【徹底比較】iPad Proと液タブ(Cintiq)の違い、おすすめをまとめてみた

【徹底比較】iPad Proと液タブ(Cintiq)の違い、おすすめをまとめてみた

家電屋で Cintiq を触りまくってきたので、iPad Pro を2年間愛用している経験を踏まえ、液タブとの違い、そしてオススメをまとめました!参考になれば幸いです。

筆者の歴

まず筆者の歴を紹介。

執筆時点より2年前2019年の1月iPad Pro を購入。以来イラスト制作・漫画制作に使い倒してきました。
液タブは持っておらず、購入を検討していたため先日ヨドバシカメラに行ってがっつり試用しました。2回も。
つまり歴はこうなります。

2年間所持iPad Pro 2018 11インチ
1時間ほど試用Wacom Cintiq 16・Wacom Cintiq Pro 16

かなり iPad Pro よりの経験ではあるものの、液タブを試用して色々分かったことがあるのでまとめていきたいと思います。

ちなみに試用した結果、一旦液タブを買うのはやめました
先日のAmazonプライムデーのセールで安くなっていたので割りと本気で買うつもりだったんですが、iPad Pro にはない突出したメリットというものが中々感じられなかったからです。
あとで詳しく書きます。


※ひとつ注意書き。この記事で言う「 Cintiq 」は、「 Wacom Cintiq 16 」「 Wacom Cintiq Pro 16 」を指します。
「Cintiq は○○だ」という表現をしますが、他のCintiqシリーズすべてを包括して言っているわけではないのでご注意ください。

Cintiq Pro 16 より上のモデルとして Cintiq Pro 24 と Cintiq Pro 32 がありますが、20~30万円以上です。
さすがに一般人が中々手を出せない領域かなと思うので、今回は現実的であろうモデルのみの比較解説になります。
Cintiq のデメリットを色々書きますが、もしかしたらその上位モデルでは解決されている…のかもしれません。今度どっか置いてあるところに触りに行こうかな。

先に、下記で触れる項目について、ざっくり評価をまとめておきます。

Cintiq iPad Pro
拡張性
視差 ×
応答速度 ×
筆圧
ペン
大きさ
値段
扱いやすさ

これを総括した結果、「iPad Pro でいいか」となりました。
僕は今のところ ”描き味” を最重要項目としてデバイスを選んでいるのですが、そうすると圧倒的に iPad Pro の勝ち


では早速、ひとつひとつ見ていきたいと思います。
最後にはおすすめの意見も書いているので、迷ってる方はぜひ参考にしてください。

公式ページ/iPad Pro – Apple
( https://www.apple.com/jp/ipad-pro/ )
公式ページ/Cintiq 16 アウトレット – Wacom
( https://store.wacom.jp/products/detail.php?product_id=4339 )
公式ページ/Cintiq Pro 16 – Wacom
( https://store.wacom.jp/products/detail.php?product_id=4064 )

デバイスとしての違い

そもそもですが、CintiqiPad Pro同じ立ち位置の製品ではないため、簡単に優劣を付けられません。

Cintiq「もともとあるパソコンに接続するもの」で、ペンで直接描けるサブディスプレイのような感じ。
だからパソコンの性能が弱かったりすると最大限のパフォーマンスを発揮できない可能性があります。

iPad Pro「独立したタブレットデバイス」で、もちろん iPad Pro だけで動作しますし、絵を描く以外にもさまざまな活用法が存在します。
また Cintiq と違って本体の充電が必要になります。Apple Pencil の充電も必要です。

つまり大きな違いとして、Cintiq はパソコンで動かしパソコンの画面を表示している一方iPad Pro は独立したタブレットである、ということです

CintiqとiPad Proのデバイスとしての違い
こんなイメージ

「じゃあガッツリさくさく作業したいなら Cintiq …?」と思うかもしれませんが、 iPad Pro もキーボードを接続してテキスト入力やショートカットの操作が可能で、その点に関してはパソコンと比べても割りと遜色なく作業できます。

