2004年9月26日

アイ,ロボット

アイ,ロボットを観てきました。
おもしろかったです。

ストーリーは、ロボットが家電製品としてふつうに存在する社会、ロボット工学の神さま的存在の博士が投身自殺をする。ダイイングメッセージとして残されたホログラムに呼びだされたスプーナー刑事(ウィル・スミス)は、博士の研究室にかくれていたロボットを発見、犯人だと疑う。しかし、そのロボットは企業の圧力によって回収、事件も闇に葬られる。あきらめきれないスプーナーは独自に捜査を開始、そのときからロボットに命を狙われはじめる。ロボットは、ロボット三原則の一「ロボットは人間に危害を加えてはならない」を守っており、殺人などできないはずだったのだが。

人間とロボットの違い、心とか、哲学的でむずかしくなりがちですが、てきとうなところでそれをうまくスルーして、なかなかのエンタテイメント作品にしあげています。

旧約聖書や哲学書を引用してむずかしいようなことをいってなにか匂わせるだけで終わらしてしまう今の哲学的な映画の手法は私は好きになれません。着飾っているだけ、虎の威を借る狐です。

原作者のアジモフ博士は、ロボット三原則というロボットの行動をきめる基礎となるルールをまずつくりだし、ルールにそって行動しながらなぜかそのルールを破ったような行動をするロボットがあらわれ、それはなぜなのかを推理するロボットものの短篇小説を何本も書きました。パズル的なおもしろさ、知的ロボットが陥るジレンマに興味をひかれ、十代のころ、私も読んでいました。
それは、哲学的というより、人間への洞察の鋭さが、魅力でした。ロボットが陥るジレンマは人間が陥るジレンマそのものだからです。単純な目的のために、単純な規則をつくりあげ、それで完璧にうまくいくはずなのに、現実ではさまざまな矛盾があらわれる。宗教しかり、共産主義しかり。なかなかたいへんなのです。

2004年9月20日

バイオハザード2

「バイオハザードII アポカリプス」を観てきました。
前作よりおもしろくなっていると思います。

今回は、ひとをゾンビ化させるTウィルスが地上にあふれ、事態を隠蔽するために巨大企業アンブレラ社は都市を完全閉鎖、そこから脱出する主人公たちの活躍を描いています。主人公アリス(ミラ・ジョボビッチ)は前回ラストでアンブレラ社につかまり、研究の対象として昏睡状態のままでいましたが、事件が起こった今、研究員の手によって目覚めさせられます(その理由はすぐにわかります)。

前作は主人公が記憶をなくしていてストーリーの展開のなかで自分の正体を知る、というひっぱりがありましたが、今回はそれはなく、けっこう一直線、シンプルなアクション映画になっており、それがプラスに働いたのだと思います。

免職されたばかり、アグレッシブでタフな元警官ジル・バレンタイン役のシエンナ・ギロリーが存在感をしめしています。終盤はやはり主人公の陰に隠れてしまいますが、それでもなかなかのもの。今後も活躍していってほしいです。

2004年9月19日

天国の日々

B000197HYM.09.MZZZZZZZ.jpgちょっと古い時代のアメリカが舞台。
製鉄工場で働いていたビル(リチャード・ギア)は、いいあらそいから、現場監督をころしてしまう。ビルは幼い妹リンダ(リンダ・マンズ)と恋人アビー(ブルック・アダムス)をつれてシカゴをぬけだした。ビルたちは、麦刈りの季節労働者として、みわたすかぎりの広大な農場で働きはじめる。若いが不治の病をわずらっている農場主がアビーに恋をする。ビルは恋人アビーをほかのひとには妹といっていた。ビルはアビーに余命幾ばくもない農場主と結婚することをすすめる。これで貧乏な生活からぬけだせるのだと。

映像が非常に美しい。テレンス・マリックは、スタンリー・キューブリックと同様、映像だけでも充分に見せられる映像作家です。
映像に多くを語らせるために、ドラマ面は単純で、物足りなさを感じさせます。唯一これが弱点でしょう。

ラストは、本編のストーリーとは関係がないビルの妹リンダの後日談的な、ちいさなエピソード。これに私はぐっさりやられてしまいました。このエピソードだけにでてくる人物を親友と呼び、彼女にしあわせになってもらいたいと語るリンダは、本編のナレーションもつとめています。リンダは徹底して自分の感情は語りません。ほかのひとのことを語ることをとおしてのみ自分を語っています。ラストでそれを実感させられ、深い感動となりました。

"天国の日々"
監督: テレンス・マリック
出演: リチャード・ギア, ブルック・アダムス, サム・シェパード, リンダ・マンズ ほか
価格: 2625円
Amazonアソシエイト

