大学を中退してそのままフリーランスになった話

大学を中退してそのままフリーランスになった話

この記事は後編です。前編では「成績1位になった美大を休学・中退した話」と題して、大学生時代のうごきをまとめました。この記事では大学中退→フリーランスというところに焦点を当てて書いていきます。

はじめに

前編はこちら。

成績1位になった美大を休学・中退した話

今回の後編記事では、休学中にやったこと退学後にやったこと、そして現在をまとめていきたいと思います。

ざっくりこんな感じ。
絵にそこまで深い意味はありません。

大学を中退してそのままフリーランスになった話

では早速!

休学中のうごき

今回もタメ口中心だぜ。

なんとか親の承諾を得て開始した休学生活。
自分の中では退学前提のつもりでいたんだけど、やっぱり親は復学してほしがってた。

したがって「退学してもよさそうだな」と親を納得させられるだけの活動ができるかどうかっていう感じに。
休学中に爪あとを残そうといろいろチャレンジするわけですね。

具体的にどんなことをやっていたのかひとつひとつ挙げていきます。


作画コンペ応募

とあるところでとある漫画の作画担当を決めるコンペが開催されていたので挑戦。
提示された冒頭4ページを仕上げて応募する感じ。

余裕で落選。
今になって振り返ると相当にレベルの低い作画だった…
当時はちょっと自信があった覚えがあるんだけど、あれで採用されるわけないなと今では思ってる。

ひとつ自分の実力を知る機会でした。

ウェブサービス開発

経験として、ウェブサービスを作ってみたいとずっと思ってた。
適正はどうか?てかそもそも自分にできるのか?というところも踏まえて。

大学の授業をキッカケに「ウェブサイトの見た目の作り方」は学んでいたものの、ウェブサービスを作るとなるとまた別の知識が必要になる。
データの送受信だったり、ページにどんな情報を表示するかだったりをプログラミングしなきゃいけない。

Progate(プロゲート)という、オンラインプログラミング学習サービスで勉強して作った。

なんとか完成。
一応今でもアクセスできる。(初回アクセスは時間がかかる)

おばを先生
http://owsensei.herokuapp.com/

大人気FPSゲーム Overwatch知識・コツの共有サイト

勉強で作っているとは言え、「意外とたくさん使ってもらえるのでは!」と思って期待しながらリリース
ツイッターでも告知して数十人が登録してくれたけど、残念ながら盛り上がらず

プログラミングの知識はもちろん、サービスの企画や広告についても少し勉強になった。

作ってるのも楽しかった。
サイトのデザインとか操作性は今でもお気に入り。

そしてやっぱりウェブ系もありだな、という気持ちになった。
あと、「知識ゼロからでもやろうと思えば作れる」という自信がついたのはデカかった。


クラウドソーシング

クラウドソーシングというのは、仕事を依頼したい人がネット上で外注して、そのままネット上で仕事を受けたい人とマッチするやつ

当時の自分のスキルというのは本当にたかが知れてるんだけど、それでもある程度仕事を受けることができた

アプリのPR用の漫画イラストだったり、YouTubeでよくある漫画動画の作画だったり。
まあまあ頑張ればギリギリ食べていけるくらい(月10万ちょいくらい)には稼げそうだった。

特に楽しくはなかったので、あんまり積極的にやりたいとは思わなかったけど、一応自分のスキルで仕事をいただけることが分かった
他がダメでもここ頑張ればなんとかなりそうという多少の安心感をゲット。

特に漫画動画の作画に関してはその後もしばらく続けていた。
その時の収入でのちに貯金生活をすることになるので、仕事をくださった方には本当に感謝しています。

ただ自分にとっては、自分のスキルの最大値を発揮してレベルを上げていけるような仕事が理想なので、なるべく漫画動画に頼る方向には行きたくなかった。

クラウドソーシングについてもうちょっと言及。
今は「仕事を受けたい人」の方がたくさんいて、案件の奪い合いになっている。
だから「その仕事受けます!」に対して『いや、私がもっと安く受けます!』の連続で、単価がどんどん低くなっている状況。

しかも報酬のうち3割は手数料としてクラウドソーシングのサイトに支払うことになるので、結構きつい。
クラウドソーシングだけで食べていくのは、不可能ではないけどまあまあしんどいと思う。


そんな感じで、「休学中のうごき」はだいたいこれぐらい。
クラウドソーシングでの仕事と、ウェブサービス開発が中心だった。

ちなみにこれらに並行して絵もちょこちょこ描いていた。
商用レベルには届かんな~という感じ。

では、いざ退学!


