2006年6月25日

ウルトラヴァイオレット

 「ウルトラヴァイオレット」を観てきました。

 終わってから考えてみると筋書きは簡単に思えるのですが、語り方がストレートではないので、状況がちょっとつかみにくい映画です。気取ったセリフにしたいのはわかりますが(翻訳の問題かもしれませんが)、そうい凝った言葉は決めぜりふとかちょっとしたつぶやきにとどめるか、全体にもっと情報量を増すかしたほうがいいように思います。

 ストーリーは、軍事研究によってうみだされたウィルスによってヴァンパイア(ファージとよばれる)になってしまった人間たちは、自分たちを迫害してきた政府への抵抗運動をくりひろげていた。圧倒的な軍事力と、一般民衆へヴァンパイアの恐怖を植えつけることに成功した政府は、ほぼファージの勢力をほぼ全滅。さらに完全なファージ絶滅を狙う政府は強力なバイオ兵器をつくりあげます。

 ミラ・ジョヴォヴィッチ演じるヴァイオレットは兵器強奪に送り込まれたファージのスペシャルエージェントです。大勢の敵を華麗な剣さばきで倒すように銃をつかって倒していきます。といっても剣もおなじように使います。

 あ、上海タワーだ、合成かなー、と思ったら、エンドロールに"SHANGHI"の文字が、ほんとに上海ロケをしたんですね。でもこの映画は独裁政権でてくるよ、権力批判してるよ、と思ったんだけど、チェックしなかったのかなー。

 映像はまあまあです。予算的に苦しかったんじゃないかなーと思いました。
 しかしミラ・ジョヴォヴィッチはスクリーン映えしますね、ばっちりの配役でした。悪役のニック・チンランドもいい味だしてます。……そう、この映画、配役抜群です。

 全体評価は"中"。及第点はこえてるけど、突き抜けるものに欠けています。

2006年6月22日

トリコロール/赤の愛

Amazon.co.jp:トリコロール/赤の愛: DVD モデルをしている大学生のバランティーヌは車で犬をひいてしまう。首輪につけられた住所へ急ぐが、飼い主の老いた男性は、大けがをした犬のことにはまったく興味をしめさなかった。治療した犬は元気になると逃げだして飼い主の家へと帰る。バランティーヌはそこで飼い主の男性の秘密を知ってしまう。彼は近所の電話を盗聴していたのだった。

 突然の嵐だとか、足音、倒れるコップなどの「暗示」と、偶然か必然か(創作では区別する必要には迫られませんが)似かよった出来事の「類似」が多用されて物語が組み立てられています。

 バランティーヌとは別個に、彼女の近所に住む青年の物語もちらちらと進行していきます。彼の電話もまた犬の飼い主の男性に盗聴されています。彼の物語がやがて映画の結末できれいな輪を描いてくれます。

 トリコロール(フランスの国旗。青と白と赤の3色たてじま)の赤は「博愛」だそうだけれど、映画の終わるころにならないと、わたしは、この「博愛」はよくわかりませんでした。犬の飼い主の男性がついていた職業にとっては重要なのかもと思うくらいで、博愛、博愛、どれが博愛だろうと疑問を感じながら観ていました。まだまだ、博愛がわかるほどの人間性が自分には育っていないのでしょう(ずっとダメかも)。

"トリコロール/赤の愛"
監督 クシシュトフ・キェシロフスキ
出演 イレーヌ・ジャコブ、ジャン=ルイ・トランティニャン ほか
3990円
Amazonアソシエイト

2006年6月20日

憂国

Amazon.co.jp:憂國: DVD 三島由紀夫の小説「憂国」は、切腹とそのまえの夫婦の情交を描いた短篇です。不謹慎ですが、自分の子どものころにはエッチな文学作品のひとつでした。
 映画化は三島由紀夫本人の主演・監督・脚本によります。公開時は話題をよび、興行的にも成功しましたが、三島自決のあとは三島夫人によって公開が禁止されました。上映用フィルムはすべて回収され焼却処分となったそうですが、夫人の死後、ネガが茶箱のなかに保管されていたことがわかり、このたびDVDの発売となりました。

 上映時間28分の短篇です。
 巻物をといて文章をみせていくのがテロップのかわりになっていて、状況説明をすべてそこでしてしまいます。文章にしろ音声にしろナレーションはうるさくて好きではないのですが、この映画だとそれをぜんぜん読まないで、映像で情交と自害だけをみていってもこまらない、完全に切り離せるので苦痛にはなりませんでした。やっぱり映像を説明しちゃうとだめですが、そうでない場合にはあまりこまりません。
 出だしに、安っぽい合成があって、うーん、と思ったのですが、それ以降は見ごたえのある映像になっていきます。情交のシーンはポルノにはならず、でも、好きな相手の体に欲情する、あの視覚をうまくつくりあげています。切腹場面はちょっとグロです。能舞台をさらにシンプルにしたセットが素敵でした。

 観ただけの甲斐はありますが、三島ファンでなければわざわざ買ってみる必要はないと思います。しかし、観る機会があるなら、ぜひおすすめします。

"憂国"
監督 三島由紀夫
出演 三島由紀夫、鶴岡淑子
6300円
Amazonアソシエイト

2006年6月18日

トリック 劇場版2

 なにを観ようか迷いましたが、きょうは「トリック 2」にしました。

 「ケイゾク」のときも思ったんですが、堤監督はテレビドラマはおもしろいんだけど、映画も特番も、なんだなんだとこちらがあわてるほどつまらないものをつくるので、映画館で観るのには心配がありました。

