2006年3月29日

エターナル・サンシャイン

B0007TW7W8.09._OU09_PE0_SCMZZZZZZZ_.jpg ひどい喧嘩をしてしまった彼女とやりなおそうと会いにいくと、彼女は自分のことをまったく知らなかった。彼女は自分の記憶を消していたのだった。

 ジム・キャリー主演、恋人役には「タイタニック」でおなじみのケイト・ウィンスレットが登場。「タイタニック」はなんども奨められたんですがけっきょく観ずに終わっていたんですが、自分のおぼろげな記憶の中にある「タイタニック」のヒロインのイメージとくらべると、すっかりおばさんになっています。美人ですけどね。まあ、もう、ふたり子どものいるお母さんだそうですからしょうがありません。それに、この年齢ならではの恋の重み、痛みが感じられたので、非常によかったです。記憶を消去した彼女にいいよるのは「ロード・オブ・ザ・リング」のフロド役で有名なイライジャ・ウッド。完全な嫌われ役として登場します。「シン・シティ」でも変質的な殺人鬼としてでていたけれど、これはフロドのイメージがつかないようにしているんでしょうか。

 ストーリーは、恋人が記憶を消したのを知って、自分も記憶を消すことにします。その作業中の主人公の記憶がメインになります。思い出をふりかえるわけです。不満をいいあったり、喧嘩したりしている記憶のうちはいいのですが、いい思い出もやっぱりたくさんあります。やがて記憶を消したくなくなり、あがくようになります。

 けっこう泣けます。ぐーっと盛りあがって泣く感じではなくて、不意打ちを食らわされます。ふつうのラブ・ストーリーはみていられないひとでも、この映画には好感がもてるかもしれません。ふたりともたがいの記憶を消しますが、ふたたび出会って、惹かれあいます。ふつうだと、それでハッピーエンドにしてしまうんでしょうが、この映画はちがいます。だって"ふたりはうまくいかなかった"んですから。そんなことはなかったふりをしたハッピーエンドにはしません。それを忘れないですばらしい最後のエピソードをつくりあげます。

"エターナル・サンシャイン"
監督 ミシェル・ゴンドリー
出演 ジム・キャリー、ケイト・ウィンスレット、マーク・ラファロ、キルスティン・ダンスト、イライジャ・ウッド、トム・ウィルキンソン ほか
3990円
Amazonアソシエイト

2006年3月26日

SPIRIT

 「SPIRIT」をみてきました。

 いちばん強くなることをめざしていた武闘家が、それだけでは生きていけないことを身をもって知り、新たなスタートに立ち、祖国のプライドをかけた試合に臨みます。清朝末期の中国が物語の舞台です。

 格闘技の物語ならどんなものでもたいていの場合、強ければそれでいい……、というわけにはいかないことを主人公(かそのライバル)は悟るわけですが、このテーマはでも、またか、といわず、なんどでもくりかえす価値があると思います。自分は火の粉を払えても、自分のまわりにいるひとたちはそうはいきません。かけがいのないものを失ってからそうと気づくのがつねです。人生の寓話でもあります。

 主人公を演じるのはジェット・リー。弁髪すがた(頭の前半分を剃る)だからでしょうか、やけに丸顔に見え、いつものハンサムなイメージじゃなく、おいちゃんになった感じがしました。でもうごきは俊敏。
 九死に一生を得る主人公を介抱し、やりなおすきっかけをつかませることになる若い女性を演じるスン・リーがかわいくてよかったですね。また彼女が着る民族衣装がすごくきれいでした。
 中国人のプライドを打ち砕くための試合をお膳立てし、勝つためには汚いことも平気でやる黒幕として「ラスト・サムライ」でもおなじみ黒ひげが印象的な映画監督・評論家の原田眞人さんが登場。中村獅童さんが演じる武術家が日本人の良い面を表現します。

 また、この映画、いまの日本と中国の関係を意識しているのでしょう。メッセージが読みとれます。(って、そんなに重苦しく観る必要はないんですが)。

2006年3月19日

エミリー・ローズ

 「エミリー・ローズ」をみてきました。

 さいしょにこの映画の紹介をウェブで読んだときには、これは裁判の映画なのだなと思い、オカルトと裁判の組みあわせにおもしろみを感じていたのですが、このあいだテレビでながれていたCMだとまったくのホラーとして宣伝していて、えー、ホラーだったの? それだったらみなくてもいいかなと思っていました。
 今週はいつもいっている映画館にめぼしいものがなく、この映画をみることにしました。
 ホラーではなく、裁判の映画でした。怖いけどね。

 この映画では、大学生の女の子を悪魔払いの結果、殺してしまった神父の裁判をとおして、エミリーに起こった出来事、そしてエミリーが考えていたことが描かれていきます。
 実際にあったことが元になっているということなのですが、冒頭でそういわれてしまうと気分がよくありません。そんなことをして喜ぶひとがいるのかと疑問を感じながら観ていくことになったのです。

