2006年7月30日

ゲド戦記

 きょうは「ゲド戦記」をみてきました。

 監督の宮崎吾朗さんは父親が宮崎駿ということでなにかと比べられてたいへんでしょう。どこもそんな話題ばかりだとも思うので、ここではやめておきます。

 個々の場面の演出にはやや力不足を感じるところもありますが、ストーリー配分や全体の組み立ては優れていて、骨のある映画にしあがっています。

 主人公はアレンという青年で、タイトルになっているゲドというのはアレンをたすけることになるハイタカという魔法使いの真の名まえです。相手の真の名まえを知るとその相手を自分の思うように操れるというのがこの世界の魔法の仕組みになっています。

 ストーリーは、光と闇との均衡が崩れはじめた世界を背景に、ふたつの軸によって進行していきます。ひとつはアレン個人の出来事。彼は戦いになると見えなかった異常さを表に表し、また何者かの影におびえています。もうひとつは、ハイタカとアレンが旅先でかつてハイタカと争ったことがある魔女に狙われる話です。ふたつはやがてシンクロします。

 アレンは、いろんなものを恐れていて、悪の誘惑にも耐えられなくて、まったくたよりないんですが、主人公としてはこういうふうでもなんとかなります。この物語の世界の表と裏をみていくのに格好の人物になれるからです。
 終盤では、ここまで抜くことができなかった魔法で鍛えられた剣をアレンが抜こうとします。(この場だけではなく、これからのすべてにおいて)戦っていこうと誓うアレンの気持ちが伝わってきて、涙があふれてきてしまいました。


→スタジオジブリ「鈴木敏夫プロデューサーへのインタビュー完全版
原作者アーシュラ・K・ルグィンのコメント(英語)

2006年7月23日

M:i:III

 きょうは「ミッション・インポッシブル 3」を観てきました。

 これまでのシリーズは観ていないのですが、ぜんぜん問題なく楽しめました。もしかすると、今回登場した人物とこれまでに関係があって、みていると思い入れが違うのかもしれません。

 プライベートのことごとくが怪しくなってしまったトム・クルーズが演じる主人公は、結婚するときめた相手ができ、特殊工作員の仕事も現役からは退き、教官の任務についています。しかし、教え子が囚われ、その救出作戦に参加。そこから、ずぶずぶと陰謀の泥沼に足をとられ、最愛の恋人をも危険に巻きこんでしまいます。

 中だるみがあると聞いていたのですが、そうと指摘するほどのものではありませんでした。一度、高まったところから、再スタートする展開なので、わー、おなかいっぱいだー、あ、まだ料理でてくるんだ、な気分になるかもしれません。自分にはほどよい量でした。

 終盤は、上海が舞台になります。いいですねー、あのビル街。まえに上海の写真を見せてもらったとき、わ、ぜったいここで映画撮ったらいいよーと思ってたんですが、この映画や「ウルトラ・バイオレット」でそれが実現されていました。

2006年7月19日

プライベート・ライアン

Amazon.co.jp: プライベート・ライアン: DVD: ロバート・ロダット,スティーブン・スピルバーグ,トム・ハンクス,トム・サイズモア,エドワード・バーンズ,マット・デイモン,バリー・ペッパー かなりお手ごろ価格になっていたんだけど現物が見あたらなくて買いのがしていたのをついに発見。(といっても買わなければ買わないでもいいんですが。あと何年生きるんだろうと考えると、自分の身のそばに置いても一瞬だなと、物欲は薄れていきます)。

 これ以前と以後とでは戦争映画は「映像においては」まるっきり変わりました。良くも悪くもキーとなる映画です。

 弾丸は雨粒のように周囲に飛び、ふいに当たって、手や足や頭の一部をひきちぎります。眼の前のひとが一瞬にして"物"になるのが映しだされます。戦場の恐ろしさが見終わってからもしばらくは自分の体にぴったりくっついて離れていってくれません。