ただ iPad Pro での OS は iPadOS というタブレット向けのものなので、Windows や Mac のようなパソコン的な作業(ファイル操作など)できないorやりづらいことが多いです

iPad Pro 内のファイル操作(ダウンロード・移動・展開・圧縮)は問題なくできるし、USBメモリなどのデータもいじれます。
マルチタスクもできます。

できるんですが、パソコンに比べたら拡張性・自由度が劣り、全体的な操作の効率もまだまだ追いついていないなと感じます。

液タブはパソコンで作業してるわけですから、そういう点では液タブの方が強いと思います

まあ iPad Pro でもやろうと思えば大抵のことはできるんですけどね。
効率ややりやすさの話です。


次はこちら。

描き味

ひとことに “描き味” と言っても、その描き味を構成する要因はさまざま。
視差カーソル応答速度筆圧ペン、と、なるべく分解して細かく見ていきます。

視差

ここでいう視差とは、「ペン先」「実際に描画される面」差・距離のことです。

視差の説明

視差

つまりデバイスの液晶の厚さのこと。
液晶にペンで色々操作するわけですが、実際に色々表示されるのは液晶を1枚隔てた向こう側です。
描く時は普通ななめからペン先を見るので、この視差が大きければ大きいほど、ペン先と実際のカーソルに距離ができ描きづらくなっていきます。

アナログの紙とペンは直接ふれるので視差ゼロということになり、これがいちばん描きやすいのです。

さて Cintiq と iPad Pro ですが、視差の少なさで順位を付けるならこう。

1位  iPad Pro
2位  Cintiq Pro 16
3位  Cintiq 16

Cintiq 16 は分厚いガラスを1枚隔てている感覚でした。
あれは iPad Pro やアナログに慣れている方はかなり気になるんじゃないかなと思います。僕はだいぶ気になっちゃいました。

Cintiq Pro 16 の視差はある程度少なく、Cintiq 16 に比べたら全然ましでした。

が、やはり iPad Pro

改めて比べて触ってみたら、その差は歴然でした。
「iPad Pro の視差はほとんどない」と言っていいと思います。
それほどの感覚を生み出してくれます。

これは iPad Pro の勝ちです

ただし、 Cintiq にはこれをカバーする機能があります。
「ペンが画面にふれていなくてもカーソルが表示される」というものです。


カーソル

これです。

Cintiq に限らず多くの液タブでは、ペンを画面に近づけると、直接触れなていなくてもカーソルが表示されます

iPad Pro ではペンが浮いている限りカーソルが表示されません

でも、そもそもペンを近づけた時のカーソルって、アナログでは当然存在しません
それでもアナログが描きやすいのは、上述した「視差」が無いからです。
描きたい部分とペン先が直接触れ合うことになるので、線を引いてみて「あっ位置ズレた」とは、基本的にならないわけです

逆に「あっ位置ズレた」ってなるのは、視差が大きいデバイスだけ

とすると、視差がほとんど無い iPad Pro ではそこまで必要でないことになります。
実際カーソルが表示されないことのデメリットはあまり感じません。

ですが、あまり感じないというだけで、あるにはありますデメリット。
たとえば、実際に線を引いてみないとブラシの大きさが分かりづらいという問題があります。

基本的にどの絵描きソフトでも、ブラシサイズを変更したときには「このぐらいの大きさになりますよ」という感じで表示され教えてくれるのですが、それでも実際描きたいところに描いてみて、大きすぎたり小さすぎたりすることがあります。

ブラシサイズ変更時の表示

ブラシサイズを変更すると大きさが表示される

まあそんな感じで、Cintiq は視差が大きいのでカーソルでカバーしないとどうにもならないが、iPad Pro は視差が小さいのでカーソルがなくても大丈夫(あったら嬉しいけど)、というのが実際のところかなと思います。