2004年9月12日

スウィングガールズ

おもしろかった。
女子高生がジャズバンドに夢中になるお話なんですが、それをやるきっかけからして笑えます。野球部の応援をする吹奏楽部が集団食中毒でたおれ、急遽代役が必要になるのだけれど、その事件の犯人はスウィングガールズとなる彼女たち。いいエピソードからはじまります。
笑いをとれる、おバカ場面がたっぷり。音楽のクリップ映像で瞬間の静止画なんだけどカメラはそのまわりをぐるっとうごくって映像があるじゃないですか、実際にはたくさんのカメラをまわりにおいて撮影、コンピュータの合成でまわりをまわっている映像にしあげるのですが、この映画ではあくまでもそれふう。じっと静止しているひとのまわりをカメラがまわります。。これはバラエティ番組のコントでやるパロディの感覚ですよね。
感動シーンも豊富。トランペット担当の女の子がつくるマスコットの人形が好きでした。涙がでてきたのは中盤。バンドとして形になったとき。

じっさいジャズバンドがこんなにうまくいくわけがない、と現実とくらべればそう思うけれど、映画を観ているときにはべつに不自然さは感じません。映画のなかでの音はじっさいに演技をした彼女たちが実際にだした音だそうです。それもさいしょはぜんぜん楽器ができない状態からのものです。リアリティからするとじつはそんなに問題はないんですね。あとは語り方として、なんかご都合的にうまくいってしまう場面、たとえば楽器を買うお金を手に入れる方法などは、ぽろっとうまくお金が手に入るけれど、買った楽器に問題が起こります。このように、うまくいって、つぎはうまくいかない、とバランスをとっているので、うまくいきすぎー、と感じることがないようにつくられているのもいいんだと思います。

この秋のおすすめ。ぜひ仲のいい人といっしょに。

2004年9月 9日

殺人の追憶

B0001M3XHY.09.MZZZZZZZ.jpg韓国の田舎町で女性を狙った連続殺人事件が起こった。襲われた女性たちは、後ろ手にしばられ、下着を顔にかぶせられ、絞め殺されていた。犯人はなんの証拠も残していなかった。パク刑事は、勘で犯人の当たりをつけ、相棒とともに地下の取調室で容疑者に自白を強要するが、決定的なところまではたどり着かない。ソウルから応援にきたソ刑事は、そんな昔ながらの捜査方法に納得できず、現場の状況から犯人像を絞り込む。やがて、有力な容疑者が浮かびあがってくるのだったが……

結末では、謎と、人間の深い闇に囚われるのだけれど、それとはべつの深い感動がありました。傑作です。
人間の描き方がうまく、小さなほんの短いエピソードを活用して、その人物像、他者との関係をあらわします。刑事たちがうまく描かれているからこそ味わえる感動です。

"殺人の追憶"
監督: ポン・ジュノ
出演: ソン・ガンホ, キム・サンギョン, パク・ノシク ほか
3900円
Amazonアソシエイト

2004年9月 5日

ヴァン・ヘルシング

吸血鬼ドラキュラと戦うヴァン・ヘルシングの活躍を描いたアクション映画です。

アクションははでですが、めりはりがないために損をしています。
テレビで観るほうが、あいまにはいるCMが効いてくるので、たぶんおもしろいと思います。

ドッグヴィル

B0002AP1WK.09.MZZZZZZZ.jpg山あいの小さな村にひとりの女が逃げこんできた。村にただひとりいる医者の息子で作家志望の青年は、彼女を村でかくまうことで村人の倫理観を高めることができるのではないかと考える。青年は、女に村人への奉仕活動をさせる。時をへて、それは実を結び、村に慈愛の精神がうまれるが、やがて女を利用するのは当然とする空気へと変貌する。

人間のべつの面が見えて、それを〈人間の本質〉とよぶのは、けっこうありふれています。凡庸なモチーフをつかうのは、かなり才能がないか、才能がありかつそこに果敢に挑戦するひとだけです。

この映画では、ああ、そういうことってあるよね、と思う、日常的な浅ましさ、とか、自分の心にもひそんでいるずうずうしさに似たものが登場します。
また、映画を観てこれが人間の本質だよね、と批判している観客の視点をもとりこんでいます。

結末と、そのカタルシスにすっきりとした感覚をいだくのも、〈人間の本質〉なのでしょう。
これは醜くないのでしょうか?

でも、どうにもなりませんよね。

"ドッグヴィル"
監督: ラース・フォン・トリアー
出演: ニコール・キッドマン, ポール・ベタニー ほか
Amazonアソシエイト