2006年5月31日

ゴースト・ドッグ

Amazon.co.jp:ゴースト・ドッグ: DVD 武士道を論じた"葉隠"の翻訳を愛読し、サムライとして生きようとする凄腕の殺し屋"ゴースト・ドッグ"。自分の命を救ってくれたマフィアの幹部ルーイを主(あるじ)とし、ルーイのために仕事をしていた。ルーイのファミリーのボスの娘に手をだした幹部を殺すが、それは"ゴースト・ドッグ"とルーイの命を危うくする。

 日本映画が好きで、サムライの映画を撮りたかったというのが、この映画を製作するきっかけになったようです。日本でも武士道精神などなくなっており、アメリカでも義理堅さはもうずっとまえから古くなっている。その感覚を、すっかり時代に取りのこされた人間として"ゴースト・ドッグ"とルーイを描くことによって表現しています。("葉隠"も江戸時代中期にできあがっていて、サラリーマン化というか完全に組織に組み込まれもはやサムライではない武士のための精神論であったり、英訳されたものが日本に逆輸入されてもてはやされ、旧日本軍の精神論に組み込まれたりと、事情が複雑だったりもします)。

 クールに抑えたテンポで物語は進みます。殺しのストーリーなのですが、マフィアの幹部連中がふざけてるんだかまじめなんだかわからないやりとりをしていて笑えたり、公園で出会うちょっと生意気なことをいう少女と友だちになり、その公園にいるアイスクリーム屋が親友というのですが、こちらは英語だけむこうはフランス語だけとたがいに相手のしゃべってる言葉がぜんぜんわからないままに会話していたりとユーモラスで、なごむシーンが随所に盛りこまれていて、全体として殺伐としたイメージは感じられません。

 映画トップ10をつくるならぜひ入れたい作品。

"ゴースト・ドッグ"
監督 ジム・ジャームッシュ
出演 フォレスト・ウィテカー ほか
4170円
Amazonアソシエイト

2006年5月30日

デッドマン

Amazon.co.jp:デッドマン スペシャル・エディション: DVD 1870年ごろのアメリカ、南北戦争が終わり、大陸横断鉄道が開通してすぐのころ、ウィリアム(ジョニー・デップ)は、列車にのって終点の西部の田舎町にやってくる。そこで会計士の職がもらえるはずだったが、すでにべつの会計士がはいっていて、やとってもらえなかった。あてがはずれたウィリアムはうさばらしにでた夜の町で花売りの女と知り合うが、彼女と以前つきあっていた男があらわれ、撃ちあいになる。男が撃った弾は、女の体を貫通し、ウィリアムの胸に当たる。ウィリアムは女が護身用に持っていた銃をなれない手つきで撃つ。三発目は男の首を撃ちぬく。深手を負ったウィリアムは町をぬけだし、気を失っていたところを、インディアンの大男にたすけられる。ウィリアムが殺した男は、町の大立て者の末息子で、復讐のために殺し屋がやとわれ、ウィリアムを追うことになる。

 致命傷を負い、死から逃れられなくなったウィリアムを、太っちょインディアンの"ノーバディ"が人間の魂が戻っていく場所への旅へ送りだします。
 死はたしかにこのようなものであろうなと感じる映画で、理不尽にあるいは当然のようにこの身にふりかかってくるのだけれど、いざそのとき、導き手がいれば、ひどく穏やかに受け入れることができるのかもしれないと思いました。

 太っちょインディアン"ノーバディ"を演じるゲーリー・ファーマーが笑顔がかわいくて、すっとぼけた応対がこれまたいいキャラをだしていて、とてもよく、好きになりました。(ちなみに、彼自身、ネイティブ・インディアンだそうです)。