 結果的には、エミリーのメッセージが打ちだされるので、その点はよしとします。自分はかならずしも病気が治ることが幸せであるとは思っていません。少数ですが例外もあります。病気とともに暮らしているひとなら同感してくれるひとも多くいるはずです。そういう観点からはこの映画は好きです。悪魔がいるかいないかという点には興味がもてませんでした。

 映像的には、ここぞというところで、ちょっと変わった映像をつかってきて、眼を楽しませてくれます。さじ加減がとても上手です。

2006年3月12日

イーオン・フラックス

イーオン・フラックス」をみてきました。

ウィルスによって全人類のほとんどが死滅した未来。生きのこったわずかなひとびとを救いだし、ウィルスに効くワクチンを開発し、危険な外界から隔離された都市の中で指導者となった一族がいて、やがて時がすぎると、都市でくらす一般のひとたちも不満がでてきて、やがて反乱者として指導者たちと対立するようになります。反乱側の特殊工作員がイーオン・フラックスで身体能力を高めるための改造がされており超人的なうごきで破壊活動や暗殺をおこないます。

まずjは色っぽいコスチュームに眼を奪われます。ピチピチあり、すけすけありで、もーエロエロです。こうなってくるとストーリーも単純で権力者と戦うだけのアクションエンターテイメントなんだろうなと思っていたら、あらあら、流れが変わってきます。
あるはずもない記憶がイーオンだけでなくほかの登場人物たちにもあり、それを夢にみたり、デジャヴのように瞬間、脳裏をよこぎったりと、どうやらここのひとたちにはなにか大きな秘密があるようで、イーオンはその謎をさぐりだします。

ストーリーの要素が複数になってくるとやはり、遠近法で描かれた絵のように、物語も立体的になり、深みがでてきますよね。

最終的には、旧約聖書の創世記のやりなおしみたいな結末をむかえ、生きることとはこういうことだという力強いメッセージをうちだしてくるわけですが、たぶん旧約聖書の創世記がつくられたときも「こんなふうに人間はつくられたのだ」というたんに歴史を語ってたんじゃなくて、生きるというのはこういうことだという教えを打ちだしていたんだんだと思う。キリスト教原理主義のひとたちはこれは実際にあったありのままのできごとを記したものなんだといってるけどね。

アクションは派手なのは前半だけれど、後半のほうが見応えがあっておもしろくなっていて、みどころをうまく配分していると思います。

主人公を演じているシャーリーズ・セロンは目線がきついんけれど、悲しげな色を湛えていて、キャラにうまく合っていたと思います。ラストに、イーオンの記憶のエピソードが回想シーンとしてはっきりでてくるんだけど、じーんと感動、ちょっと泣いてしまいました。

これは意外にSF映画の名作になるかもしれません。

2006年3月 5日

シリアナ

シリアナ」は、中東の石油をめぐってのアメリカの策謀を描いています。

この映画では、CIAのエージェント(暗殺)、のちに中東某国の王子のアドバイザーになるアメリカの石油投資会社の経済アナリスト、新興石油会社キリーン社が採油権を失ったばかりの大手コネックス社との合併をすすめておりコネックス側に有利になるようにキリーンの調査に入る弁護士、そして油田を解雇されたパキスタンからの出稼ぎ労働者(イスラムのテロリストになる)の、4つの流れから成り立っています。

シリアスです。政治話が好きなひとにはおもしろいけど、予備知識がまるでないとストーリーが読めなくて、おてきぼりを食らう可能性があります。

中東の石油産出国は上の人間だけがうるおい下は石油売買の恩恵をうけていません。アメリカの支援をうけて政権を維持している国があり、そういう国は王族は親米だけれど、一般の国民は反米です。また、アメリカの上層部は国際的な投資家であり金儲けの論理でうごいています。だいたいこれがわかっていれば映画をみながら状況の理解ができてくると思います。

おもしろい映画なんですkれど、あいてが国際情勢に興味があるのでなければ、カップルで観に行くのはおすすめできません。

2006年3月 2日

セブン

B00005R6L8.09._OU09_PE0_SCMZZZZZZZ_.jpgキリスト教の七つの大罪にみたてた異常な連続殺人を追うふたりの刑事を描いています。

悪意をもっていうと、"キリスト教徒"を描いたもっともすぐれた映画。フェアにいいなおすなら、あるひとつの考えをもっている人間ならば誰もが陥る可能性がある暴力についての物語です。

個人的にはこれはしかしあまり作りのよくない映画だなと思っています。とくに推理も駆け引きもなく犯人はわかってしまうし、時間をかけて緻密にねりあげられた犯罪だったはずなのに後半は雑なその場しのぎの殺人になってしまいます。もっと犯人と刑事たちとの駆け引きのあるスリリングなドラマにしあげてほしかった。

B000000W9Z.01.MZZZZZZZ.gifエンドタイトルでながれる曲は、デヴィッド・ボウイの".Heart's Filthy Lesson"。アルバム「Outside」に収録されています。いい声ですよね。ダークなテーマの曲のほうがセクシーで好きです。

"セブン"
監督 デビッド・フィンチャー
出演 モーガン・フリーマン、ブラッド・ピット ほか
5040円
Amazonアソシエイト
(在庫切れらしい。そろそろ新装版がでてもいいころ)。