2011年9月30日

『息もできない』

息もできない [DVD]  借金のとりたてをしてくらしているチンピラと、口の悪い女子高生の淡い交流を描いた物語です。
 チンピラさんは幼少期のできごとが払拭できず、破壊的、破滅的な性格になっています。女子高生は、家族に罵声を浴びせられたり、ののしりあったりしてきたので、なにも気にしないわよとタフをよそおって強く生きようとしているタイプ。ふたりはののしりあうことで、互いを評価し、不器用に友情を深めていきます。

 日々のできごとに苦しみながらもなんとかいいこともありそうな状況になってきたところで、事件が起こります。

 立ちつくす女子高生が一瞬で多くを悟るラストがみごとで、この映画の格をあげています。

"息もできない"
監督: ヤン・イクチュン
出演: ヤン・イクチュン、キム・コッピ、チョン・マンシク ほか
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『ギャング・オブ・ニューヨーク』

ギャング・オブ・ニューヨーク【Blu-ray】  ギャングといってもマフィアのようではなくて、山賊とか海賊をみているような格好ででてきます。
 まだ南北戦争をしているころ、創世記のアメリカ。移民がたどり着く港町、ニューヨークのうまれたての物語です。
 物語といっても、ストーリーっぽいストーリーはなく、状況があるだけ。父親をころされた男が大きくなってその親の敵の手下になっている、という状況。
 想像するようなできごとが起こりますが、想像したような結末は、ややだらしなく、かっこ悪く、訪れます。
 もう、そういう時代ではないのかもしれない、……とも思うですが、この時代以後もギャングはたくさん生まれるし、ギャング映画も山ほどあるんですよね。決闘とかそいうことがじゃまされてできなくなってしまった時代になったということなのでしょう。
 やはりスコセッシ映画の主人公はかっこ悪く結末を迎えるのでした(それを恐れると映画にでてくるサブキャラたちのようになってしまうという)。

"ギャング・オブ・ニューヨーク"
監督: マーティン・スコセッシ
出演: レオナルド・ディカプリオ、ダニエル・デイ=ルイス、キャメロン・ディアス ほか
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『ワールド・オブ・ライズ』

ワールド・オブ・ライズ [Blu-ray]  アラブ諸国で現地にもぐって活動するCIA工作員を主人公としたサスペンス映画です。

 ディカプリオ演じる工作員にたいして、本国から指示を送る上司がいるのですが、その上司は全編にわたってかかわってくるのですが、どんな事件にも巻き込まれないまま映画が終わってしまうのに、物足りなさを感じました。
 なんかおなかいっぱいにならんのです。

 安全なところにいる彼、もまた映画のテーマのひとつなんでしょうが、でも、そういうふうに描いていないので不満なのです。
 これだったら、工作員を死なせてしまう結末にでもしなければ……。
 残された上司は、なにもいわなくても、もしくはすぐに忘れてしまってべつの工作員に指示を送るでも、その演出がなんであっても、形はついたと思います。

"ワールド・オブ・ライズ"
監督: リドリー・スコット
出演: レオナルド・ディカプリオ、ラッセル・クロウ、マーク・ストロング ほか
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2011年9月16日

『そして、ひと粒のひかり』

そして、ひと粒のひかり [DVD]  コロンビアの田舎町の農園で、花束をつくる仕事をしている17歳の女の子が主人公です。
 彼氏にも不満、この生活にも不満。工場の主任にたてついて仕事もやめてしまいます。
 彼女は、麻薬を飲み込んでアメリカまで運ぶ仕事を紹介され、それをうけることにしました。
 でも、行って帰って、何も問題ありませんでいた、というわけにはいきませんでした。……

 ふつうの女の子が麻薬の運び屋になっている話と、女の子が故郷を離れる話が、ひとつになっています。
 尖りすぎず、かといって、それほど甘くもない。

 コロンビアのふつうの女の子の青春映画を撮ろうとすると、麻薬の運び屋の話にもなってしまうという凄さ。
 おとなしい日常のなかにあるできごとだからそこ恐ろしいのだと気づかせてくれます。
 巧みな手さばきです。

"そして、ひと粒のひかり" (原題: Maria Full of Grace)
監督: ジョシュア・マーストン
出演: カタリーナ・サンディノ・モレノ、ギリエド・ロペス、イェニー・パオラ・ベガ ほか
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2011年9月 9日

『マーターズ』

マーターズ [DVD]  ネタバレありです。
 また、ネタバレ無しだと、なんの話もできない映画なので、ネタバレされたくなければネットを検索してはいけません

 何者かに監禁され暴力のかぎりをうけていた少女が、成長して大人になってから、自分を監禁していた人物を見つけたと思い、その家族を皆殺しにします。
 ここまでが序盤。

 彼女の唯一の友達である女性が連絡を受けて現場にいきます。死体を見てのショックや、本当にこのひとたちが監禁事件の犯人なのかという疑いが生じます。
 その他のやりとりを含めて前半終了。

 後半は、なぜ監禁されていたのか、理由がわかります。
 それは、聖人を作りだす試み。……まじキチです。
 多かれ少なかれ、聖人とは、こういう狂気だし、それは宗教でなくても同じ。ヒーローとかね。アイドルもかな。

 みごたえある映画です。
 奇貨です。
 宗教に対して皮肉をいうことさえ飽きてしまったらどうぞ。
 (あ、そのころにはもう必要ないかな)。
 ホラー目当てだと、だめだと思います。

"マーターズ"
監督: パスカル・ロジェ
出演: モルジャーナ・アラウィ、ミレーヌ・ジャンパノイ ほか
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2011年9月 6日

『インセプション』

インセプション [Blu-ray]  他人の夢の中に入って秘密を盗むことで金を稼いでいる男が、秘密を盗むのではなく、特定の意識を植え付ける仕事を依頼されます。

 夢の中でさらに夢をみる、さらに、その中に入る――夢からさめて、個々は現実、かと思ったらまだ夢だった――そんな、世界が、階層構造になっているのが特徴です。それをおもしろく使ってくれています。
 ただ、こうした物語のメタ構造は、ラストで現実にもどったかと思ったら夢だった、というオチがすぐに予想されてしまう&期待されてしまうのが欠点ですが、それは、織り込み済みで結末をつけているのだと思います。
 まあ、映画自体もまた夢なんだよなと思い、この思っているということもまた一つの階層の下なんだよなと思うと、結末についての思いも複雑……になりそうなんだけど、そんなことにはならないよね。意外と。

 とてもおもしろいです。おすすめ。

"インセプション"
監督: クリストファー・ノーラン
出演: レオナルド・ディカプリオ、マリオン・コティヤール、渡辺謙、ジョゼフ・ゴードン=レヴィット ほか
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