持ち込みに行った経緯
最近は貯金で暮らしていて、特に仕事もしておらず、将来やりたいことをしていくためのスキルアップという名目で日々をおくっています。
その一環として、前々からずっとやってみたいと思っていた漫画制作に取り組むことにしました。
構想自体は色々あったのですが、なかなか固まらず、他のことと並行してじわじわ考えていました。
2020年8月の上旬くらい、いよいよ漫画描くぞ!となったのは、考えていた構想が固まり始めたからです。
週刊少年ジャンプ新人賞のストーリー部門に出したかったので、15~55ページにまとまりそうな内容で考えました。(もっとも、どのくらいのストーリーがそのページに収まるのか見当もつきませんでしたが…)
ではまず、初めての漫画制作について軽く書いておきます。
全体の流れや制作期間
まず全体の流れです。
構想を本気で考え出したのが8月。
まとまったのが8月上旬。
そこからセリフを考えて、展開を組み立て終わったのが8月中旬。
ネームをあらかた完成させたのが8月終わり。
そこから必死にペン入れ作業をして、完成のめどがたったので9月29日に持ち込みの予約を入れました。
結局持ち込みまでに完成しなかったのですが、物語としては読めるようになっていたので持ち込みは決行。
最後9月30日にがんばって仕上げ、新人賞にWEBで投稿しました。
ということなので、全部で2ヵ月くらいかかりました。
ペン入れ作業に入るまでは一日3~6時間くらい作業してたと思います。多分。
ペン入れからは大変でした。
どうしても9月の賞に出したかったので、30日までに仕上げなきゃいけないわけです。
最初から気を抜かず頑張って進めていたはずなんですが、「なんかこのペース間に合わなくない?」となり、最後の1,2週間は一日9~14時間ほど作業していました。
iPadのスクリーンタイムという、アプリの使用時間を計測する機能で確認したので正確な値です。
今までの人生でここまでひとつのことに注力したのは初めてでした。疲れた。
では次に、持ち込みの予約について書いていきます。
予約
大抵持ち込みの予約は、出版社に直接電話をする必要があります。
集英社であれば持ち込みの流れは公式ページにも書いてあるので参考にしてください。
原稿持ち込み大歓迎!!|集英社『週刊少年ジャンプ』公式サイト
なんとか9月中に終わりそうだと思い、9月22日 火曜日に電話をしました。
自分の希望日は9月29日か30日でした。
9月22日14時55分 プルルル… プルルル…
午後の方がつながりやすいと、公式のどこかに書いてあった気がしたので、そんなような時間にかけました。
しばらく待ちましたが、応答はありませんでした。
もう少し鳴らしたまま待っててもよかったかもしれませんが、誰も電話を取れないくらい忙しいオフィスで自分のコール音が延々鳴り続けてるのを想像し、なんだか忍びないと思って切りました。
9月22日15時03分 プルルル… プルルル…
一度目の発信の時点で相当緊張していて、切った後もずっと緊張していたので、早く終わらせたいと思い割りと短いスパンでもう一度かけました。
これも応答はありませんでした。
先ほどと同じ理由で切りました。
9月22日15時30分 プルルル… プルルル… ガチャ!
3度目ともなると緊張も少し和らぐな…と思っていたその瞬間、応答がありました。
以下のようなやり取りでした。(言い回しはうろ覚えですが、内容は合ってます。)
編集者『はい、ジャンプ編集部です。』
自分「あ、もしもし、お忙しいところ恐れ入ります。△△と申します。」
『はい』
「持ち込みの予約をさせていただきたいのですが…」
『あ、わかりました。えーと、持ち込みは初めてですか?』
「はい、初めてです。」
『ありがとうございます。では…えーと、お名前と希望の日時を教えてもらえますか?』
「名前は△△で、29日を希望させていただきたいです」
『29日ですね。えーとそしたら… うーん… 16時でいかがでしょうか?』
「あ、大丈夫です。お願いします。」
『では、当日連絡の取れる電話番号を教えてもらえますか?』
「はい、この番号で、~~です。」
『はい、ありがとうございます。では29日の16時ですね。
神保町には集英社のビルがいくつかありますが、持ち込みの公式ページを見て確認してください。
正面玄関から入って、1Fロビーの受付に○○に持ち込みと伝えてください。編集者の名前は間違えないようにしてくださいね。』
「わかりました。よろしくお願いします。」
『はい、お願いします。失礼します。』
こんな感じでした。
ベテラン編集者の手慣れた対応というよりは、一般的な、普通の電話応対という感じでした。
やはり初めての持ち込みの場合は電話に出た編集者さんが対応するみたいですね。
実際に電話する際はメモの用意を忘れずに!