"デッドマン"
監督 ジム・ジャームッシュ
出演 ジョニー・デップ、ゲーリー・ファーマー ほか
4170円
Amazonアソシエイト

2006年5月28日

嫌われ松子の一生

 「ダヴィンチ・コード」はまだすいていないので「嫌われ松子の一生」をみてきました。
 でも、松子も、ほぼ満席でした。老若男女、客層はばらばらでした。

 ストーリーは、バンドをするために東京にでてきたけれど、そのバンドもやめ、やる気なく生活している笙(瑛太)のもとに父親(香川照之)がやってきて、死んだ伯母、松子(中谷美紀)が住んでいたアパートを片づけるようにいいつける。笙は、松子という伯母のことはしらなかった。父親も松子はもうずっと実家ではいないことにしてきたのだという。笙がそのアパートにいくと、松子は住人から嫌われていて、しかも死因は撲殺だという。やがて笙は松子の生涯を知ることになる。

 なんだかうまくいかない、愛してもらいたいのに父親は病弱な妹を愛し、男はみんな裏切っていく、どうしてどうして、と悲しむけれど、それでも強くたくましく生きていった松子の一生をコミカルタッチに描いていきます。

 エピソードがとにかく多いんで、ラスト手前ぐらいにはちょっと時間を確認したくなってしまいます。いま上映時間をたしかめてみたら130分、いまの映画にしては、長いですね。

 それでも、まー、なんでしょうね、この楽しさは。めまぐるしく、いろんなことが起きていきます。笑えるし、泣けるし、松子のうまくいかなさかげんは、自分の今までと比較してしまうし、松子を通してみる深い人生観にも心打たれます。

 いい映画でした。

2006年5月25日

エレファント

Amazon.co.jp:エレファント デラックス版ELEPHANT: DVD コロンバイン高校銃乱射事件をモチーフに、銃を乱射した男の子をふくめ、高校生の日常を描いています。

 事件直前までは、何人かの生徒の短いエピソードをつなぎあわせて構成されています。かならずしも時間にあわせたならび順ではなく、あとのほうのエピソードの生徒が、まえのほうにあった場面を、その生徒の視点でくりかえすこともあります。
 恋をしていたり、悩みがあったり、いじめがあったり、趣味にうちこんでいたり、どこにでもありそうな風景です。みんな殺してしまうと思うこともあるでしょう。そんなことをいってるひとがひとりぐらいはいたでしょう? 自分がひとを殺すことがあったなら、たぶんそれは10代に起こっていただろうと思います。

 事件の最中は、まるで夢の中に入りこんでしまったようです。音楽の効果も高いのでしょう。それまではクラシックあるいは不安げな音楽で予兆と内に秘めた感情を表し、事件の場面では水の音や鳥の声など自然音をとりいれたサイケデリックなテクノな音楽が流れます。

"エレファント"
監督 ガス・ヴァン・サント
出演 ジョン・ロビンソン、アレックス・フォロスト ほか
3990円
Amazonアソシエイト

2006年5月21日

ピンク・パンサー

 きょうは「ピンク・パンサー」をみてきました。

 ベタなドタバタギャグを繰りひろげるフランスのおバカ刑事クルーゾー警部が主人公です。警部役にはスティーヴ・マーチン。おバカっぷりの演技はあきれるほどなのですが、見た目がにくめない感じなのでバランスがとれ、いいキャラクターに仕上がっています。ほかにはジャン・レノが警部の部下として、ビヨンセが殺された男の恋人として登場します。

 全体的にほのぼとして昔風の伝統的なコメディの雰囲気を持っています。いまのお笑いが好きだとちょっとテンポがのろく感じるかもしれません。

2006年5月19日

ヘル・レイザー

hellraiser.jpg ホラー、ダークファンタジーの作家クライブ・バーカーが自ら監督をつとめてつくりあげた名作「ヘル・レイザー」です。

 寄木細工の四角いパズルボックスを開くと異世界から魔道士があらわれる。白い顔に縦横に切り込んだ線を引きその交点に釘を打った異形の魔道士が有名になりました。1988年に日本公開だそうですから、そろそろ30年くらい前の映画になってしまいます。特殊効果が古いために映像は、ちゃちさも感じさせるところがありますが、アイデアがよいことと、ストーリー展開のバランスがよく、いまでも充分に楽しめる作品です。