退学にあたっての色々

休学の期間は3年の後期、9月~翌年3月

その半年がいわば「退学チャレンジ」のリミットだったんだけど、学校から「休学終わったあとどうするん?」という通達が1月に届いた。

その時点で「復学」「休学続行」「退学」の選択を迫られることになった。
早かった。

でもまあ、自分でなんとかやってイラストでお金を稼げている時点で、もう退学していいものだろうとたかをくくっていた。

おお、もうイラストで8万円稼いだのか。そうかそうか。なら退学していいだろう。
そんな感じに言ってもらえるかと思ってたんだけど、予想は大きく外れた

親対自分の家族会議。

「これじゃあ退学はちっと厳しいよなあ。せめて桁がひとつ違えばなあ。

「………」

「 桁 が ひ と つ 違 え ば!?!?!? 」
「な、なん、え?!桁…え?!」
と脳内でびっくりした。

退学の是非を判断する上での感覚が、親と自分とで大きく食い違っていた

以前調子づいたとき「将来有名になるよ」などと宣言していたり、成績1位になったりで、親はすごく期待していたらしい。
その膨らんだ期待とギャップがあり、退学に際しても感覚のズレがあった。

という感じで、「休学中の実績で退学に納得してもらう」という正攻法はあえなく失敗。
でも結果から言うと、退学はさせてもらうことができた

その話し合いの最中で、自分が「親しくない人と話すのを非常にしんどく感じていること」や、「なんだか薄っすら死にたいと思っていたこと」を告白したのです。

※休学前に抱えたうつ気味な雰囲気がその時もまだくすぶっていた。

親もそのことを聞いた上ではさすがに反対できず、なんか泣き落としみたいになっちゃったけど退学することが決まった
というか、「まああなたの人生だから好きにしなさい」という前提は一応あった。


退学後のうごき

そんなこんなで退学が完了
当時どうしても心が大学を拒否していた節があったので、それから解放されてかなりスッキリした記憶がある

では退学後にやったこと、うごきを時系列順に。

【1月~】まず開業

多少なりともお金を稼いでいたので、個人事業主として開業届を出した。
これで大学中退フリーランスマンということになった。

退学届
開業届

【1月~】 イラストの案件を受ける

休学中の時からいただいていた漫画動画の仕事を継続して受けていた。
この時点では月10万くらいかな。

【1月~】 ブログを開設

絵描き向けブログを開設。
このブログのことです。

ブログは、有益な情報を発信しつづけることでアクセスが増えて紹介した商品が買われた時の紹介料だったりで収入が見込める低リスクの事業

以前から興味があったので、これまで学んできたウェブ系の技術を活かして開設。
いろいろ調べながら記事を投稿し始めた。

が、開設から3週間ほど、記事を11こ投稿したくらいで休止
当時どう思ってたのかはあんまり覚えてないんだけど、多分アクセス数がなさすぎて諦めたんだと思う。

その1~2月の時点では月に100アクセス程度。
収益は0円。
まーたしかにきついけど、そんなの分かってたことだろう!当時のおれ!

【4月~】 同棲開始

実は大学1年の5月つまり入学して一ヵ月人生初彼女が爆誕していた。

入学して一ヵ月て、進学して早々うわずいて付き合った短命カップルかよ、と自分でもツッコミたくなるが、かれこれ4万年くらい付き合いつづけている。

相手は同い年で、この同棲開始の時点で大学4年生。
大学生の同棲というのは割と珍しいと思うんだけど、加えて片方が同大学を中退しているという謎の状況に。

同棲開始時のお金について。

ぶっちゃけ安心感のある収入柱はなかったんだけど「まあ頑張ってイラスト案件探せばなんとかなるだろう」という姿勢。(別に投げやりにはなっていない)
貯金も、生活費月10万計算半年+ちょいくらいやっていけるくらいがあったので。

【4月~】 ちょっと気落ち。またかよ。

またですね。
じわじわと「仕事ダッル~~~!」ってなってしまい、継続案件を辞退させていただいた

同棲開始のちょっと前からなので、環境の変化うんぬんが原因ではなさそうだったんだけど、なんか毎年4~5月は弱いみたい。
3月ごろからドッッッハマリしていた大人気アクションゲーム、モンスターハンター以外のことをなにもしたくなくなった。

このときのモンハンめっちゃ楽しかったな。
「こういう時は無理にがんばろうとしないのが吉」という経験則がうまれていたので、それに従ってひたすら狩りをつづけていた

『Monster Hunter: World』2020年時点、世界出荷本数1,680万本の最高なゲーム。素晴らしいグラフィックで素晴らしいモンスターを素晴らしく狩れる最高なゲーム。もう好き。大好きです。ありがとうございます。

【5月~】 しばらく貯金生活

フリーランスにとって、受けている案件を辞退するということは、そのまま収入が途絶えるということ

普通は結構こわいと感じるのかもしれないけど、先にも書いた通り、「まあヤバくなったら漫画動画なりなんなり受ければいいっしょ」と考えていた。

でも、もっと自分のスキルが上がっていくような、成長のある仕事をやっていきたいと思い、そのような仕事にありつけるよう頑張った

具体的にはこんなことをやった。

  • 自主制作(絵)
  • ブログ育成
  • 漫画制作+持ち込み
自主制作(絵)

まあこれはずっとやっていることだけど、ちょろちょろ絵を描いていた
直接仕事につながるようなレベルではないんだけど、少しずつでもうまくなっていくと祈って…。

ブログ育成

11記事だけ書いて放置していたブログ、いつのまにか月に1,000アクセスくらいになっており、さらに1,500円くらい稼いでいた!!