僕は、Cintiq の「視差大+カーソル」より iPad Pro の「視差小」の方が圧倒的に描きやすかったです。
多分同様に感じる人は多いはず。多分。


応答速度

次はこれ。
これはかなりすごくとても重要なポイントなんじゃないかと思います

ここで言う応答速度とは、「画面上で行ったペンのストロークやタッチが、実際にソフトウェアに反映されるまでの遅延」のことです。
つまり画面にペンでスーッと線を引いたとして、実際にキャンバス上でその線が描画されるまでの時間差のこと。

応答速度が遅ければ遅いほどその時間差はより大きくなります。

アナログでは遅延が全く無いわけですから、これが小さければ小さいほど本当に紙に描いているような感覚に近づきます。

Cintiq はかなり遅く感じました。
iPad Pro は本当に紙に描いているかのようにスッと線を引けるのですが、Cintiq はかなり遅れてきます。

実際に見てみましょう。
まず iPad Pro の描き味はこんな感じ。

つづいて Cintiq Pro 16。他の方の動画を参照させていただいています。


ペン先に線がどれくらい追従しているかを比べると、やっぱり iPad Pro の方が低遅延であることが分かるかと思います。

ちなみに、絵描きソフトの「手ブレ補正(クリスタ)」「ストリームライン(Procreate)」という、引いた線をなめらかにする機能を使うと、仕様としてストロークに遅延が出ます。
Cintiq の方、それかなとも思ったんですが、描画していない時のカーソルにも遅延が起きているし、おそらく手ブレ補正はオフだろうというブラシでも発生しているので、やはり応答速度の問題かと思われます。

僕はこれが買わなかった理由として大きいです

iPad Pro の追従性が快適すぎて、Cintiq の遅さをより強く感じてしまいました。

そこの遅延があることで具体的にどんな困りごとがあるかを簡単に説明したいと思います。

たとえば丸や曲線を描く時、目をつむってセイヤッと描くことはないですよね。
実際に今自分がどんな線を引いているのかをリアルタイムで視認しながらそれを基準に丸みを調整していくと思います
Cintiq の応答速度ではそのやり方に支障をきたします。

ある程度の速さで線を引こうとすると、必ずペン先と描画される線に距離が発生するのです。
これが結構やりづらい。

その気持ちわるさには慣れていけるのかもしれませんが、いくら慣れたところで、この点において描きやすさが iPad Pro と同列に並ぶことはないと思います


筆圧レベル

ここはサラッといきます。
筆圧をどの程度細かく認識してくれるかというポイントです。

Cintiq は「8192レベル」と公表されていますが、iPad Pro に関する明確な情報は見つかりませんでした。
1000レベル前後と”言われている”」と、書いてある記事がありましたが、真偽は不明です。

また「公表されている筆圧レベルは大して重要じゃない・あんまり意味がない」という意見も散見されます。
だからこそ iPad Pro の筆圧レベルも公表されてないのかな?

実は僕も差は感じませんでした。
筆圧レベルという点で優劣はないと判断しました。


ペン

Cintiq に付属する「Wacom Pro Pen 2」とApple純正「Apple Pencil 第二世代」の比較です。

Apple PencilとPro Pen

Pro Pen 2(手前) と Apple Pencil 第二世代(奥)

素の状態だと圧倒的に Cintiq のペンの方が握りやすい描きやすいです。

第二世代の Apple Pencil は iPad Pro 本体の側面にマグネットでひっつき、そこで充電もできる仕様となっている都合上、またスタイリッシュさを求めた結果、握りやすさが犠牲になっている感じがします。

鉛筆っぽいっちゃあ鉛筆っぽいですが、長時間握っていると指が痛くなってきます

ただし、市販のグリップを付けることで改善が可能です。
充電するたびに着脱が必要ですが、グリップをつけることで Pro Pen 2 にも引けを取らない握りやすさ・描きやすさになります