 DVDがずいぶん前から品切れになっているため、レンタル落ちのビデオをオークションで購入しました。再発売を心待ちにしています。
 ヘル・レイザーは、シリーズ化されていますが、これ以外はあまりよくありません。とくにストーリーが「あれあれあれ?」と思うほど平凡になっていきます。なお、オークションでヘル・レイザーの名まえで売っていてもシリーズの別作品だったりするので購入時にはよく注意しましょう。

2006年5月17日

エリザベスタウン

Amazon.co.jp:エリザベスタウン: DVD スポーツシューズのデザイナーとして働いていた青年ドリュー(オーランド・ブルーム)は社運をかけた新製品のプロジェクトを大失敗させてしまう。会社を首になり、自殺でもしようかと考えるドリューのもとに父が死んだと知らせる電話がかかってくる。ドリューは故郷エリザベスタウンにむかった。

 シリアスな設定ですが、全体にコメディタッチで笑ってみられます。

 エリザベスタウンにむかう飛行機のなかで出会う、妙に人なつっこくて、おもしろいおしゃべりをつづける、変わったフライトアテンダントさんにキルスティン・ダンスト。なんやかやと関係していきます。彼女に完全にオーランド・ブルームはくわれちゃっています。ハンサムさんじゃなかったら影もなかったでしょう。よかったね、美形で。オーランド・ブルームが女性にリードされる男というキャラクターなので、しょうがないといえばしょうがないんですけど、これからもどんどんメインをはっていく俳優なんだからもっとがんばってほしかったです。

 エピソードがたくさんありすぎてちょっと飽きてくる時間帯もあるんですが、笑いどころははずしていないし、ロマンティックなシチュエーションも多く、たのしめる映画になっています。長く感じるところもDVDでちょこちょこ細切れに観るんだったら、それもちょうどいいかな、と思います。

"エリザベスタウン"
監督 キャメロン・クロウ
出演 オーランド・ブルーム、キルスティン・ダンスト ほか
4179円
Amazonアソシエイト

2006年5月14日

ナイロビの蜂

 きょうは「ナイロビの蜂」をみてきました。先週、ラジオで話題になっていたので脇目もふらずこれにしました。

 主人公は英国外交官のジャスティン・クエイル(レイフ・ファインズ)とその妻テッサ(レイチェル・ワイズ)。テッサの死から物語ははじまり、その現在と、ここまでのふたりの過去がフラッシュバックしながら同時進行していきます。
 ふたりのなれそめはちょっと奇妙でテッサはいわゆる"活動家"で出会いはなにかの発表会で講演するジャスティンを質問の時間に徹底的に非難するところから。ジャスティンはもともとおとなしくて冷静、テッサは情熱的。ジャスティンを非難したあと、感情の爆発がおさまるとジャスティンの紳士的な態度に好感をいだいたのかすぐに仲良くなります。ジャスティンがアフリカのケニア(首都ナイロビ)に移ることになるとアフリカにつれていってとたのむことになります。ジャスティンはうれしいんだけど、外務省の関係者ではないテッサをつれていくことはできないのでとまどいます。テッサはジャスティンの奥さんになる〜、と、もうマンガのように一直線です。
 ナイロビでは、テッサは慈善活動に従事。現地で活動する医師アーノルドとつねに活動をともにしており、ジャスティンは疑いはしないものの内心どこかに隠しきれない疑念をいだいています。やがてテッサはなにかの企みを嗅ぎつけ、その解明に熱中。それは映画頭の死へとつながります。
 ジャスティンはテッサがしていたことを追いかけ、真実をつきとめることになります。

 ジャスティンとテッサはおたがいに踏み込まない領域をつくっていてどこか他人行儀なところがあった夫婦でした。ジャスティンはテッサの死の直後にはやはり彼女は浮気をしていたんじゃないかという思いを強めました。しかしテッサがしていたことを調べていくうちにだんだんと彼女が自分のことをどれだけ愛してくれていたかを知るようになります。

 それまでうまく見えていなかった愛情を知るストーリーと同時に進行していくのは、きわめて緊迫感の高いサスペンスです。そのハラハラドキドキは一級品です。そこで起こっている陰謀もリアリティがあります。ボディのある映画です。
 こんなにラブストーリーとサスペンスがみごとに融合した作品は見たことがありません。超おすすめです。