 映画で語られる主義主張も、とてもアメリカの戦争らしくて、うまく写しとっていると思います。

 また、ドイツ語とフランス語ができるからということで部隊に編入される男がちょっとおもしろいです。仲間がころされる場面でも怖くて助けにいかれない。でも戦場の形勢が逆転して立場が強くなると、仲間をころした敵兵に銃をむけ、そしてころしてしまう。ずっとおどおどした男だったのに、そこからは態度が堂々とする。意味ありげなのか、リアルなのか。おもしろいキャラクターです。

"プライベート・ライアン"
監督 スティーブン・スピルバーグ
出演 トム・ハンクス、マット・デイモン、トム・サイズモア ほか
1575円
Amazonアソシエイト

2006年7月17日

下妻物語

Amazon.co.jp: 下妻物語 スタンダード・エディション: DVD: 嶽本野ばら,中島哲也,深田恭子,土屋アンナ,宮迫博之,篠原涼子,樹木希林,阿部サダヲ,岡田義徳 劇場公開中は口コミ評判がかなりよくて観に行きたかったんですがタイミングがあわず見逃していました。DVDをやっと買ったんですが、おもしろいです。一気に観てしまいました。

 ロリータファッションに目覚めた桃子(深田恭子)は元来の自己中で「友だちなんかいなくていいもん」な女の子。一方、ごてごてに飾った原付を乗り回すばりばりのヤンキー、イチコ本当はイチゴ(土屋アンナ)は桃子と知り合うと、その後、なぜだかつきまとうようになります。

 語り口はギャグがいっぱい。イチゴはかっとしやすく、桃子はいっちゃいけないことをすぐいうので、血がのぼったイチゴの頭突きをばしばしくらいます。ジダンもびっくりっていうか、頭突きを検索するとジダンしかでてきませんよ。イチゴは跳び蹴りもくらわします。深田恭子の背中にキックです。桃子は心はきれいかもしれないけど腹は黒いので、親父をだまくらかして金をせしめて服を買います。そのシーンで深キョンがいうモノローグが「マジでわたし、心根が腐っています」。あー、もー、ものすごく笑わせてくれます。
 そういう楽しませたっぷりな語り口で、友情の物語が語られ、涙をさそい、心を温めてくれます。

 深田恭子はかわいいですねー。土屋アンナも大部分はヤンキー化粧でわかりづらいのですが、ロリータ服の店にくっついていったときに気に入られて一度モデルをするシーンがあるのですが、うぉっとするほどキレイです(そこで暴れまくるところで笑わしてくれます)。

"下妻物語"
監督 中島哲也
出演 深田恭子、土屋アンナ ほか
3900円
Amazonアソシエイト

2006年7月16日

パイレーツ・オブ・カリビアン デッドマンズ・チェスト

 先行上映で「パイレーツ・オブ・カリビアン デッドマンズ・チェスト」を見てきました。

 肉弾的な、危険なアクションも現在はCGで補佐できるんで、センスしだいで、かなり派手でおもしろい動きを映像にすることができます。この映画も、アクロバティックなアクションを、より自然にたっぷりと見せてくれます。CGがどこにつかわれているかわからないくらいです。さすがにクラーケンはまんまCGですが、その他は、ほんと実写にしかみえません。

 すでに人間関係ができあがっている状態で映画は進んでいくので、前作を見ていないと、序盤は状況がつかめずたいくつにおもうかもしれません。
 ストーリー展開はゆっくりめです。複数の登場人物のストーリーが絡みあいながらの展開ですが、それぞれのストーリーがあまり深く進行していきません。その原因は最後に気がつきます。これは「前編」なんです。