ブログって、「お金を稼ぐには100記事書いてからがスタート」だとか言われるくらいで、だいぶ地道に努力しなければいけない
それを身をもって体感したので、再度記事を投稿し始めた

ユーザーにアクセスしてもらうには、ネットで検索したときに上の方に表示される必要がある
そのためにはGoogleに「このブログは有益やな」と判断してもらう必要があり、そのためには良質な記事がたくさん必要。

読者の問題を解決に導けるような良い感じの記事というのは書くのが大変で、なかなか更新ペースを維持できなかったんだけど、なんとかぼちぼち頑張った。

漫画制作+持ち込み

前からじんわり「漫画家になりたくね?」と思っていたため、実行に移した。

持ち込みというのは、描いた漫画を出版社の方に直接見てもらい、アドバイスをもらうやつのこと。

漫画家として連載するためには、少年誌であれば「持ち込み新人賞受賞なんやかんや連載」というのが王道。多分。
なので持ち込みに行った。

自分では面白いのが描けると思っていたから、実際通用するのか確認しに行ったみたいな感じ。

で、行った結果「まあ可能性、なくはないな」というところ。
(まあそれは全員そうなんだけど…。)

ちなみに、そのまま漫画を描きつづけて頑張ろうとも思ったんだけど、一旦ゲーム制作だったり他のこともしてみたかった
なので今は漫画制作は保留中。


貯金生活はだいたいそんな感じ

なんか、仕事しないで挑戦する期間ってすごいシビアなイメージあるけど、自分の場合は「もう少しだけ焦ってもいいのでは…?」というくらいにゆっくりやってた。

漫画の持ち込みに行く直前とか、局所的にめっちゃ頑張る期間はあったんだけど、だいたい全体的にずっとゲームしてたし。
ゲーム楽し~。

しかしそんな生活もついに…。


【11月~】 貯金生活終了

ついに貯金生活が終わりを迎える

なにかが実ったというわけではなく、シンプルに貯金が限界だった。

なんの仕事にしようかと考えた。

希望する条件は

  • 成長できる
  • 固定で時間を奪われすぎない
  • なるべくコミュニケーションが少なく済む

金銭面は、まあそりゃ時給の高い方が嬉しいけど、最低限あればいいと思った。

いちばん優先したいのは「成長できる」という部分なので、漫画動画はやっぱり最終手段
スーパーのレジとかの普通のバイトも最終最終手段

ウェブ系のバイトは、スキル的には食らいつけそうだったし、多分だけど適正もあるので結構考えた。
でもコミュニケーションしんどそうだな、というのと、やっぱり絵系を含みたいというのがあったので保留。

でなんやかんやで思いついたのが、漫画家アシスタント
一応漫画は1作品描いた経験があるし、自分としても、「カラーの1枚イラスト」より「漫画のような線画の絵」の方が好きだし得意だった。

今は完全在宅のアシスタントも多いし、希望条件には全部当てはまっている!
ということでなった。

とても良い先生のアシスタントに採用してもらえた
絵柄がすごく好きだし超うまいし、作業スケジュールもフレキシブルでありがたい。


現在

そんな感じで大学中退フリーランスだけど、今は月に2週間ほどアシスタントの作業をして、だいたい月8~9万円ほどいただいている。
でブログの方が月1万円ほど。(育っている!!)

少なくね?と思った方もいるかもしれないけど、生活費が7~8万驚異的にミニマルなため、これでやっていける。

でも急な出費とかが発生したらヤバいし、上記ミニマル生活費は「年金・健康保険→減免」「奨学金→返済猶予」という状態での数値なので、当然このまま行くつもりはない

アシスタントをしながらブログを育てたり、あと今はゲーム制作をしている
これらで低収入を脱却するのが当面の目標

ゲーム制作は初めてで、これもどうにもならない可能性が十分高いんだけど、まあ挑戦挑戦。(自分に言い聞かせる)


以上、そんな感じで紆余曲折あったものの、「成長できる仕事をしつつ、別事業で高みを目指す」という自分にとっての目標だった状態にたどり着くことができた。

やはりこの状態になるのに大学は必須ではなかった
中退を後悔したことは今のところありません。


まとめ

最後までお読みいただきありがとうございます。

「ふ〜〜ん」とちょっとでも楽しんでもらえたり、なにかの参考になっていれば幸いです。

あと、前後編と「自分の行動まとめ」みたいな感じで書いてきましたが、それらを踏まえ、「読んでくださった方に伝えたいこと」みたいなのが湧いてきました。
ので、またそれも記事にしたいと思います。

軽く書いておくとこんな感じ。

  • 人生における行動の仕方、みたいな。
  • うつに注意。具体的な対策。
  • フリーランス・独立について。

別の記事を先に書くのでまたちょっとあとになるかもしれませんが、いつか読んでいただけたら嬉しいです。

今回の記事であった「漫画持ち込みの話」「未経験から漫画家アシスタントになる話」はそれぞれでも記事にしています。

もし興味があれば併せてどうぞ。

【体験談】集英社に初めて描いた漫画を持ち込みしてきました。

未経験から漫画家アシスタントになる流れ

ではまた!


筆者

しまくま

しまくま

@Dinmtam