トニーはいま関わっている殺人事件の手口が、その男のやり方を真似ていることに気づきます。
『9 P.M.(Nothing but the night)』
原題とおなじ題名の映画(日本では『デビル・ナイト』というタイトル)がありますが、どうやら関係はなさそう(参考リング→アマゾン、紹介ブログ、さるさる日記)。
ひとりぐらしを狙った凶暴で残虐な殺人事件が続きます。トニーは犯人が同一であると見ますが、まるで別人のように犯行の特徴が違っていることに困惑します。そうしているうちにつぎの事件が起こります。被害者は若い男性、池の岸辺で完全にバラバラにされていました。
トニーは、犯人はふたりいて、互いに妄想で刺激しあった結果が、犯行の非同一につながっているのではないかと予想します。視聴者が見ている映像には犯人が映しだされます。若い男女です。男性は高圧的で、女性に日常的に暴力をふるっているようです。
ここから、犯人まで、どうたどり着くのかが楽しみな作品になっています。犯人像は見る側にはわかっているはずなのに、さらにもうひと展開させて、われわれを存分に楽しませてくれます。
このメインの事件とはべつにトニーにストーカー的な女性が迫ってきます。飛行機で隣りあってちょっと会話を交わしただけだったのに、行動はどんどんエスカレートしていって、自分がトニーの妻であると考えるようになります。そして、キャロルの存在をかぎつけ、彼女の排除へと乗りだします。こちらはシンプルなストーリーですが、ラストまでとても怖いものになっています。
『シンクロニシティ.(Synchronicity)』
ドラマ冒頭の事件で犯人になぐられてしまったトニーは病院の検査で脳に腫瘍が見つかります。言い間違えをしたり、怒りっぽくなったり、症状は急速に悪化していきます。最悪のコンディションのなか、連続狙撃事件の犯人を追いかけます。
この連続狙撃事件、被害者の共通点をたどっていっても犯人にはたどり着きません。犯行現場に残されたトランプのカードから、どうやらは犯人はカードを引いて狙撃対象を選んでいるらしいとわかります。ランダムなんです。いつか犯人がミスをして逮捕につながることは予想できますが、それを待っていては被害者が一方的に増えるばかりです。推理して、先回りしなくてはいけません。
最後には、トニーは現場を予想して、犯人を追いつめることができるんですが、これが最初、なぜなのかがわからないんですよね。そこで、よく見なおして考えてみると、一見、完全なランダムで被害者が選ばれているように思えても、カードをどう解釈するかで犯人はしぼられてくるわけです(トニーもそのようなことをいっています)。複雑に見えて、これは意外に単純な事件でした。あまり書きすぎるとネタバレにもほどがあるのですが、理解のためにあとひとつだけ、――最後の事件の現場は最初の狙撃事件の現場と同じ場所です。
ところで、ドラマ冒頭の事件は、ドラマ全体と関連性があるのでしょうか? ほんとうに無関係の事件なんでしょうか? ふつうだと暗示的な仕掛けを凝らしますよね。うーん、自分にはそうだともちがうとも判断がつかないんです(TωT) ウゥ・・・
参考リンク
→「Nice to meet you!」サイト内ワイヤー・イン・ザ・ブラッドのレビュー
→Wire in the Blood - 英語版Wikipedia


