「SAYURI」をみてきました。
ハリウッドが送る日本を舞台とした芸者ストーリーということで、へんなせりふ・しぐさはないか、衣装がどうだ、建物はどうだ、へんな漢字の看板や掛け軸があったりしないかなど、日本をどう表現しているかは、たしかにつっこみどころなのですが、監督が「ファンタジーとしてつくった」と、逃げのせりふなのかそれとも、一生懸命やってもやはり粗はできてしまうのだから自由な発想でやっちゃえという開きなおりなのかわからないけれど、そういわれてしまうとつっこみをいれられなくなります(いれるのは無粋というもの)。ならば、そのファンタジーとして、異世界ができあがっているかどうかが問われます。
冒頭は、のちにサユリと名のることになる千代という少女が姉と一緒に売られてしまう場面からはじまります。これが不気味で、不穏な空気が漂っていて、ここでもう映画にのめりこんでしまいました。
風景は日本ではないんです。日本人がイメージする中国の町並みでしょう。でも、しっかりつくりこんであって世界が成り立っています。美しい映像に圧倒されます。
ストーリーはふたつのながれがあって、ひとつは、芸者世界の権力争い。他人の人気ががまんできない。妬みから激しい争いとなります。千代(大後寿々花)もおなじ置屋の芸者初桃(コン・リー)にのせられ、花街一の芸者豆葉(ミシェル・ヨー)の着物を汚し、大きな借金をこしらえ、芸者の道をとざされ、下働きにさせられてしまいます。度重なる自分の不運をなげいて涙をながす千代に声をかけ力づけてくれたのが会長とよばれている男(渡辺謙)。この会長に恋心をいだき、彼の暮らしていて華やかな場所にいきたいと誓うようになります。この恋の行方がふたつめのストーリーです。
恋はぜんぜんみのらなくて、芸者の方も、戦争に突入してやっていけなくなります。恋に生きたら芸者はやっていけないという先輩たちの言葉が身にしみて、そしてとどめをさされるような形をむかえ、ラストはハッピーエンドをむかえますが(つらい道筋の恋愛映画の鉄則なのでネタバレじゃありませんよ)、わたしはそこで興ざめしてしまいました。なーんだって感じで。劇中の人物、延さん(役所広司)が拗ねたときの心情がこんなものでしょうか。(すいません。壁が厚くていつもご迷惑おかけしています)。でも、そのあとにながされる映像に心をうたれました。それでハッピーエンドでよかったなーとほんとうに思って、涙がでてきました。このラストのうまさは必見です。思い出すとまたじーんと感動がよみがえります。