2006年5月 7日

13F

Amazon.co.jp:13F コレクターズ・エディション: DVD ホールは、社長とともにコンピュータで1937年のロサンゼルスの仮想空間を構築していたが、ある日、社長が何者かに殺されれてしまう。しかも、自分の部屋には血のついたシャツが捨てられていた。しかし、自分には殺人を犯した記憶はなく、動機すらなかった。調べていくと、殺された社長は仮想空間のなかへ入り、"ここ"と"むこう"との二重生活をおこなっていたことがわかる。ホールは事件の真相を追うため仮想空間へ入り込む。

 同時期に、おなじ仮想空間をあつかった「マトリックス」が公開され、完全にうもれてしまったらしいです。

 謎解きものということで、やはり、いまいる現実も、もしかして仮想なんじゃない? という入れ子構造の展開を思いうかべてしまいます。この映画は、しかし、そこからラストの勝負にでています。

 うーん、オチはやはり2段、必要なのかな。
 それから、アイデアだけじゃなくそこにほかの要素も盛り込んで描いていかないと、展開がばれたらそれでおしまい、薄っぺらい映画になってしまいますね。頭(アイデア)だけじゃなく肚(はら)で書く。アイデアは他人と共有(交換)できるけど、肚(はら)は個人のものでゆずってもゆずられてもどうにもならないものだから、アイデアばかり語られてしまいますが。しかも、肚(はら)だけだとたいくつな作品(=芸術的?文芸的?)になってしまうから、なかなかたいへんです。

"13F"
監督 ジョゼフ・ラズナック
出演 クレイグ・ビアーコ、 グレッチェン・モル ほか
1481円
Amazonアソシエイト

2006年5月 5日

アンダーワールド:エボリューション

 吸血鬼と人狼の宿命の対決が繰りひろげられる、と思わせつつ、吸血鬼の一族の不正と権力闘争を描いた「アンダーワールド」の続編をみてきました。
 前作が、導入部はかっこいいものの本筋のストーリーがもりあがらずがっかりした記憶があったので、見るのを迷っていたのですが、今回はなかなかよかったです。

 いちおうつづきものですが、前作にはなかった新事実があきらかになりそれに基づいてストーリーが展開しはじめるので、これから見始めてもだいじょうぶです。前作見ていても、オープニングは、なにがなんだかわりません。
 でも、前作のあらすじを書いておきますね(ねたばれ)。

続きを読む "アンダーワールド:エボリューション"

2006年5月 1日

イーオン・フラックス オリジナル・アニメーション

Amazon.co.jp:イーオン・フラックス オリジナル・アニメーション コンプリートBOX: DVD 映画化された「イーオン・フラックス」の原作アニメです。映画はアニメのアイデアと人物設定の一部を借りた別物でした。映画もそれなりにできのよいSFでしたが、このアニメのファンのひとがみたら味わいがまったくことなるのでけなすしかないでしょう。

 イーオン・フラックスはモニカという国の特殊工作員で、ブレーニャ国を支配する独裁者トレヴァーの計画を妨害します。絵柄はいかにも外国人ぽいアメコミ風のもの。あまりうまいとはいえないが挑戦的なアングル・うごきが描かれています。シリーズは10作品で、4作目あたりから急激におもしろくなります。SFっぽい舞台設定で、幻想的な世界をつくりあげ、詩的な感慨が胸に生じるようになります。エヴァンゲリオンとか押井守作品とか好きなひとならはまる可能性大です。

 とくに印象にのこったのは、5作目の「浄化」。細長い針金のような骨組みの人型の機械を人体に入れて人格を矯正するプログラムをめぐるお話で、こいつの出し入れ、そして自分にも入っているんじゃないかという不安が、シュールに語られます。

 特典ディスクのパイロット版とショートフィルムもかなりすごいのでお見逃しなく(わたしが特典をほとんどみないタイプなので同類さんにいちおう注意)。

"イーオン・フラックス オリジナル・アニメーション コンプリートBOX"
パラマウント・ホーム・エンタテインメント・ジャパン
7140円
Amazonアソシエイト