 (たのしみにしているひとが多い映画なので内容にはふれません)。

2006年7月14日

ナイト・ウォッチ

Amazon.co.jp: ナイト・ウォッチ NOCHNOI DOZOR 特別編: DVD: ティムール・ベクマンベトフ,コンスタンチン・ハベンスキー,ウラジミール・メニショフ 光と闇の戦いとか、世界を支配する力だとか、どうしてこういうつきなみな設定を選んでしまうのだろうか、と前から思っていたのですが、最近は、ありきたりな設定というのは、間口を広くとることにつながっているんじゃないだろうかと考えます。芸術家肌のひとはすべてをオリジナル、オリジナル、とんがってなきゃだめみたいに考えて、非常にクローズドな世界をつくりあげてしまいがちで、けっきょくその優れた才能を埋もれさせてしまいます。オープンにするとたしかに失うものがあるけれど、得るものも大きいと思います。

 さて、「ナイト・ウォッチ」は、光の闇の勢力の争いが中心にあります。力は完全に拮抗しており、最後まで戦えば両者とも滅びてしまいます。そこで休戦協定を結び、互いに相手を監視することにしました。光の勢力は闇を見張るのでナイト・ウォッチというわけです。
 特殊能力をもった人間を勢力に取り込むのも、どちらを選ぶのかは当人の意志とします。
 予言によると、やがて光と闇の勢力の均衡を破るような巨大な力をもった人間が現れ、そして彼は闇の勢力につくだろうといわれています。

 映像はコンピュータを駆使してなかなかおもしろいのですが、カットの切り替えが早く、うごきがわかりづらいです。みどころのアクションなのに、なぜか顔のアップばかりになってしまうので、もうちょっと見せろよ〜、と思ってしまいました。(これはもしかすると金銭的な問題からくるものなのかも。続編の予告が入っているのですが、その映像はかなりスケールアップしていました)。

 光と闇にきれいにわかれているようで、じつは光も小さな闇をかかえていたりして、そういうわりきれなさを描くこまかいところが物語に奥行きをあたえています。

 それから、まじめ一辺倒ではなくて、マンガ的なおもしろがらせがいっぱい入っていて、この遊びの部分のセンスがあって、たのしめます。

 また、日本での劇場公開時には、ネットの口コミ情報ではやらそうと、関係者ががんばりすぎて、逆に熱を冷ましてしまったという妙な逸話があるそうです。

"ナイト・ウォッチ"
監督 ティムール・ベクマンベトフ
出演 コンスタンチン・ハベンスキー ほか
3900円
Amazonアソシエイト

2006年7月11日

ジョゼと虎と魚たち

Amazon.co.jp: ジョゼと虎と魚たち(通常版): DVD: 田辺聖子,渡辺あや,犬童一心,妻夫木聡,池脇千鶴,上野樹里,新井浩文,新屋英子 大学生の恒夫(妻夫木聡)はバイト先の雀荘でちょっと怪談めいたうわさ話をきいた。早朝、乳母車を押して歩きまわるおばあさんがいるらしい。乳母車は毛布で覆われていて、なかになにがあるのか、だれも見た者はいない。恒夫が明け方に店長の犬を散歩させていると、坂の上から乳母車が転がってきた。中には包丁をふりまわす女の子がいた。それがジョゼだった。ジョゼは足が動かず、そして学校にも行くことなく、隠れるようにおばあさんとふたりきりで暮らしていた。恒夫はやがて不思議な魅力をもつジョゼに惹かれていく。

 ひとつの恋の物語。けっきょくだめになってしまうのですが、それでも、ふたりにとってはとても大切で、心に刻みこまれいつまでも忘れることのない、すばらしい日々。恋っていいよねー、改めて思わせてくれる映画です。

 全体の雰囲気は、コメディがかったキャラのつよいひとたちがたくさんでてくるためか、マンガを読んでいるようです。みんな大阪弁(たぶん)で、ジョゼもぶっきらぼうで気が強く大阪のおばちゃんがこんなのだろうなというしゃべり方をします。でも、女の子っぽい(大阪の女の子ってこんな感じなのかなと想像してます)。