 もとがテレビドラマなのでふつう以上によくないとべつに映画でなくともという評価になりがちですが、今回の自分の評価も安易ですがそれです。悪くはなかったけど、テレビでいいかなー、と思ってしまいました。でも、心配していたダメ作品ではありませんでした。前作の劇場版よりもたのしめます。

 仲間由紀恵と阿部寛のかけあいは、やっぱりおもしろいですねー。

2006年6月15日

21グラム

Amazon.co.jp:21グラム (初回出荷限定価格)21 grams: DVD ひき逃げによって夫と娘二人を失った女(ナオミ・ワッツ)、その夫の心臓をゆずりうけて命を長らえた男(ショーン・ペン)、ひき逃げした男(ベニチオ・デル・トロ)。命をうばい、あたえた関係は強い負の感情によってふたたび結びつき、なにかをあたえ、なにかをうばう。

 ショーン・ペンが演じる男は心臓を病み、あと1カ月の命と診断されています。別居していた妻(シャルロット・ゲンズブール)はもどってきて看病し、彼の子どもを得ようと人工授精することを望んでいます。そうしているうちに心臓が手にはいることになり手術も成功しますが、ふたりの関係はもとのように悪くなっていきます。
 ベニチオ・デル・トロが演じるひき逃げした男は、物心ついたころから刑務所を行き来しているような人間だったが、信仰に目覚め、神、神、神、という生活を送るようになっていました。そんなとき、道をわたろうとしていた親子を車でひいてしまいます。あれほど救いだと思っていた信仰をも彼を苦しめるようになります。

 ストーリーの流れは、エピソードが時間順にならんでおらず、まえにあったり、うしろにあったりします。まるでなにかを思いだしているひとのように時間に関係なく記憶がよみがってくる感じなんですが、でもそれは観客の記憶ではないんですよね。この映画にある体験はしていません。だから、だれかがいま思いだしながら話していることを聴いているような感じです。やがて、全体が見えてきて、話しているだれかがたどりつく場所に、わたしたちもたどり着くことになります。死ぬ瞬間、体重は21g減るといわれます。そのとき、なにが失われるのか、なにが得られるのか。

 DVDでもういちど観ましたが、やはり好きです。

"21グラム"
監督 アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ
出演 ショーン・ペン、ナオミ・ワッツ、ベニチオ・デル・トロ ほか
2100円
Amazonアソシエイト

2006年6月11日

インサイド・マン

 「インサイド・マン」をみてきました。

 スパイク・リー監督の映画ですね。銀行強盗ものの新しいトリックの映画ときいていたので意外でした。映像はかっこよく現代的ですが、テーマの選び方からすると社会派、しかもきれいごとをいわない現実の汚い部分もみせつける社会派、のイメージを持っていましたから。でも、最後までみるとやっぱりその傾向はありました。スピルバーグをちょっとチクチクやってるのかも。

 さて、ストーリーは、人質をとって立てこもる銀行強盗グループと警察とのにらみ合いで、強盗たちがどうやって銀行から抜けだすかで引っ張っていきます。抜けだし方は、だいたい推測がついていくのですが、犯人たちがなにをしようとしているのかが観客には隠されているので、いいぐあいにチラみせ、スカートはめくれるけどパンツは見えないよ、って感じです(下品)。

 刑事たちの会話や、警察の車の集結シーンだとか、細かいディテールのつみかさねは、なかなかオタク的かも。本当にそういうふうなのかはわかりませんが、リアルに感じられてきます。

 ジョークも細かく入れてきます。交渉中に犯人がクイズをだして、刑事たちが本気になって答えて、そのあともあーだこーだいいあっているとか、わかりやすく笑いやすいものです。

 犯人がなぜそれをして、(被害者とグルでないのなら)どこでその情報を手に入れたのか、については、ヒントはだされているもののはっきりとはいっていないので、それをはっきりするかしないかの好みで評価が上下しそうですが、それ意外はみんな満足いく内容ではないでしょうか。おすすめです。

2006年6月 4日

ダ・ヴィンチ・コード

 ようやく空いてきた「ダ・ヴィンチ・コード」をみてきました。

 宝探しストーリーとして最初から最後までたのしむことができます。みていて、わからなくなりやすいのは勢力関係ですね。修道会……さて、修道会はどっちの組で、だれが属していたんだっけ? 評議会……さて、評議会はどっちの組で、だれが属していたんだっけ? 途中から整理しなおしながらみていました。

 ストーリー上の結末になるはずの部分がうまくおさまっていないので、ひとつ解かなかった謎を最後に解いて、おしまいという形になっていました。やっぱりひとつのオチでどーんと落として終わらせるより、2段で落とした方がおさまりがよくてスマートになるのかなーと思いました。

 この映画に、キリスト教勢力が文句をいってましたが、ええっこれに文句をいってるのって感じでした。あのひとたちはバカなんじゃないでしょうか。そうでなければ、ひとをバカにしているか(だって、この映画の中で描かれていることを本当のことだと信じてしまうんでないかと心配していたらしいんだよ)のどちらか。バカでもバカにしているでもどちらでも、ひとを導けるだけの器量はないんじゃない? 教会に対する批判にもなっているからその点に文句をいうだけならわからないでもないけれど。

 あと、ダ・ヴィンチはほとんど関係ありませんでした。少なくともモナリザは無関係です。ダ・ヴィンチにまったくふれなくとも話は展開させられます。