また重さについてですが、Pro Pen 2 は約15g、Apple Pencil は約20gです。

Apple Pencil の方がおよそ30%増しの重さとなっていますが、僕は「あ~ Apple Pencil の重さで手疲れるゥ」となったことはありません。
板タブの方で Pro Pen 2 も使っていますが、比較しても特に大きな差は感じないかなというところです


以上が描き味比較でした。
これを総括して「描き味は iPad Pro の勝ち」、という意見に僕はなりました。


次はこちら。

大きさ

公式から写真を引用して比較画像を作ってみました。

CintiqとiPad Proの大きさ比較

大きさの比較

こちらの記事で詳しく解説していますが、iPad Pro 11インチはちょっと手狭

【iPad Pro】11インチと12.9インチ、どっちがおすすめか。選び方!

ぜんぜん無理なくできるんですが、「これ以上いらない十分な広さか」と問われるとそれは間違いなく偽(ぎ)
まあできるんですけどね。

それに比べて Cintiq の方は十分な大きさだと思います。とても広々しています。
狭いなあとは感じないはず。

iPad Pro は液タブのように定点で置いておくデバイスではなく、色々なところに持ち運ぶことを想定されているので、そんな感じのサイズになったんでしょう。

ここは Cintiq の大勝ち。
iPad Pro があのサイズであったらめっちゃめっちゃめっちゃ嬉しい…。

値段

Cintiq 16 ¥66,420
Cintiq Pro 16 ¥166,182
iPad Pro 11inch ¥120,666
iPad Pro 12.9inch ¥142,666

※執筆時点(2020.12.26)のAmazonでの価格
※iPad Pro は Apple Pencil 付き & 容量256GB

どれも高いですね。

これに関しては、そもそもその製品にどれだけの価値を感じるかが人それぞれなので、言及しない感じでいこうと思います。

扱いやすさ

先ほどもちょろっと書きましたが、そもそも液タブは基本的に持ち運んだりはしないものなので、取り回しの手軽さは iPad Pro が全面的に勝ちです

Cintiq はケーブルでパソコンと繋がっていますし、重量もあります。
かなり場所を取るので、使わない時の管理も工夫が必要かもしれません。

対して iPad Pro「ゴッド・オブ・手軽」
めっちゃ軽いし、薄いし、管理が楽です。マジで。

あと準備時間にもめちゃくちゃ大きな差があります。
Cintiq を使う場合はパソコンを起動する必要があるので、少なくとも40秒、パソコンによってはもっとかかると思います。

iPad Pro は1秒。まじで1秒です。iPhoneと同じ。
アプリの起動も速い。
扱いやすさ、取り回しの良さで言えば iPad Pro の右に出るものはありません。これはマジで。
絵を描くハードルも下がります。ガチで。


はい。

以上、一応これで僕の中では一通り書き終わりました。
おすすめ・まとめに入っていきます。

おすすめは?

僕は iPad Pro をおすすめします。

決め手は「取り回しの良さ」、そしてなんといっても「描き味」です。

液タブは言うなれば「直接ペンで描けるサブディスプレイ」なので、作業を最適化してくれるデバイスではあるのですが、iPad Pro作業できる場所を増やしてくれる上に起動&準備が一瞬なので、作業の形自体を変えてくれるような印象です。
絵を描くこと以外にもいろいろ活用できます。

ただひとつ惜しむらくは画面サイズ
現状最大の12.9インチでもそこまで大きくありません。

クリスタで色んなウィンドウを出すとキャンバスを広く取れなくなってしまいます。
その点は Cintiq がうらやましい

iPad OS でのファイル操作がもっとパソコンライクになって、画面サイズも大きいのが出れば覇権とれるんじゃないかと思うんですけどね。

まとめ

そんな感じで、CintiqiPad Pro の違いをまとめつつ、比較してみました。
参考になれば幸いです。

もしなにか聞きたいことなんかがあればツイッターの方にお寄せいただければと思います
そこでお答えしますし、記事にも追記しようかなと思います。

では最後までお読みいただきありがとうございました!
よければ他の記事もチェックしてみてください。