"ジョゼと虎と魚たち"
監督 犬童一心
出演 妻夫木聡、池脇千鶴、上野樹里 ほか
4935円
Amazonアソシエイト


 中古屋さんでかなりまえに買っていたのですが、本編ディスクはあるけれど、特典ディスクがどこにいったのかわからなくなってしまいました。自分が買っているところは、パッケージと、中身のディスクがばらばらで、買うときに、汎用のディスクケースに入ったまま、外のケースといっしょに店の袋にいれてくれるんですよね。で、家に帰ってからでも、移しかえるわけですが、今回はしばらく置いといて買ったのも忘れていたので、汎用のケースのままでした。本編をプレイヤーにいれたときには特典もあったので、そのあとになくしてしまったようです。先日、整理して、いらないケースをいくつか捨てたから、まちがえて捨ててしまったみたいです。うー。

2006年7月 9日

サイレント・ヒル

 「サイレント・ヒル」をみてきました。

 原作となっているゲームで遊んだことがあります。ゲーム本編に入るまえに、建物の間の細い通りをどんどん奥へ進んでいく導入部があるんですが、心理的に追いつめられいって、とても怖かったおぼえがあります。

 映画はもう狂気の世界です。残酷描写が多いので苦手な方は注意が必要です。ゲームのビジュアルを生かしていますが、ゲームにあった心理的に追いつめられる恐怖はなくなっていますが(ゲームもシリーズがつづくとこの恐怖が失われました)、異世界観はすごくよくでているし、物語の展開もバランスがよい方だと思います。ホラーとしては上等の部類に入ります。

 ストーリーは、サイレント・ヒルという街で、娘を見失ってしまったお母さんが、異形の魔物が徘徊する悪夢のようになった街をさまよい、必死に娘を捜し続けるというもの。やがて、街の過去が明らかになっていきます。

 「呪怨」のハリウッドリメイクもそうでしたが、どうしてこういう事件が起きたのか理由がはっきりしているのがアメリカ人の好みだそうで、この映画も原作より、はっきりとそこを描いています。はっきりさせるためにわざわざ理由だけを述べる長い独白シーンをいれてしまっているほどです。謎めかす(ほのめかす)ほうが日本人の好みにあうでしょうから、ちょっとものたりなく感じるかもしれません。アメリカにも「ツイン・ピークス」という先例があるのですから、原作のように精神分析劇ぽい暗示でつなげていってもよかったかもしれません。「ブレアウィッチ」のように真相を推理してたのしむのもいいですよね。

2006年7月 2日

カーズ

 ピクサーの新作アニメ「カーズ」を観てきました。

 眼と口があってしゃべる、擬人化された車によるドラマです。

 新人のレーシングカー、ライトニング・マックイーンは、1年目にして優勝がねらえる天才であったが、思いやりがなくスタッフからも嫌われています。決勝のレース場への移動中に行方不明になります。彼は寂れた小さな田舎町に迷いこんでいました。

 才能は素晴らしく、栄光をもとめるのはいいことだけれど、友情や信頼も大事だよ、できれば犠牲にしないでね、っていうテーマの映画です。

 車が主人公なのでスピード感あふれる画面と、田舎町のほのぼのしてゆったりとした画面がいいコントラストをつくっています。奥行きある風景がていねいに描かれているのもいいところです。
 個々のキャラクターも充分にいかされ、ドラマもハリウッドのアニメ映画にありがちな尻つぼみにはならずにうまく高い位置におさめています。見ごたえがあります。

 ぷーんと飛んでるハエが翅のある車なのに笑いました。

 一番最後の遅い回を観に行ったのに、小さな子ども連れのお父さんお母さんばかりだったのは意外でした。物語が胸にしみるのはたぶん若いお父さんだろうなー。

 本編まえのミニアニメも今回はおもしろかったです。