当日
僕はすべてデジタルで制作していたので、持ち込みするにあたり、見てもらうために印刷する必要がありました。
当日もひーひー作業していまして、電車に乗る直前にコンビニで印刷しました。
本当は当然、もっと余裕を持った方がいいですね。
そして集英社のある神保町。
駅に到着したのは15時51分とかだったと思います。
もっと早く着く予定でしたが、色々バタバタしてギリギリになってしまいました。
Googleマップで確認しながらなんとか集英社に到着しました。
到着は16時2分とかだったと思います。ちょっと過ぎてる!
という感じで、やはり当日はバタバタします。
神保町駅で電車を降りてから地上に出るまでの時間や、現在位置を把握して道を確認するまでの時間、都会の高層ビル群に気を取られる時間など、いろいろ余裕をみた方がいいです。
受付
とんでもなく緊張しましたが、意を決して突入。
入口にあったアルコール消毒液を手になじませながら、2つ目の自動ドアを抜けました。
1Fロビーは、常駐の警備員2,3人と、受付の女性3人しかいませんでした。
奥の、持ち込みなどの対応をするミーティングブースでは数組がやり取りしていました。
受付の方に足を運び、「持ち込みで、16時から○○様です。」と伝えると、隣の机で来客カード(的なやつ)に書くように言われました。
とあるネットの持ち込み体験談では「受付の女性の対応が悪い」と書かれていた気がしたのですが、そんなことはなく、とても丁寧に対応していただきました。
来客カードには、「自分の名前」「用がある方の名前・用件」「約束の時間」「電話番号・住所」なんかを書きました。
書き終えて渡すと、検温を求められ、ちょっととまどいながらも済ませました。
「取り次ぎをしますので少々お待ちください。」と言われ、その場であたりをきょろきょろしながら待機していました。
するとゲスト用の首にかけるやつを渡され、「7番ブースでお待ちください。」と言われました。
待機
受付の方に軽くお礼をして7番ブースに向かうと、7番ブースがどこだか分かりませんでした。
助けを求める目で振り返ると、初心者オーラをまとった僕の様子を見ていてくれたようで、すぐに教えてくれました。
7番ブースは窓際のオープンな席でした。
1~6番ブースは仕切りがあり、7番とは明らかな格差を感じました。
初の持ち込みはオープン席で、回数を重ねると1~6番に昇格するのかな、なんて考えて待っていると、近づいてきたスタッフさんに「5番ブースが空いたのでそちらへどうぞ。」と言われました。
ただ単に席が空いたから誘導されたのか、僕の圧倒的な風格を前にしてたちまち昇格を判断したのかは分かりませんが、いそいそと移動しました。
隣から聞こえてくる話し声なんかを聞きながら待機していました。
すると16時15分頃、今回持ち込みの対応をしていただく編集者の方が来ました。
「編集者が来るまで30分待たされたとか、1時間も待たされたとか、そんな体験談を見ましたが、自分の時は10分から15分くらいで来ました。」という体験談を見ましたが、僕の時もそのくらいでした。
お話
「○○です。よろしくお願いします。」「お忙しい中ありがとうございます。」などと軽くご挨拶をしたところで、「では早速見させてもらいます。」と言われ、印刷したての作品を渡しました。
実はこの持ち込みでそのまま賞に出してもらうつもりだったのですが、前述の通り完成しなかったので、編集者さんにもところどころ欠けていることを伝えました。
大体出来上がっていて、ストーリーにはほとんど支障がなかったこともあり、未完成だったことについては特に言及されませんでしたが、やっぱり基本的には完成状態のものを見せるのが絶対いいと思います。
また編集者さんが読んでる間には、渡されたアンケートを書いていました。
アンケートには「名前・年齢・住所」「漫画制作歴」「今回の作品を作るのにかかった時間」「自信のあるところ・ないところ」「特技・趣味」「好きな作品、影響を受けた作品」あたりの項目がありました。
用紙に編集者さんの名前が書いてあったので、もしかしたら編集者さんによって内容が違うのかもしれません。
では言われたことを書いていきます。
自分が感じたことや考えたことを含めて書くと、まとまりのない膨大な文になってしまいそうなので、言われたことだけを淡々と書きたいと思います。
(言い回しは脳内補完が入ってます。)
お褒め
いやぁ、読んじゃったなあ。
というのも、持ち込みの漫画ってまず”読まない”からね。(”見る”か、つづきが気になって”読む”かの違いを言っているのだと思います。)
1ページ目のこのコマで、あ、絵がうまい人だなっていうのがすぐ分かった。
なんとなく絵と世界観で読めちゃった。
面白かったよ。
「物語の構成から論理的に考えていく人」と、「キャラを作って動かしていく人」に大別されるんだけど、君は後者なんじゃないかな?
キャラがちゃんと動いてて、そこは君の才能だと思う。
設定も面白くて、この職業(題材にしている架空のものです。)の大変さが伝わった。
はじめてでここまで描けるのはすごい。
指摘
ページ数が多い。
55ページっていうのは、新連載の1話目54ページよりも多いってことだから、相当だよ。
今回の作品は55ページでやる内容ではなかったかな。
55ページで新人賞を取った作品はまあない。
ふたつの独立した話が混ざってて困惑した。
どっちかに絞っていい。それで話が薄いと感じたら、それはその話を直すべき。
会話にちょっと違和感がある。
コメディーが多すぎ。
設定の説明を入れるタイミングが微妙。
なんでこのタイミングで?ってなった。
感動は人為的に作り出せる。
読者の感情のラインをもっと考えた方がいい。
ここで下げてここでグワッと上がる、とか。
大体こんな感じでした。
本当はもっと細かくお話しいただきました。
指摘では、問い詰められたりはしませんでした。
うんうんなるほどとメモを取りながら聞いていました。
そして名刺をもらい、担当についていただきました。
終了は16時54分頃でした。
次の予定が入ってて…とのことだったので、予定がなければもう少しだけお話しを聞けたのかな?というところです。
主に「お褒め」「指摘、改善点」「これからやってほしいこと」をお話しいただきました。
ご指摘はとても分かりやすかったし、納得できるものばかりで、すごくすごくためになりました。
賞の結果を待ちながら、漫画の練習をしたり次の作品を考えたりしてください、ということでまとまりました。
次はネームの段階で見ていただけるとのことです。嬉しい。
ちなみに、聞きたいことをたくさんメモにまとめておいたのですが、いくつかは聞く前に既にお話ししていただいたりして、2つくらいしか聞きませんでした。
いずれにしろ用意した質問の数は多すぎました。
もう少し絞っておいてもよかったです。
帰り
なんとか持ち込みという一大イベントを終え、感無量な面持ちで、言われたことや感じたことをたくさんメモしながら電車に揺られて帰りました。
反省
スケジュール
予定していた月の賞には出せたのでギリギリセーフではありますが、もっと期日に余裕を持つべきでした。
初めての漫画制作ということもあり、仕上げるのにかかる時間を見誤ったことが原因です。
次から少なくとも1〜2日は余裕を持ちたいです。
漫画の引き出しが少なすぎた
編集さんのお話の中で既存作品を例に出されることが多かったのですが、読んでなくて分かりませんでした。
極め付きには、編集さんが担当する連載中の作品を読んでおらず、「読んだことないの?!」と動揺させてしまいました。
やっぱり漫画を作る上では、誰もが知る王道漫画は読んでおかなきゃなと思いました。
とは言っても、まずは作品を仕上げることがいちばん重要だと思うので、作る前に先に王道漫画を制覇しようなどとは考えなくていいと思います。
おすすめのメンタル
持ち込みに行く時のおすすめの心構えです。
基本的に、「自分の作品のどこがダメかを聞きに行く」という心持ちが良いと思います。
自分が丹精込めて作り上げたものを批評されるわけですから、ある程度精神的に動揺はします。
ただあらかじめそういうものだと思っておけば威力を軽減できるはずです。
僕は行く前から「変に期待しないでおく」ということを強く意識していて、実際それで良かったので、これから持ち込みに行く人はそういう考え方も知っておくといいんじゃないかなと思います。
まとめ
本当に行ってよかったです。
とてもいい経験になりました。
良し悪しはどうであれ、1つ作品を仕上げた自分もちょっとは褒めてやりたいと思います。
今後どうするか考え中…。
そんな感じでした!
参考になれば幸いです。